素材を熟知し 空間を変容させる

木、石、金属、樹脂、粘土、ガラスなど、自然界にあるさまざまな素材と真摯に向き合うこと、それが立体造形専攻の基本姿勢です。授業では、作品を制作しながら多彩な素材に触れ、その特性を理解し、自分に合う素材を見極めていきます。制作に没頭できるように、鉄工室、木工室、モデリングスタジオや屋外作業場などの制作スペースを用意し、クレーンやフォークリフトなどの設備をそろえています。充実した環境のなか、技術や理論を実践的に学び、自分の作品をつくるための基礎を築いていきます。展覧会の企画・運営に挑戦する機会や、芸術祭へ出品する機会も豊富。実社会とも関わりをもちながら、作家としての力を総合的に身につけます。

科目PICK UP

  • 作家に捧げるオマージュ作品をつくり、感性や思考力を鍛える。

    [造形表現/3年]
    2年次までに身につけた素材の知識や制作技術をベースに、3年次からは自分ならではの表現を行う力を身につけます。自らの世界を表現するためには、日常の経験から多くを感じ取る感性を磨く必要があります。また、「なぜつくるのか」を理論的に考える力や、そこからコンセプトを組み立てる力も欠かせません。このような力を培うため、『造形表現』ではオマージュ作品を制作します。興味がある作家を選び、作品や作家について深く研究し、最終的には作家に捧げる作品をつくります。尊敬する作家から表現活動を行うための姿勢や思考プロセスを学び、同時に、自分自身を理解し、表現したい世界が何かを模索します。

4年間の学び

  1. 1年次

    FIRST

    表現者の「幹」をつくる

    芸術学部の共通科目を受講して、観察力や思考力、想像力など表現者としての「幹」を育みます。また、7専攻の基礎を広く学び、これから追求する分野を検討していきます。

  2. 2年次

    SECOND

    素材の知識と加工法を学ぶ

    人体をモチーフにした塑像制作からはじめ、ブロンズ鋳造や金属彫刻、木彫、石彫など、素材加工の基礎を一通り習得し、独自のテーマと表現方法を模索します。

  3. 3年次

    THIRD

    理論を学び、洞察を深める

    美術理論を学び、作品を客観的に見つめる力を身につけ、展覧会の企画や運営に挑戦し、外の世界を意識した作品を制作します。

  4. 4年次

    FOURTH

    自分の表現を追求する

    4年間で培った技術や表現力を駆使して、卒業制作に取り組みます。自分自身の表現やオリジナリティを追求しながら、学生生活最後の作品を完成させます。

4年間で身につく能力

  • コンセプトを立て、最適な素材や技法を選ぶ力
  • 多様な素材を加工する技術力
  • 自分の表現を社会に発信する力

作品

施設

作業場にはフォークリフトやクレーンといった機器も。

PICK UP!

  • ブロンズなどの鋳造が行える可傾炉。

  • 木を扱う授業の様子。このほかにも石や金属などさまざまな素材を扱います。

  • 樹脂をはじめ、さまざまな素材を組み合わせて作品制作を行う「ミクストメディアスタジオ」の様子。

教員

非常勤講師

  • 今村 源 / 美術家(担当:芸術応用実習3・4・6 (立体造形)、芸術社会実践実習1・3(立体造形)、表現演習1・3・5・6・7(立体造形))
  • 西山 美なコ / 美術家(担当:芸術応用実習3・4・6(立体造形)、芸術社会実践実習2・4(立体造形)、表現演習2・4・5・6・8(立体造形))
  • 森 太三 / 美術作家(担当:イラスト基礎演習4F(立体表現2A・2B)、基礎演習3・4G(立体造形))
  • 渡辺 浩二 / 彫刻家(担当:造形演習7・8(立体造形))

卒業後の進路

 めざせる職業
美術作家、 工芸作家、 舞台美術家、 ディスプレイデザイナー、美術教師、学芸員 など

 主な就職先
美術工房、 イベント会社、 テレビ局、 雑貨メーカー、 教育機関、美術館・博物館 など

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。
その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。
 
● 高等学校教諭一種免許状(美術・工芸)
● 中学校教諭一種免許状(美術)
● 図書館司書
● 博物館学芸員

VOICE

  • 安井 響栄さん在学生

    自由な発想で誰かの価値観を揺さぶりたい。

    「立体造形は、なんでもできる」。そう気づいたのは1年次のとき。きっかけは、さまざまな技法を体験できるメチエ基礎の授業でした。立体造形での学びは、写真やグラフィックなど異なる分野の表現手法と組み合わせると可能性は無限大。その点に強く惹かれました。現在は素材が持つ迫力に惹かれ、人の顔や馬などをモチーフとした鉄を使った金属彫刻や、自転車のパーツなどを組み合わせた大型オブジェの制作をしています。立体造形専攻では、木、石、樹脂の加工をはじめ、金属の溶接や鋳造など多様な素材を扱う方法が一通り経験できます。教室は学年ではなく素材ごとに分かれているのも特長で、先輩との交流が多く、他の素材を扱う学生からも刺激を受ける毎日を過ごしています。学外で展示会を企画する授業では、芸術と社会をうまく交差させるための仕組みづくりを学びました。入学当初は芸術家といえば、山にこもって作品だけをつくっているイメージでしたが、先生や同級生は既存のやり方から大きく飛躍した自由な発想を持っていて、作品制作への固定観念が取り払われていきました。将来は作家活動を通して、誰かの価値観を揺さぶる作品づくりがしたいです。
  • 吉野 央子教員

    素材と出会い、可能性を広げる。

    私は主に木彫で作品を制作しています。最近は、各地で開かれる芸術祭などに参加して、場所性をコンセプトにした作品を展開しています。たとえば、農家の方々に協力してもらい、山村集落で作品として鶏舎を出現させたり、島を舞台に魚や蛸を扱った水族館のような作品を手がけたりしています。自分がおもしろいと感じることを大きく発展させて、感覚的にわかりやすい作品を制作するよう努めています。立体造形専攻では、さまざまな素材を扱っています。代表的なものは、木、石、金属、樹脂、粘土、ガラスなど。本専攻の魅力は、まさにその点にあります。新しい素材と出会うたび、表現の可能性は大きく広がるもの。ここで扱う素材の種類と数は無限大なので、あなたの可能性も無限大に膨らむというわけです。入学したら、好奇心と実行力をもって、興味のあることにどんどん挑戦してください。初めから限界を決めてはいけません。自分をあらゆるボーダーラインから開放して、何度も失敗しながら前進しましょう。京都精華大学には、あなたと同じ志をもつ人がたくさんいて、お互いを尊重して気遣う校風があります。自分を探したい人にぴったりの場所ですよ。