最新のテクノロジーで新しいつながりを生み、未来を構想する

デジタル革新によって、人間社会は現実と仮想が交わりあう新たな段階に突入しようとしています。同時に、SDGsなど持続可能な社会のあり方が問われ続けています。この時代を切りひらいていくために求められているのは、主体的に課題を発見し、テクノロジーを活用して解決する力です。メディア表現学部では、メディアとコンテンツに関する知識と技術を幅広く身につけた、新しい価値を創造するクリエイターを育成します。1年次は知識と技術を横断的に学び、2年次から専攻に分かれて領域を絞り込みます。第一線のプロである教員と共に、コンテンツ制作の力を磨きながら、企業や行政機関と連携して社会課題の解決を行うプロジェクトに取り組み、ビジネスマインドも身につけます。最先端の表現に不可欠なプログラミングやテクノロジーを活用して、教育、医療、都市設計、経済、エンターテインメントなどあらゆる領域において、さまざまな課題を解決できる多面的な能力を養い、デジタル革新で変わりゆく社会に、新しい価値観を提案していきましょう。
 
取得できる学位
学士(メディア表現)

取得できる資格
高等学校教諭一種免許状(情報)、図書館司書、博物館学芸員

学びのキーワード
プログラミング、IoT、UI・UX、マーケティング、メディアアート、3DCG、AR・VR、ステージ演出

4年間の学び

  1. 1年次

    FIRST

    プログラミングや コンテンツ制作の基礎を学ぶ

    これからの時代に誕生する新しいメディアに向けて、思考実験や実制作を行います。そのために、「メディア」がテクノロジーや表現をどのように進化させてきたのか、歴史をたどりながら体系的に学び、専門理論を習得。イノベーション、メディアのデザイン、メディアを通じたコミュニケーション、音楽表現の領域に幅広く触れ、その本質を学びます。

  2. 2年次

    SECOND

    自分の興味に合わせて専攻を選び、 コンテンツ制作力を磨く

    2年次からは4つの専攻に分かれて学びます。コンテンツ制作の力を磨きながら、企業等での現場体験を通して社会を動かす方法や、新しいつながりを生み出すためのアイデアの発想法を学びます。同時に、課題を発見する力、その課題をテクノロジーを通じて解決するための道筋を探求していきます。

  3. 3年次

    THIRD

    実践的なプロジェクトに取り組み、社会で通用する現場力を身につける

    自身の研究テーマと、テクノロジーに関する技術力を中心に、さまざまな企業、行政機関、研究機関等と連携し、社会課題を解決するプロジェクトに取り組みます。さらに、チームで協働してアイデアを考案し企画を動かす力や、社会に新しい価値を生み出すプロジェクトを立ち上げ、ビジネスとして成立させるための力を身につけます。

  4. 4年次

    FOURTH

    卒業プロジェクトで考えを形にし、 課題解決の提案を社会に発信

    これまでに得た学びの集大成として、自分の考えを形にし、人に伝えるための卒業プロジェクトに取り組みます。インターンシップや課題解決型の授業で培った知見を生かし、アイデアとテクノロジーを掛け合わせた、社会課題解決につながる具体的な企画を社会に向けて発表します。既存の枠組みに収まることなく、未知のジャンルを創出します。

2年次から所属する4つの専攻

プログラミングをベースとした2年次からの専攻

  • メディアイノベーション専攻

    メディアイノベーション専攻ではUI/UXを学びの中心とし、人間中心のサービス企画から開発までに必要な理論と技術を修得します。デジタルマーケティング、デザイン理論、プログラミングや電子工作などの技術を習得しながら、私たちが直面する社会課題の解決をするサービスとプロダクトを生み出していきます。デジタルサービスが国境を超えて利用される現代を見据え、グローバル視点での科目も学びます。WEBサイト開発、3Dプリンターなど、ビジネスを起こす第一歩となる、自分で手を動かして創り出せるクリエイターをめざします。

  • メディアデザイン専攻

    メディアデザイン専攻では、メディアそのものを新しくデザインしていきます。視覚表現の基礎となるビジュアルデザイン以外にも広く知識を身に付け、アイデアを生み出す力を磨きます。同時に、プログラミング、企画・編集、グラフィックデザイン、映像制作、電子工作、ファブリケーション、インタラクティブな表現技法など、表現を支えるさまざまな技術の構成要素を学びます。そこから実際にトライアルを繰り返し、発表し、修正し、練り上げていくのも特徴です。

  • メディアコミュニケーション専攻

    メディアやコンテンツの企画開発を行います。理論と実践の両面から学び、アイデアを形に変えていく力を養います。課題を発見するためのさまざまなリサーチ技法、プロジェクト運営のためのチームマネジメントやプレゼンテーションに取り組みながら、イベントや広告などの企画を実際に社会へ発信し、世の中の評価をもとにブラッシュアップしていきます。そのために、積極的に学外へ出て現場をリサーチすることや、企業や行政、地域コミュニティなど多様な人々と連携することを重視します。

  • 音楽メディア専攻

    作曲や編曲など従来の音楽制作に加え、ゲームや映像領域に連動したサウンドデザイン(効果音制作)、電子音楽やサウンドプログラミングによる音の表現、周囲の環境に配慮するサウンドスケープ(音風景)など、幅広い領域に取り組むことができます。異なる分野とも連動して問題解決を行う、デザイン思考を重視します。音楽プログラミングと電子工作、IoTを組み合わせた新たな仕組みの模索など、音楽をつくるだけではなく、広げて届ける仕組みづくりも重点的に行います。

メディア表現学部の特長

プログラミングを活用したメディア表現を学び、2年次から専攻へ

1年次は、各専攻の専門領域につながる基礎的な理論、制作技術を学びます。日常的に目にするメディアコンテンツの背景には綿密なリサーチや構想設計、丹念な技術習得があります。多様なメディアにおける表現のプロセスをゼロからたどり、制作を経験することで、自身の関心を深め将来を見極めていきます。
 

テクノロジーを駆使した表現を学ぶ

メディア表現学部で指導するのは、テクノロジーを駆使したユニークなコンテンツ制作を行うプロたち。そんな教員から、AIやIoTをはじめ、空間映像、立体音響表現など、最新のテクノロジーを学び、実社会が求める事例を知り、メディアを組み合わせ、新しい価値観を社会にもたらす発想力を育てます。自分だけの表現の可能性を共に探ります。
 

社会と関わるプログラムが充実

自らが課題を発見し、アイデアを形にして社会に投げかける多様な方法を実践するため、企業と連携した授業やプロジェクトに取り組みます。人びとを楽しませるコンテンツ制作に加えて、生活を便利にし、既存の価値観に変化を起こすサービス企画や新しいメディア活用を提案します。学内で学んだ知識と技術を社会課題に結びつけ、力を試し、育てる機会を豊富に用意しています。

学科共通科目

プログラミング(1~2年次必修)

プログラミングは、デジタルでのコンテンツ制作に欠かせません。この授業では、基礎的な知識を得ることで、「つくれるもの」や「できること」の幅を広げることを目的としています。興味やレベルに応じた課題で、実際にアプリをつくりながら高度な内容を理解していくことができます。

[ポイント]

 プログラミング言語は、学びやすく、今後の需要も高くなる「Python」を使用
 ガジェット「micro:bit」を利用し、コードの結果を音や光で体感しながら学ぶ
 「つくりたいもの」をまず考え、そこから必要な技術を学び力をつける

[授業例]

プログラミングを活用し、一定のリズムでLEDを光らせたり、音を鳴らしたりしてみる。さらに光センサーで明るさを検知したり、モーターを制御して動かしたりする。最終的な課題として、これらの技術を組み合わせた作品を企画・制作して発表する。

エクスターンシップ(2年次必修)

ビジネスの現場をリアルに体験して社会で求められる力を知る。

連携先の企業や団体に身を置き、現場での役割や仕事の進め方、リアルな課題を理解し、他者との協働を通じて自分の可能性を広げることができます。業種や職種、仕事の仕組み、社会で求められる力を体験から知ることが目的です。
 
[ポイント]
 興味がある分野の仕事の仕組みを理解する
 多様な仕事のありかたやチームワークを学ぶ
 自分の得意分野とかけあわせ新しい仕事を創造する

[連携先業種]※2023年度実績
広告代理店、Web制作会社、ゲーム制作会社、プロジェクト企画会社、出版社、デザイン事務所、ラジオ制作会社、雑誌出版業、化粧品メーカー、飲料メーカー、鉄道会社、酒造会社、建築会社、工務店、商店街振興組合、観光業、介護事業、書店、文房具店、リサイクルショップ、神社、銭湯、結婚式場、交通公園、コミュニティスペース、小劇場、ギャラリー、福祉センター、舞台製作会社 など約50社

社会実践実習(3年次必修)

社会や企業のニーズに応じた実践的プログラムで能力の向上を図る

商品開発や新規サービスの提案、イベントの企画運営など、課題解決のためのアイデアを形にし、社会に発信するプロセスとその反応を実践的に学びます。計画・実行・振り返りのサイクルから、社会の現場で必要な力を養います。
 
[ポイント]
 多様なメンバーのチームで働き社会とつながる
 「計画→実行→振り返り」で改善のためのサイクルを学ぶ
 大学と社会を短期間で行き来する

[プロジェクト (2023年度実績)]
「サービスのUI/UX改善」「イマーシブ・メディアで京都の生きた歴史の記録」 「地域課題解決・人と物事が繋がる場づくり」 「京都の音風景アーカイブ活動」「パフォーマンス集団のイベント実施」 「日本庭園におけるメディアミックスイベントの企画・制作」「出版メディアのアーカイブ」「学校教育・社会教育への参画」「新たなコンテンツビジネスの創造実践」「デジタル・インスタレーションの展示運営」「サービスの開発とフィードバック」「若者のメディア意識・行動に関する調査」「音源録音」 「公共空間を使ったイベント実践」「ハッカソンイベントの企画と実践」「現代メディア環境の研究とポータルメディア制作」 など

卒業プロジェクト(4年次必修)

3年次までに取り組んだコンテンツやサービスをもとに、新しいメディアを開発。制作物を実際に発信し、社会の反応も取り入れながら改良を続け運営を行います。一定期間運営した後は、コンセプトやターゲット、背景などの企画意図や活動内容を卒業論文としてまとめます。

[ポイント]
 制作、発信、運営と論文作成の両方に取り組む
 学内外の人を巻き込み、社会を実際に変えていく
 そのまま仕事として通用する動き方を身につける

施設

実習室

フリーアドレス形式の実習室。グループワークができる広いテーブルや、個人作業がはかどるような集中できるスペースなど、新しいアイデアが生み出される仕掛けが多数用意されています。

PICK UP!

卒業後の進路

スキル×企画力はあらゆる業種に対応
テクノロジーの発展で表現が拡張していくなか、新しい技術・コンテンツを生み出す力と企画力を兼備する人材が求められています。身につけた最先端の知識やデジタル技術は、映像、ゲーム、Web、エンターテインメント業界などにとどまらず、情報サービス、流通・販売、教育、企業内クリエイターなど、あらゆる業種で生かすことができます。

めざせる職業
UI/UXデザイナー、UXリサーチャー、テクニカルディレクター、XRデザイナー、Webデザイナー、プログラマー、アプリデザイナー、システムエンジニア、マーケター、サービスプランナー、プロジェクトマネージャー、起業家、デザインエンジニア、映像作家、メディアアーティスト、グラフィックデザイナー、プログラマー、クリエイティブディレクター、テクニカルディレクター、パブリッシャー、企画者、プランナー、編集者、キュレイター、プランナー(マスメディア、SNS、コンテンツ関連など)、メディア/コンテンツのプロデューサー、クリエイティブディレクター、マーケター、一般企業の企画・開発職や広告・広報担当、地域創生プランナー、地域コミュニティデザイナー、サウンドデザイナー、音楽プロデューサー、ミュージッククリエイター、空間音響設計、音響映像設備工事・販売、楽器技術者・販売・営業 など 

取得できる資格

高等学校教諭一種免許状(情報)、図書館司書、博物館学芸員

VOICE

  • 荒川 太洋さん在学生

    情報の伝え方を研究したい。防災活動が入学のきっかけに。

    高校生のとき、地元の防災情報を発信する活動に取り組んでいました。そこから、「どのメディアを使って、どのような形で、誰に届けるのがベストなのか」と、情報の伝え方について考えるようになりました。メディア表現学部を選んだ理由は、それが学べる学部だと感じたからです。情報に限らず、以前から好きだった動画撮影や音楽を学べる点も良いと思いました。
    1年次は、すべての専攻の基礎を学んでいます。特におもしろかった授業は、日常にあふれる音を集めてひとつの音楽作品をつくりあげる授業や、プログラミングでロボットを動かす授業など。どの授業も、初めての挑戦や新しい発見にあふれていて楽しかったです。今興味をもっているテーマは、オノマトペで表すような音の情報を、耳が聞こえない人に届ける方法です。たとえば、道路で聞こえるゴーッという車の音や、建物の中で聞こえるコツコツという足音などを、耳が聞こえない人にリアルタイムで伝えるにはどうすれば良いかということを2年次から研究していきたいと考えています。また、ロボットを動かす授業が楽しかったので、電子工作にも挑戦してみたいです。
    メディア表現学部の魅力は、さまざまな分野を学んでから、自分の目標を見つけて取り組めるところだと思っています。広く学べば進みたい道がきっと見つかると思うし、ここで得た多様な知識を進んだ道で生かすこともできそうです。また、いろいろな興味や志向をもつ同級生たちの存在も大きい。好きなことを追求している友達から、良い刺激を受けることは多いです。
  • 今住 心音さん在学生

    興味があるのはビジュアル表現。 1年次の学びを経て気づきました。

    高校生のころから、社会で役立つプログラミング技術を身につけたいと考えていました。メディア表現学部を選んだのは、プログラミングだけでなく、デザインなど幅広い分野も学べる点に惹かれたからです。プログラミングもデザインも未経験でしたが、新しいことが学べるとわくわくしていました。
    全専攻の分野を学ぶ1年次の授業は、私にとっては知らないことだらけで刺激的でした。クラスメイトには、コンピュータに詳しい人や、芸術作品に詳しい人もいて、同級生からもたくさんのことを教わりました。そんな学部で1年間を過ごすうちに、私はビジュアル表現に関心をもつようになっていきました。
    2年次になってからは、グラフィックデザインを中心に学んでいます。最近は、町中にあふれるポスターを観察しながら、表現のトレンドや多様性を学び、デザイン力を伸ばす努力をしています。ポスターなどを実際に制作する作業も好きですが、より良いデザインとは何かを考えることがもっと好きなので、「私にはデザインディレクターが向いているのかも」という気がしてきています。また、『人権と教育』という授業を通して、文字が読めない人に情報を伝えるにはどうしたら良いか、という問いが自分の中に生まれてきました。3年次以降は、このテーマも追求していきたいと考えています。
    この学部は、興味に応じて柔軟に学べるところが魅力です。未知の分野でも先生が丁寧に教えてくれるので、不安があっても大丈夫。自由にのびのび学べる環境が気に入っています。
  • 上東 裕奈さん在学生

    授業で得た知識と経験を生かして印刷メディアの未来を考え中。

    入学した当時は映像制作に関心がありましたが、1年次に幅広い領域について学ぶうちに、マーケティングなどに興味をもつようになりました。2年次からは、ビジネス分野の科目を中心に履修しています。
    印象に残っているのは、企業のブランディング方法を分析する授業や、自分自身のマーケティングに挑戦する授業。また、企業の方々に新規サービスを提案するプロジェクト型授業も、実践的でやりがいがありました。このような、実在の企業を扱うケーススタディや、学外の人と交流して課題解決に挑戦する授業は、社会で役立つ力が身につく実感があり、とてもわくわくします。プログラミングの授業には苦戦しましたが、エンジニアの仕事がどのようなものか学べたことは収穫でした。将来、エンジニアと働くときに役立つと考えています。
    この学部の魅力は、グループワークを行う機会が多いところ。いろいろな性格・価値観をもつ同級生と話し合い、協力することを繰り返すうちに、考え方がずいぶん柔軟になり、視野が広がりました。自分の考えを人に伝える力や、人の意見を受け入れる力も育まれたと思います。最近興味をもっている課題は、印刷メディアの可能性についてです。デジタル社会になった今、印刷メディアは、若い世代にどのような役割が果たせるでしょうか。これから、このテーマを研究していきたいと思っています。卒業後の目標は、広報に関わる職業に就くことです。あらゆるモノやコトの魅力を、たくさんの人へ伝える仕事に、この学部で得た知識や経験を生かしたいです。
  • 吉川 昌孝教員

    新しいコンテンツやサービスで よりよい暮らしや社会をつくる人に。

    メディアと言われて思い浮かべるものは、これまではテレビやスマートフォンだったかもしれません。しかし、IoTであらゆるものがインターネットでつながる時代は、家電や乗り物も情報を運ぶ媒体になります。メディアの多様化に伴って、今後はこれまでにないコンテンツやサービスがたくさん生まれるでしょう。それらはわたしたちの暮らしを変え、社会を変えていきます。メディア表現学部では、そんな新しい時代をつくるクリエイティブ思考をもった人を育てます。
    学部の特徴のひとつは、プログラミング科目を必修にしていること。デジタル化が進んだ社会で新しいモノやコトを生み出すには、プログラミングの知識と技術が欠かせないからです。ただし、技術の習得だけが目的ではありません。それはあくまでも、課題を解決するための手段です。まずはめざすもの、つくりたいものがあり、そのために必要な知識や技術を身につける、という発想で学んでください。
    もうひとつの特徴は、社会との関わりを重視すること。メディアとは、情報を受け取る人の存在ではじめて成立し、受け手の反応に応じて変化し続けるもの。だから、学生には積極的に発信することを奨励し、企業と連携する授業などを設けています。社会に働きかけ、フィードバックを得て作品を進化させる面白さを、体感して学んでほしいと思います。入学したら、メディアを活用し、人の暮らしや社会を変える「新しい価値」をつくることに挑戦してください。テーマや形式は問いません。これまでにない映像コンテンツを制作してエンターテインメント界に革命を起こしてもいいし、SDGsを達成するための画期的なサービスを構築してもかまいません。この学部から、日本や世界の未来を任せられるような人が巣立ってほしいと願っています。