惠阪 友紀子
- 専門分野
- 日本中古文学 / 和歌・漢詩
LITERATURE
「文学とは何か」という問いから出発し、多数の文学作品を分析・分類する理論を学ぶ。時代や社会を映しとり、垣根を越えて後世に伝えていく文学の力について考察し、理解を深める。
日本語の歴史的変遷、言語的特徴について、文字・表記・音韻・文法などから分析する。方言やジェンダー、世代によるバイアスなどの視点も含めて言語を考察する方法を学ぶ。
FIRST
3専攻の分野をひと通り学ぶ
1年次は専攻に所属せず、「歴史」「文学」「社会」の基礎を学び、分野の特長や研究手法の違いなどについて理解します。文化を構成する要素と現代社会の成り立ちを知り、自分の興味に基づき研究したいテーマを探します。
広い知識とことばから、自分を知る
ことばを通して自分や他者への理解を深めます。研究に必要となる、「興味があることを掘り下げテーマを設定する力」、「過去の研究や現場を調査する力」、「自分の考えを論理的にまとめ発表する力」を基礎から身につけます。
SECOND
専門知識の理解を深める
文学専攻では、上代・中古・中世・近世・近代の日本文学研究を行います。批評理論や比較文学など、作品を分析する力を磨く科目のほか、世界の文学、神話や詩歌、説話・伝承など幅広い文学表現も学ぶことができます。
キャンパスの外へ旅立ち研究する
各専攻で学び獲得した知見を、実際にフィールドへ足を運んで検証します。6ヶ月間、キャンパスの外で異なる文化や社会に身を置いて、多様な価値観に触れることで実感を伴った知識を得、深めることができます。この経験が新たな視野となり、世界を広げ、独自の発想につながっていきます。
THIRD
調査結果を検証する
現地調査によって収集したデータや資料を整理し、教員や仲間たちに報告。指摘や議論を通じてさらに視野を広げ、研究テーマへの理解を深めていきます。同時に、所属専攻の専門科目を通して、より深い知識と知見を身につけます。
FOURTH
自分の考えを形にする
3年次までに深めた知見をもとに、自分の考えを卒業論文として発表します。興味・関心のあるテーマを追究し、他者に伝わるよう情報を論理的にまとめる論文執筆には担当教員が親身に指導にあたり、構想を練るところから、文章校正まで一対一でアドバイスを行います。
人気の小説の舞台を調査
作品の舞台を巡り、小説で描かれた場所と実際の舞台を比較検証します。作品が物語を通して伝えたいメッセージを分析し、ヒットした要因を考察します。
京都と王朝文化
京都に都城が築かれ、京都が政治・経済・文化の中心となった平安時代を、歴史と文学の視角から分析を深めます。
平安時代の飲食表現 —紫式部と食
平安時代に成立した文学作品は、飲食の喜びや味覚についての記述が非常に少ないことから、味覚を表現しない文学と言われている。しかし、少ないと言われながらも、飲食のことに全く触れられていないわけではない。そこで本論文では、『源氏物語』『紫式部日記』のほか『枕草子』、『宇津保物語』における食の記述を通して、紫式部の食に対する意識を明らかにすることを試みた。その結果、紫式部にとって食事は、特筆すべきことではなく、特に関心が低かったと思われるとの結論に至った。さらに、物語と日記に書かれる食事の比較を通して、飲食表現の傾向がみえた。その傾向として、場面転換、病、貧困の三つに分け、食描写の効果や意味を検討した。三つの食描写にはそれぞれ、時間の流れを感じさせる効果、病の進行具合や死を周囲の人物と読者に連想させる効果、貴族社会から外れた存在であることを浮き彫りにする効果がある。
井原西鶴『本朝二十不孝』論 —浮世の「悪」からみる「戯作説」
本論は、井原西鶴『本朝二十不孝』を取り上げ、谷脇理史氏の「戯作説」を根底に据えながら、さらに発展させ、〈浮世の「悪」〉というテーマに着目して、作品を分析したものである。谷脇氏の「戯作説」とは、これまでの西鶴研究で言われてきた教訓や批判を重要とするのではなく、西鶴が作品に描いた面白さを重要とした説である。作品の中で、どのように面白おかしく描いているのかを、西鶴が生きた元禄時代と西鶴が俳諧師であった経歴に着目しながら、作品を分析した。
俳諧、特に西鶴が属した談林派は滑稽さが強く表れ、古典に日常的な言葉を織り交ぜるなどの特色を持つ。『本朝二十不孝』にも日常、つまり当時の町人社会(浮世)が映し出されている。また素材の逆転発想や数字を用いた誇張など、滑稽さが表れている部分が多くあった。よって『本朝二十不孝』では、俳諧の影響を受けながら、読者を楽しませようとする西鶴の意図が強くあったと考察した。