身近な視点から世界を見つめ、国際社会で活躍できる力を

世界中のさまざまな文化や社会課題について、海外や国内での体験を通じて学びます。異文化コミュニケーションのための実践的な語学力も向上。研究対象は歴史や宗教、経済やビジネス、食文化、芸術文化、ファッションや音楽、映画などのポップカルチャーまで広大です。興味があることを切り口に地域研究や文化比較を行うことで、国際社会の現状や問題について実感を持ちながら深めることができます。グローバルな視野と、異なる文化を理解するための柔軟な思考力を伸ばし、世界の課題に向き合う力、どんな国や地域でも自分らしく生き抜ける力を獲得します。

国際文化専攻の特長

留学経験で生きた語学力を手に入れる

1年次から段階的に英語力をきたえます。第二外国語として、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語も学べます。海外に留学するフィールドワークプログラムでは、訪問予定の地域について学修する科目も設定。現地で使える語学力を着実に磨きます。英語は留学後も継続して学び、卒業時までにTOEIC 700点をめざします。海外の協定校と連携したイベントやTOEICの点数を上げる講座など、授業外のプログラムを活用し、語学力をさらに伸ばすこともできます。

 海外での調査経験を経て語学力を向上
 TOEIC 700点をめざす
 英語の教員免許も取得可能

TOEIC点数要件を満たした学生全員に、毎年50万円を給付

毎年受験するTOEICの点数条件を満たした学生全員に50万円を給付する奨学金「京都精華大学英語資格取得奨学金」を新設しました(返還不要)
入学前に申請する「資格取得特待生」制度と組み合わせることで総額200万円(4年間の授業料の約半額)の受給が可能になります。
 
「英語資格取得奨学金」
 金額:500,000円(毎年給付)
 対象:国際文化学部グローバルスタディーズ学科に在籍する国内学生のうち次の各号のTOEICスコアを有する2~4年生
・1年次修了までに TOEIC L&R 580 以上
・2年次修了までに TOEIC L&R 690 以上
・3年次修了までに TOEIC L&R 785 以上
 採用人数:上限なし
 選考方法:提出書類により選考

4年間のながれ

  1. 1年次

    FIRST

    ことばを探求し、「読む」「書く」「話す」を少人数クラスで向上

    1年次は専攻に所属せず、人文学や各専攻の基礎を学びます。分野の特徴や研究手法の違いなどを理解し、興味のある研究テーマを探究します。また、物事を掘り下げる力や自分の考えを論理的にまとめ発表する力を身につけ、ことばを通して自己と他者への理解を深めます。
    異文化を知るための外国語学習も重視しています。
    学べる語学 : 英語、韓国語、フランス語、スペイン語、中国語

  2. 2年次

    SECOND

    希望の専攻に所属。学外での本格的なフィールドワークへ

    国際文化・国際日本学のいずれかの専攻に所属。後期からは6カ月間、キャンパスを離れて現地調査を行う「フィールド・プログラム」に参加します。国内外のさまざまな地域を訪れて調査することで、実践に即した思考力を養い、視野を広げます。

  3. 3年次

    THIRD

    得た知見をまとめ、 発表することで理解を深める

    現地調査によって収集したデータや資料を整理し、教員や仲間たちに報告。指摘や議論を通じてさらに視野を広げ、研究テーマへの理解を深めていきます。同時に、所属専攻の専門科目を通して、より深い知識と知見を身につけます。

  4. 4年次

    FOURTH

    卒業研究に取り組み、 自分の考えをかたちにする

    自分の研究してきたテーマを他者に伝わるように論理的に構成し、卒業論文として発表します。論文執筆に取りかかる際には、担当教員が親身になって指導にあたり、構想を練るところから文章の校正まで、一対一でアドバイスを行います。

4年間で身につく能力

  • 世界規模の視点で捉える力
  • 共生できる社会を提案する力
  • 異文化を受け入れ新しい価値を生む力

フィールドワークプログラム

世界とつながり、 新たな視点で考える力を手に入れる

世界各地に長期滞在し、多様な人々とのコミュニケーションを通して、異文化理解を深めます。現地で暮らすことで、日本だけでなく世界が抱える課題をより具体的に考察。言語や文化の違いを乗り越えながら、人々が豊かに暮らせる方法を現地での体験を軸にして探ります。

学びのポイント
 調査期間は半年~最長1年
 海外は8カ所の国や地域から拠点を選び、現地で語学力を鍛える(国内研究も選択可)
 実践的な調査力が身につく
  • 異文化を体験し理解を深める

    関心のある国を訪れ、食事や住居、暮らし方、コミュニケーションの違いなど、異文化を体験。現地でこそ得られる多角的な視点を通して、新たな価値観を手に入れる。

  • 国際的な課題を調査

    環境や貧困など全世界に関わる問題について分析する。現地ではインタビュー調査を行い、人々のリアルな声を知る。社会をより良くするためのアイデアを探求。

卒業論文テーマ例

  • 有機農業の将来性についての一考察 —スペインと日本の有機農業の事例から

    有機農業は、土壌、大気を汚染しにくく、生物多様性にも配慮した環境フレンドリーな農法として世界中の多くの地域で取り入れられている。栽培された生産物は人間の身体にも負担をかけることなく、安心して食べることができる。近年日本でも有機農業の生産物が出回り始めているが、ヨーロッパでは有機農業が市民生活に浸透しており、中でもスペインは上位の有機農地面積を有している。人体、環境にやさしい有機農業ではあるが、問題点がある。化学肥料を使用した慣行農業と比べ生産量は少なくなり、有機肥料の値段は概して高いため、必然的に有機農産物の値段も高くなる。食料安全保障の観点から見ても、生産量の少ない有機農業は課題がある。
    2050 年には総人口 100 億人に上るとされる世界を前に、有機農業はどのような位置づけにあるのか。スペインと日本における有機農業に関する事例から、現在の有機農業を分析し、将来の有機農業のあり方を考察していきたい。

  • 韓国ドラマにおける翻訳の手法  —『わかっていても』を中心に

    本論文は、Netflix で配信されている韓国ドラマ『わかっていても』において、原語でのセリフ、日本語字幕、日本語吹き替えを比較し、セリフがどのように変化しているのか、変化したことによって言葉の伝わり方はどう変わるのかを分析したものである。字幕と吹き替えの制作にはルールがあり、このルールの中で、より多くの情報を伝えるための工夫がされている。
    具体的にはセリフの中でも物語の進行に影響する言葉から優先的に翻訳することや、日本語に翻訳できない韓国語はできるだけ短い意味の言葉を使い、簡潔に翻訳されていることなどである。セリフの分析の結果、吹き替えの方が字幕と比べて、ルールによる制限が少なく情報量は多い。一方で字幕では役者の声を聞きながら映像を見ることができるため、口の動きの違和感を感じることがない。また、役者の声でしか感じ取ることのできないキャラクターの感情が伝わる。

その他の論文テーマ例

 日本国内におけるフードダイバーシティの現状と必要性
 台湾における日本型コンビニの受容
 現代の共食 —共食の基礎概念から、現代の共食を取り巻く社会を再考する
 学校でいじめが起こるのはなぜか、そして解決策はあるのか —世界で最もいじめが少ない国スウェーデンと日本の違いとは
 ベトナムにおける日系企業の海外進出 —外食産業を中心に
 日米におけるスターバックスの比較 —現代の生活におけるカフェチェーン文化
 日本における在日コリアンと「コリアンタウン」イメージの変容 —大阪の鶴橋を事例として
 日本とニュージーランドにおける生物多様性の比較研究 ー両国の鳥類保全にむけた取り組みから
 中国と日本における糖尿病の現状とその治療の比較 —教育の重要性
 コーヒーの倫理的消費に向けたアプローチ
 アメリカ国民は、銃を手放すことはできないのか
 満洲国民衆の生活実態からみる差別 —差別された中国人と朝鮮人
 蘇州版画が浮世絵に与えた影響 —技法・題材・構図を中心に

卒業後の進路

経験を武器にグローバル社会で活躍する
グローバル化が進む現代では、商社や貿易、観光業から、教育、NGO・NPOなどまで、グローバルな視点での問題発見・解決能力や海外と日本をつなぐ人が求められています。さらに、企業では利益の追求だけではなく社会貢献が新たなキーワードとなっており、ソーシャルビジネスやソーシャルデザインの分野での活躍も期待できます。

 めざせる職業
国際公務員、貿易事務、外資系企業(総合職)、学校教員、学芸員、教育機関職員、旅行コーディネーター、NPO・NGO 職員 など

 主な就職先
国際展開する企業、ソーシャルビジネス関連企業、国際協力機関、旅行・観光企業、出版・Web 情報配信企業、NPO・NGO など

 充実した就職サポート
京都精華大学では、着実にステップアップできるよう学年別のサポートや、幅広い進路に対応した充実のキャリア支援体制を築いています。
履歴書対策や面接対策など、個別指導も充実しています。

取得できる資格

 高等学校教諭一種免許状(英語)
 中学校教諭一種免許状(英語)
 図書館司書
 博物館学芸員

VOICE

  • 竹島 千景さん在学生

    韓国のダイエット事情を食品市場から調査したい。

    グローバルスタディーズ学科に入学した理由は、海外に滞在して調査ができる長期フィールドワークに挑戦してみたかったからです。昔から「外国で暮らしてみたい」という夢をもっていたんです。まず1年生のときに短期のフィールドワークで韓国へ。ヘアカラーのトレンド調査を目的にしていましたが、初めての海外は見るものすべてが新鮮で、食文化や生活様式など、他にも調べてみたいことがたくさん見つかりました。現在は長期フィールドワークの準備をしていますが、拠点は再び韓国にする予定です。東アジアの近代風俗学を研究されている先生から指導を受けて、先行研究の調査や情報収集を進めています。現地ではダイエット食品の市場を調査して、人々がもつダイエットへの意識や取り組み方を探りたいと考えています。
    国際文化学部には、いろいろなテーマを研究する人が集まっています。先生や同級生との会話がきっかけで、新しい分野に興味をもったり、自分の研究を発展させるヒントを得たりすることがたくさんあります。周りの人との積極的な意見交換・情報交換が、私の世界を広げてくれています。
  • 西田 テオ在学生

    世界をフィールドに貧困や共生を考える。

    「海外体験を軸に世界の課題を発見・解決できる人に」ということばに惹かれ、グローバルスタディーズ学科を選びました。2年次から貧困問題を調べ始め、3年次の長期フィールドワークではフィリピンへ。2カ月の滞在中、語学学校で英語を学びながら、スラムの子どもたちに食糧と教育の支援をするNGOでインターンとして活動しました。そこで接した子どもたちは十分にご飯を食べられず、学校にも行けません。家がなく、路上で生活する子もいました。日本では想像できない貧困の実態を報告書にまとめ、現地で見た光景や考えたことを伝えようと、授業などで何度も発表してきました。
    もう一つの研究テーマは、ルーツの異なる人たちの「共生」です。ハーフとは何か、ハーフよりダブルと呼ぶ方がよいのでは…というのは私自身の問題でもあり、強い関心を持って研究しています。また、日本で働く外国人、特に技能実習生が受ける差別や生活面の困りごとを調べたりもしました。私は日本語、フランス語、英語の3言語を話しますが、日本語以外はまだ未熟です。語学力を磨き、将来は国際的な仕事に就きたいと考えています。航空会社や観光業界のほか、フィリピンで経験したような、社会や人のために働くNGOにも強い興味がありますね。
  • 鈴木 赳生教員

    比較の視点と考え抜く力で 「驚き」を研究に発展させよう。

    海外での現地調査に挑戦するなら、日本の社会についても勉強しておきましょう。なぜなら、調査の成果が「海外でこんな現象があって驚いた」で終わるのはもったいないからです。驚いた現象を日本での現象と比較して、どこに共通点・相違点があるか、なぜそれが生まれるのかを考えてみてください。そうすれば、共通点・相違点を生む歴史的背景や、そこで生きてきた人々の生活へと興味が広がり、地域への理解が深まっていきます。
    たとえばわたしの調査地のカナダは、日本と比べて、さまざまな人々が平和に共存する多文化主義の先進国とも言われます。しかし、もともと現地に暮らしてきた先住民にとっては「カナダ」それ自体が入植者に押しつけられた外来の異物です。このような植民地化の経緯から根深い不和がある状況下では、表面的な「和解」ではなく、植民地支配の過去と現在に向きあう、より深い意味での共生が求められています。その現場を調査するわたしの研究は、翻って、日本国家とアイヌや在日コリアンの関係を考える際にも有効な視点を提供できるはずです。カナダで多文化主義が「進んで」いて、日本は「遅れて」いる、といった単純な対比をこえていけば、海外と日本を地続きで捉える視野が開けてくるのです。