日本有数の充実した施設で 新しい形を生み出す

陶芸専攻では、できるだけ多くの素材、技法、考え方に触れることを重視しています。器からオブジェまで、多彩な作品を制作し、柔軟に発想する力を育てます。授業では、手びねりやろくろなどの成形技法をはじめ、釉薬の扱い方、焼成方法などについて、実践しながら学びます。制作を支えるのは、全国でもトップレベルの充実した施設。登り窯や乾燥室など、他にはない環境で作品づくりに没頭できます。指導は、現役で活躍する陶芸家たちが担当します。一人ひとりの長所を伸ばす丁寧な指導と、一流の技と思想を直に感じながら、のびのびと力を伸ばすことができます。土と火で表現する力を身につけて、陶芸による新しい文化の創造をめざしましょう。

科目PICK UP

  • 斜面に沿ってつくられた「登り窯」で、80cmの大壺を焼く。

    [造形実習/3年]
    高さ80cm程度の大壷をロクロでつくり、学外施設「朽木学舎」にある登り窯で焼成します。他学年・他専攻からも参加者を募り、24時間力を合わせて火を守ります。古来より伝わる焼成方法を体験して学び、作業を通して学生同士の絆を育みます。

  • 陶芸展に出品する作品を制作。イベントの企画・運営にも挑戦。

    [卒業研究実習/4年]
    学内ギャラリーで開かれる「大学合同陶芸展」への出品を目標に、作品を制作します。会場を視察し、展示空間に置かれる作品を想像しながら、自分の表現を追及します。また、陶芸展で行われるトークショーなどの企画や運営にも携わります。

4年間の学び

  1. 1年次

    FIRST

    表現者の「幹」をつくる

    芸術学部の共通科目を受講して、観察力や思考力、想像力など表現者としての「幹」を育みます。また、7専攻の基礎を広く学び、これから追求する分野を検討していきます。

  2. 2年次

    SECOND

    基本技法と知識を習得

    手びねりやろくろなどの技法を試して、土を扱う感覚をつかみます。加えて、釉薬の知識と扱い方、焼き物の知識、工芸史、染織史も学んでいきます。

  3. 3年次

    THIRD

    テクニックを高める

    培ってきた技法や知識を活用して、自分のイメージを作品に反映させることをめざします。課題ごとに作品の合評を行い、客観的な視点も取り入れます。

  4. 4年次

    FOURTH

    作家性を追究する

    4年間で培った技術や表現力を駆使して、卒業制作に取り組みます。自分自身の表現やオリジナリティを追求しながら、学生生活最後の作品を完成させます。

4年間で身につく能力

  • イメージを形にする力
  • 最高レベルの設備で育む技術力
  • 現役作家から学ぶ思考力と行動力

作品

施設

自分の身長以上の大きな作品も焼成できるガス窯や電気窯を備えた窯場。

PICK UP!

  • 滋賀県の朽木学舎にある登り窯。3年次の実習にて体験できます。

  • ロクロ室には、30台もの電動ロクロが。広々とした空間で、集中して制作することができます。

  • 学年ごとに設置された実習室は、制作に励む学生たちでいつもにぎやか。

教員

非常勤講師

  • 生駒 啓子(陶芸作家)
  • 井尻 杏那(陶芸家)
  • 大石 早矢香(Ceramic artist)
  • 田中 大輝(陶芸家)
  • 林 大作(陶芸家)
  • 山極 千真沙(陶芸家)

卒業後の進路

 めざせる職業
陶芸家、工芸作家、ジュエリーデザイナー、絵付師、美術教師、学芸員 など
 
● 主な就職先
窯元、美術工房、雑貨メーカー、インテリアメーカー、教育機関、美術館・博物館 など

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。
その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。
 
● 高等学校教諭一種免許状(美術・工芸)
● 中学校教諭一種免許状(美術)
● 図書館司書
● 博物館学芸員

VOICE

  • 田代 初音さん在学生

    人の心をゆるやかに動かす作品をつくりたい。

    陶器が好きな母の影響で、陶器市や美術館に行くのが好きな子どもでした。高校で陶芸を専攻し、黙々と作業に取り組むスタイルが自分に合うと感じて、大学でも続けたいと思うように。設備が充実していて、卒業後の創作支援制度が整っている京都精華大学に入学しました。陶芸専攻は先輩と後輩の交流が盛んで、学年を超えて協力する機会がたくさんあります。たとえば、3年次の夏休みには、みんなで登り窯を焚き続ける合宿がありました。私が務めたのは、同級生や後輩をまとめるリーダー役です。技法の面でも、チームワークの面でも、初めての経験ばかりで苦戦もしましたが、そのぶん学ぶことが多く、成長が実感できるイベントでした。今つくっている作品は「自己」がテーマです。私は何が好きなのか、何を良いと思うのか、なぜそう思うのか、一つひとつ解き明かしながら形にしていきます。同時に、好奇心の赴くまま、自由に表現することも目標にしています。この制作を通して、自分の作品の個性を見つけたいと思っています。陶芸専攻での4年間で、創作活動は私に不可欠だと感じるようになりました。卒業後も創作を続けて、誰かの心をゆるやかに動かす作品づくりに取り組みたいです。

  • 宮永 甲太郎教員

    陶芸は、制限のなかで個性を発揮できる。

    教育活動や学生の成長を通して「教える」ことの面白さを日々実感しながら、作家としての自分も更新し続けています。いつも意識しているのは、学生が自宅に帰った後も、家族と美術の話をするような状況をつくりたい、ということ。テクニックだけを単純に教えるのではなく、美術そのものに対する学びも与えられるよう意識しています。素材と日々向き合う陶芸制作は、重力や摩擦など、さまざまな外部要因に影響を受けます。こうした制限があるからこそ、自分で考えて新しい可能性を編み出すクリエイティビティが発揮できる。それが陶芸の最大の魅力です。加えて、完成までに時間がかかるので、物質が変化していくプロセスに目を向けることで、でき上がったものに価値を見出せるようになります。京都精華大学は、いろんなことに挑戦できる大学。4年間は思っている以上に短いので、テクニックだけに頼るよりも、既存の価値を読み変えたり、ずらしたりしながら、クリエイティブに発想してもらいたい。そうすることで、日々の生活のなかに見出すことのできる陶芸の面白さを、多くの人に伝えたいですね。