7. 入学前教育

ADMISSIONS

京都精華大学では、専攻での専門的な学びを支える力、社会で生きていく土台となる力である「3つの基礎力」(教養力・表現力・協働力)に気づいてもらうことを目的とした、入学前教育プログラムを実施しています。
下記の内容を確認して、入学までの学びの準備に取り組んでください。

入学前課題の提出

「Discovery Diary(ディスカバリー・ダイアリー)」の作成

提出日:2026年4月入学後(期日は改めてお知らせします)

各自で、A4サイズ・無地のクロッキー帳やノートを用意して、興味をもったことや発見したことについて、少なくとも5ページ以上記録してください。
記録方法は、メモや絵、調べたものをコピーして貼り付けてスクラップするなど、自由です。感想や感動、発見したことなど、クロッキー帳をどんどん埋めて膨らませましょう。
ページ数は最少を5ページとしますが、積極的な取り組みを期待します。

こんなことを記録してみましょう
自分の好きなもの、立ち止まったショーウィンドー、出会った言葉、興味を持った作家や作品・展覧会、聴いた音楽、見た映画・ドラマ・ビデオ、読んだ本、マンガ、雑誌、気になった新聞記事、疑問や不思議に思ったこと  など
 

学びのおすすめリスト

学びのおすすめリストは、「Discovery Diary(ディスカバリー・ダイアリー)」の参考として、各学部の教員がおすすめする書籍や映画、場所等のリストです。
入学までのあいだに、大学で学びたいこと、自分の関心があることを考えるきっかけとして、ぜひ読書や映画鑑賞、寺社仏閣への訪問などに取り組んでみてください。

人文学部

人文学科歴史コース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『日本の歴史をよみなおす(全)
(著:網野善彦 / 筑摩書房 / 2005)
日本の歴史に出てくる「百姓」について、農民のイメージをもつ人が多いと思います。それは、日本が歴史的に民衆を支配するなかで、公的な税(年貢)として米を前提に計算し、田地の管理を重視したことなどが関わっています。本書では、支配者からの視点では捉えられないマルチな側面をもつ百姓像が浮かび上がり、決して弱者ではなく、社会や経済をダイナミックに動かしてきた新たな百姓像を知ることができます。他にも、日本史上のジェンダー、天皇観、差別問題などの実像にスポットを当てています。
『京都 知られざる歴史探検』上下
(著:山田邦和 / 新泉社 / 2017)
京都生まれ京都育ちの考古学者である著者が、京都市周辺の150余りのスポットを紹介しています。有名な観光地である清水寺や二条城なども取り上げていますが、研究者はそんなところを見るのか!という驚きに満ちています。歴史学から見たディープキョウトにぜひ触れてみてください。さらには実際に行ってみてください。


おすすめの場所

● 地元図書館の《郷土資料コーナー》
多くの図書館には、郷土の歴史に関する書籍を集めた郷土資料(地域資料)の棚やコーナーがあります。地元の図書館にあるか探してみましょう。自分の馴染み深い地域の歴史や伝統に触れることで、今まで知らなかった地域の魅力が再発見できると思います。そして、それが日本全体の歴史のなかでどのように接点をもつのかについても考えてみましょう。
 
郷土資料館
地元に郷土資料館がある場合は、ぜひこちらにも行ってみましょう。地域の貴重な史料や遺物、展示解説を見学してみると、自分の地域の歴史をより深く知ることができます。
 愛宕山(京都市右京区)
京都市の西側にそびえる標高924mの山で、山頂にある愛宕神社は「火伏せの神様」として知られています。天狗の住む山という伝説もあります。廃線となったケーブルの跡、破壊された寺院跡など、注意深く見ると様々な歴史の痕跡を見いだすことができます。山頂まで登るのには、かなりの体力と気力が必要ですが、おすすめです。ここでなくても、みなさんの近くにある山に登ってみるのもいいかもしれませんね。


おすすめのWEBサイト

古代・中世の人々が身につけていた衣装が復元されています。丁寧な解説も載っています。過去の生活や、身分・立場の差を視覚的に感じてみましょう。
京都の東寺に伝わった古文書が2015年にユネスコ世界記憶遺産へ登録されました。このサイトでは、なぜ東寺の古文書が世界遺産になったのかはもちろん、貴重な古文書が現代に残された背景として、様々な人々の工夫や援助があったことも解説されています。また、高解像度の画像で古文書の紙質や筆跡の細部まで確認でき、古文書の見方やポイントも解説されています。
 

おすすめの体験

 お祭り 
地元や近隣のお祭りがあれば行ってみてください。ただ参加するのではなく、お祭りを広く観察してみましょう。例えば、どの神社のお祭りで、主催・協賛している地域や地区(氏子)はどの辺りなのか、神社のエンブレム(社紋)にはどんな意味があるか…など、歴史的背景に迫る手がかりがたくさん見つかると思います。気になったことは地元図書館に行ってみると分かることが多いと思います。
博物館・美術館 
作品や展示品をじっくり観察してみましょう。展示品に付けられたキャプションを頼りにしつつ、自分の眼で対象を捉えてください。最初は気づかなかった自分なりの気になる所や面白いポイントが出てくると思います。
歴史散歩をしてみよう 
大学のある京都市の中心部は、平安京造営に伴う都市整備を出発点としながらも、室町期、戦国期を経て、豊臣秀吉の大改造によって現在に繋がる都市空間が成立しました。そして、近代以降、人びとの生活様式の変化に伴って、街も変容していきました。こうした京都の歴史的なあゆみは、いまも残る史跡や歴史的建造物はもちろん、道路のあり方ひとつにも刻み込まれています。ぜひ、地域に残る歴史を歩いて散策する歴史散歩を通して、京都の歴史を体験的に学んでみてください。歴史散歩をより面白くするためには、地域の歴史を紐解いた本に学びながら歩くことをおすすめします。京都市内のスポットを楽しくかつ深く解説した本として、上記の『京都 知られざる歴史探検』のほか、小林丈広・高木博志・三枝暁子『京都の歴史を歩く』(岩波書店(岩波新書)/ 2016)があります。また、古地図と現在の都市空間を比べられる、金田章裕『古地図とゆく京都歴史散歩』(SBクリエイティブ(SB新書)/ 2024)や谷川彰英『重ね地図で読み解く京都1000年の歴史』(宝島社(宝島社新書)/ 2018)もおすすめです。もちろん、こうした歴史散歩は京都以外でも楽しむことができます。たとえば滋賀県であれば、江戸時代の宿場町を訪ねたり(おすすめの本:八杉淳『近江の宿場町』サンライズ出版 / 2009)、彦根城とその城下町を散策するのも楽しいです(おすすめの本:母利美和監修『彦根城(図説 日本の城と城下町7)』創元社 / 2023)。ぜひ、自分の気になる場所で、歴史散歩を楽しんでみてください!通り過ぎるだけでは得られない、たくさんの発見がありますよ。
 
 

アドバイス

大学での専門的な歴史の学びも大事ですが、普段の生活範囲や、なじみ深い地域の景観の中にも歴史は息づいています。まずは周りの歴史を感じて関心を向けてみましょう。歴史を追求していくうえで探究心は欠かせません。また、教科書や本から得られる知識だけでなく、実際に見たり感じたりすることも同じくらい重要です。上記でおすすめした場所や体験などを参考に、歴史を探求し感じることを経験してみてください。大学で歴史を学ぶ際にきっと貴重な財産となります。
 

人文学科文学コース

「おすすめの○○」というテーマで、以下に文学コースの教員によるサンプルを紹介します。これを参考に、みなさんもテーマを設定し、写真を撮影したり、調べてみたり、発見したことをディスカバリーダイアリーにまとめてください。テーマはいくつでもかまいません。


おすすめの神社仏閣

自分の地元の、なんとなく入ったことのないお寺や神社に入ってみること。自分の地元のお寺や神社、いくつ知っていますか?私は転勤族だったこともあり、自分の氏神様も知りません。その反動か、京都に来てからは目に付いたところにはなるべく行くようにしていますが、自分の地元の神社やお寺を訪ねてみると、地元のマイナーな伝説や、自分のルーツがわかって面白いかもしれません。

 

おすすめのコミュニティ

「ここ」といった場所ではありませんが、買い物、特に実店舗での買い物が好きです。特に服屋では、積極的に店員さんと話します。話しかけてほしくない、という声はしばしば耳にしますが、感動するような接客に出会うこともありますし、自分にはない発想を学ぶことができます。その意味では、場所というよりも、そこにある他者との出会いやコミュニケーションがおすすめなのかもしれません。

 

おすすめの図書館

地域の図書館に行ったことはありますか。子どものころはよく通っていたけれど、最近はあまり…という人もいるのではないでしょうか。近くの図書館、少し遠い図書館、あちこちの図書館に行ってみましょう。新しい本との出会いがあったり、知っている本でも、違う場所で見かけると新しい発見があるかもしれません。とくに、地域コーナーに行ってみましょう。よく知っているはずの地元、あまり行ったことのない場所の文化・歴史などが見えてきます。

 

おすすめの本

高校で使用した国語の教科書
教科書は捨てずに持っておかれたらよいですよ。大学で文学を学んでから、折々に教科書を開いてみてください。教科書からちがった景色が見えてくるかもしれません。ちがって見えた分だけ、高校時代から遠くに来た(成長した、大人になった、深く読めるようになった)ことが確認できます。まずは高校の授業で習った単元を再読したり、授業で取り上げられなかった単元を読んでおきましょう。

 

おすすめの辞書

意味を調べるだけではもったいない!まず、手近にある辞書をパラパラっとめくり、適当なところで止め、そのページの中で目に留まった言葉の意味を読んでみましょう。その説明の中で気になった言葉をまた辞書で引いてみる。これを繰り返していくと、最初に調べた言葉から、どんどん言葉の輪が広がっていきます。最初に調べた言葉と、最後に調べた言葉を使って、短い文章を作ってみると、どんな表現ができるでしょう。うまく文章になることもあれば、どう考えても一文にならないこともあるでしょう。ぜひ、たくさんの言葉に出会ってください。

 

おすすめの水族館や動植物園

純粋に海獣類や植物が好きだからというのもあるのですが、文学、特に私が専門とする俳諧の作品には意外とたくさんの動物や植物が出てくるので、その実態を知ることにもつながります。もちろん、気分転換にもおすすめです。

 

おすすめの運動

最近、よく歩くようになりました。はじめは座りっぱなしでの運動不足を解消しようとしたのですが、頭の中を整理する時間、あるいは何も考えない時間が、案外心地よいように感じます。スマホやパソコンから離れているのがよいのかもしれません。運動しなければ、と思うと億劫ですが、頭を休めようと思うとむしろ楽しみです。同じ歩くという作業ですが、とらえ方ひとつでまったく印象が変わる、これも歩きながら実感できたことです。

 

おすすめのスポット

さくらであい館(最寄り駅:京阪電車 石清水八幡宮駅)
宇治川・木津川・桂川が三川合流して淀川となる地形が一望できる展望台です。16時半まで入場できます。太陽の光が川面に反射する夕方のわずかな時間がすばらしい。まだまだ認知度が低い穴場です。セットで、目の前の御幸橋を渡って石清水八幡宮駅にも参拝してください。3月末頃は背割堤の桜のトンネルも見事ですが、桜が咲いていない時期も気持ちのよい散歩コースです。

 

おすすめのジブリ作品

宮崎駿監督『風の谷のナウシカ』を最初として、『となりのトトロ』など多くの映画がスタジオジブリ作品として公開されました。これらの作品が何度もテレビで再放送され、高い視聴率をとるのはなぜでしょう。ジブリ作品の魅力を探るため、徳間書店から出ている「ジブリの教科書」(文春ジブリ文庫)シリーズを参考に、あなたの好きな作品の世界をより深く理解してみましょう。
 

人文学科社会コース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『社会学入門』
(著:⾒⽥宗介 / 岩波新書 / 2006)
本書は、2022 年4⽉に亡くなった⽇本を代表する社会学者、⾒⽥宗介さんが書かれた社会学の⼊⾨書です。「当たり前を疑う」という社会研究の基本的な⽴場を、⾝近な現象を材料に、わかりやすい⾔葉で論じています。⼤学で社会/⽂化研究を学ぶ前に是⾮読んで頂きたい1冊です。

 

おすすめの場所 

国立民族学博物館(大阪)
おすすめしたいのは、大阪府吹田市の万博記念公園にある国立民族学博物館です。ここにはアイヌに関する常設展示もあり、昔の生活道具や資料だけでなく、現代の文化活動や言語復興の取り組みも紹介されています。これによって、アイヌ文化が「今も生きている文化」であることを理解することができます。また、アイヌと周辺の民族との関わりについても学べるため、より広い視点で文化の多様性を考えることができます。
さらに、国立民族学博物館では年間を通して魅力的なイベントや特別展が開催されており、訪れるたびに新しい発見があります。館内には民族学に関するあらゆる分野の本を所蔵する大きな図書館もあり、より深く学ぶための貴重な場となっています。
詳しくは公式サイトをご確認ください。

 

おすすめの体験 

● 京都の銭湯めぐり
京都市内の銭湯の数は60年ほど前の最盛期に比べると大幅に減っているものの、現在でもおよそ80軒の銭湯が営業しており、なかには国の登録有形文化財に指定されている船岡温泉(北区紫野)など創業100年を超える老舗の銭湯も複数あります。時間をつくってゆったりと銭湯めぐりを楽しんでください。銭湯が地域に果たしてきた社会的役割に気付き、京都の歴史や京都独自の銭湯文化を体感できると思います。
 
 

おすすめのWEBサイト

電影紙芝居のサイトでは、いろんな作品が見られます。
「天の浮舟」は、森を消費した国の少年と森をなくした国の少女が出会い、不思議な旅をする話です。朗読、音楽、紙芝居が融合した作品が、動画としてこのサイトで提供されています。
さらに学びたい人のためには、同じサイトにより深く学ぶためのリンクが貼られています。人身売買という、実感が湧きにくい話が、実は身近にあるのだということに気付かされ、考えさせられる内容になっています。音楽や朗読とともに見ごたえのある作品ですが、紙芝居なので子どもから大人まで楽しめます。
・おすすめの作品:「天の浮舟
 

国際教養学科国際文化コース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『エリア・スタディーズ ~を知るための…章』
(明石書店)
このシリーズでは、「現代韓国を知るための61章」などから、よりテーマを絞った「スペインの歴史都市を旅する48章」「食文化からアフリカを知るための65章」「パレスチナ/イスラエルの〈いま〉を知るための24章」など、200冊以上の本が出版されています。それぞれの国や地域について研究している大学教員、その地に滞在し活動している実務者などが執筆しており、興味のある国や地域、テーマについて学ぶ第一歩になります。
『世界がわかる地理学入門 気候・地形・動植物と人間生活』
(著:水野一晴 / ちくま新書 / 2018)
京都生まれ京都育ちの考古学者である著者が、京都市周辺の150余りのスポットを紹介しています。有名な観光地である清水寺や二条城なども取り上げていますが、研究者はそんなところを見るのか!という驚きに満ちています。歴史学から見たディープキョウトにぜひ触れてみてください。さらには実際に行ってみてください。
『ヤンキーと地元 解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』
(著:打越正行 /ちくま文庫 / 2024)
民族誌(フィールドワークを通して人間社会を描いた記述)では、調査者自身が研究対象の内側の理論を体得し、身体化すること、そしてそれを平易な言葉で表すことが重要です。これまで雲霞のごとく民族誌がある中で、本書は近年最も優れた民族誌であると評価されています。その対象は「ヤンキー」で、奇をてらった感じがしますが、研究者がヤンキーの「パシリ」として関係性を築くことで、彼らのコミュニティに入り込み、その中で得られた豊かな情報で描かれています。国際文化コースでもフィールドワークを重要視しますが、まさにその手本としてお勧めしたい書物です。※著者の打越氏は2023年に急逝されました。
『社会学入門』
(著:⾒⽥宗介 / 岩波新書 / 2006)
著者の見田宗介は、東大社会学の知の巨人でした。彼のなによりおもしろいところは、頭で理論を構築するエリート理論家として登場しながら、その後インドやメキシコ、ペルーを自分の足でめぐり、そこで感じた世界から自分の思想を一度まっさらにして再出発したところです。本書はそんな見田の思想が縦横無尽にくり広げられる良書で、白人男性の社会学者を列挙するような退屈極まりない入門書とはまったく異なり、彼の自由でユニークな発想が存分に感じられます。近年の内向きに閉じた胸躍らない社会学では失われた、自由奔放な社会学の世界をじっくりと堪能してください。
『パープル・ハイビスカス』
(著:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ / 2022)
合州国で暮らすナイジェリア人作家による渾身の小説。西アフリカのナイジェリアを舞台に、植民地化された社会における「伝統」と「西洋」のずれや衝突、内戦が残した傷跡といった大きなテーマを、ひとつの家族の生活、一人の少女の成長という具体的な経験の世界に落としてリアルに描きだしています。「単一の物語の危険」を論じたことでも有名な著者は、「アフリカ」や「女性」といったざっくりとしたカテゴリーに人の生きる経験を押しこめ、「アフリカは○○」「女性は××」といった定型句に落とし込んで理解した気にさせる単純化に警鐘を鳴らしてきました。外から見た単純化されたイメージによってわかった気になるのではなく、一言では言い表せない人間生活の襞をリアルに感じることの重要さは、フィールド調査でも物語でも変わりません。


おすすめの場所など

● 国立民族学博物館(大阪)
国立民族学博物館(ミンパク)は日本最大の民族学博物館で、世界の様々な「モノ」が展示されています。多くの研究者を抱えるミンパクでは、スタッフが様々な企画展を行っています。世界の様々な地域で作られた様々な展示は、世界を様々な角度から見せ、我々の想像力を掻き立てます。
 ウトロ平和祈念館(京都府宇治市)
宇治市の大久保駐屯地の北側に位置する「ウトロ地区」は、第2次世界大戦中に日本国際航空工業の建設工事のために徴収された朝鮮半島出身者の飯場(宿泊所)の集住地区である。長い間行政からも無視され、上下水道が通ったのがここ10年ほどという、いわば在日外国人差別の典型的な例として有名です。しかし、長年にわたる権利の回復運動、また、韓国からの支援と日本のサポーターとの連帯が実を結び、2021年8月30日にこのウトロ平和祈念館が開館しました。祈念館の展示、そしてそこで働く人びとの話は、差別が決して遠い世界のことではなく、まさにそこで起こっていたことを感じさせる場所です。
 独立行政法人国際協力機構(JICA)/独立行政法人国際交流基金(JF)
JICAは、日本の国際協力を幅広く進めている機関です。海外にボランティアを派遣する「JICA海外協力隊」などの活動を行っており、日本国内にも15の拠点があります。そこでは、国際協力や世界が直面している課題について学ぶことができます。JFは、日本と世界をつなぐ文化交流を行う機関です。美術や音楽、演劇、映画、ファッションやデザインなどを通じて日本の文化を世界に紹介したり、国内外で日本語教育を進めたりしています。また、日本各地でイベントを開いたり、情報を発信したりしています。これらの機関の活動を知ることは、将来、自分がどのように海外とかかわり、国際協力や文化交流に参加できるのかを考えるきっかけにもなります。
各国の文化交流機関 
日本国内には、さまざまな国の文化交流機関があり、その国の言語や文化を学ぶチャンスを提供しています。たとえば、イギリスの「ブリティッシュ・カウンシル」、ドイツの「ゲーテ・インスティトゥート」、フランスの「アンスティチュ・フランセ」、スペインの「セルバンテス文化センター」、イタリアの「イタリア文化会館」、韓国の「駐日韓国文化院」などがあります。これらの機関では、語学講座や映画上映、コンサート、美術展などが行われており、海外の文化を身近に体験することができます。

 

アドバイス

現代の皆さんの世代はスマホなくしては生活することが難しいのではないでしょうか。何もスマホを捨てろとは言いませんが、スマホの中で展開する世界やスマホからはわからない世界をたくさん体験しておいてください。スマホの数百倍の画面で見る映画館のスクリーン、古本の香り、山道の落ち葉を踏みしめる感覚、ライブハウスの生演奏の重低音、初めて食べる異国の食べ物の味…本もたくさん読んでほしいですが、体験する機会を積極的に作ってほしいと思います。
 

国際教養学科国際日本学コース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『マンガって何? マンガでわかる マンガの疑問』
(監修・編集:京都国際マンガミュージアム、京都精華大学国際マンガ研究センター / 青幻舎 / 2024)
本学が運営する京都国際マンガミュージアム。本書は、日本を代表するマンガ関連施設であるマンガミュージアムの常設展「マンガって何?」をベースにしたものであり、歴史・メディア・ 産業・表現などの観点からマンガ文化をマンガ形式で解説するマンガ研究の入門書です。
『サトコとナダ』全4巻
(著:ユペチカ / 星海社 / 2017〜2018)
日本からアメリカに留学したサトコのルームメイトは、サウジアラビア出身のナダ。二人の出会いから、異文化交流、そして友情が描かれています。二人や周囲とのやり取りから「異文化」への印象が変わるかもしれません。
『6カ国転校生ナージャの発見』
(著:キリーロバ・ナージャ / 集英社インターナショナル / 2022)
6カ国の学校で学んだ著者が、それぞれの学校での体験と発見を紹介する本です。どこの・どんな学び方が良い・悪いと言うのではなく、「鉛筆はよく書くための道具、ペンはよく考えるための道具」というように相対化されています。
『芸術学ハンドブック』
(編:神林恒道 / 晃洋書房 / 1989)
自分自身が学部生のときに読んで芸術学の概要が理解できた本。1989年の刊行なので、もう古 書でしか入手できないと思っていたら、まだ新刊が出ていると知ったのでおすすめします。
『共感と商い』
(著:八木隆裕 / 祥伝社 / 2023)
著者は京都で150年にわたって茶筒をつくり続けてきた開化堂6代目当主。伝統的な手仕事を次代に伝えていくためには、利益や効率だけでは測れない価値観があることが語られています。


おすすめの映画

● 『この世界の片隅に』(監督:片渕須直、原作:こうの史代 / 2016)
マンガ家・こうの史代の同名マンガを原作としたアニメーション映画。ごく普通の女性の戦争体験を通して、戦争が私たちの人生をどのように揺らがすかを考えさせてくれる作品です。終戦80周年を迎えたこのタイミングで、ぜひ見ていただきたい一作です。
● 『HAFU』(2013)
5人の「ハーフ」を追ったドキュメンタリー映画です。多様性が叫ばれる一方で排外主義的な主張も見聞きする今、「ハーフ」である彼らの経験・その語りから、日本の現状や他者理解、共生などについて考えてみることができます。
● 『小学校〜それは小さな社会〜』(2023)
日本の公立小学校で撮影されたドキュメンタリー映画です。日本の小学校に通った人なら「自分もこの中にいた」という感覚を持つと同時に、その異様さにも気付かされます。私たちはいかに「日本人」になったのでしょうか?
● 『薔薇の名前』(1986)
古い映画ですが、ヨーロッパ中世の修道院を舞台にしたミステリーとしても優れていますし、失われてしまったアリストテレスの『詩学』の第2部が物語の核になっているので。
● 『バカ塗りの娘』(2023)
青森県津軽地方で受け継がれてきた「津軽塗」は、漆を幾重にも塗り重ねる工程から「バカ塗り」と呼ばれてきました。本作はフィクションですが、伝統工芸に携わる人々の苦労や葛藤、よろこびといった日常が実際に近い雰囲気で描かれています。

 

おすすめの場所

● kokoka京都市国際交流会館(京都市左京区)
文化体験・言語交流など、さまざまなイベントが開催され、京都在住の留学生や外国出身の住民と出会える、京都の国際交流の拠点とも呼ぶべき場所。さまざまな側面から日本や日本文化に注目したい人にとっては新しい視点に出会えるチャンスになるかもしれません。
● ウトロ平和祈念館(京都府宇治市)
ウトロ地区の名前を聞いたことがあっても、私たちはその「何を」知っているでしょうか。そこにあるのは「歴史」だけではなく「現在」なのだということに気付かされる場所です。
● みなとや 幽霊子育飴本舗(京都市東山区)
古典落語の「幽霊飴」をサゲの「子を大事」まで聞いて、小泉八雲の怪談「飴を買う女」を読んでから、ここを訪れて幽霊子育飴を買って食べるとグッときますよ。
● 京都伝統産業ミュージアム(京都市左京区)
京都市の伝統産業(74品目)がすべて展示されています。着物や陶磁器、漆器はもちろんのこと、京菓子や京料理、清酒、お漬物など食に関わる職人技も展示。作業工程や道具、材料の解説も豊富です。職人さんの作業実演も頻繁に開催されています。

 

おすすめのWEBサイト

2007年から外務省が主催している「日本国際漫画賞」のウェブサイト。これまでの受賞作の中 には、日本語に翻訳掲載されているものもあります。普段読んでいる日本の作品とも比べながら、世界各国のマンガ表現に触れてみてください。
在留外国人や子供にわかりやすい日本語で書かれた「やさしいことば」ニュースです。通常のニュースと比べて、どのような表現の違いがあるか考えてみてください。
国立国会図書館のデジタルコレクションは満18歳以上でないと利用者登録(ただし無料)できないので、こちらをおすすめします。自分自身は、地図が好きなので、もっぱら「吉田初三郎式鳥瞰図」を見ています。
国指定の文化遺産に関するポータルサイト。国宝の伝統的建造物や美術作品も見応えがありますが、ぜひ「無形文化遺産」のカテゴリーものぞいてみてください。地域のお祭りや手仕事、芸能といった、人から人へと受け継がれてきた文化についてまとめられています。

 

おすすめの体験

● 京都国際マンガミュージアムのワークショップやイベントに参加
マンガミュージアムでは、マンガの展覧会の鑑賞や読書だけでなく、さまざまな方法でマンガ文化を楽しむことができます。ワークショップやイベントなど、参加型体験はマンガを「文化資源」として捉えるきっかけになるでしょう。
● 知らない言語を聞くこと
YouTubeなどで勉強したことも聞いたこともないような言語を聞いてみてください(“Hindi news” “French speech”など言語名+news, speechのように検索すると良いです)。どんな印象を受けるでしょうか。何か理解できたことがあるでしょうか。家にいながらできる、異文化・外国語との出会いの方法です。
● 地元の伝統行事に参加する
いま暮らしている地域の伝統行事であれば、寺院でも神社でもお祭りでもなんでも結構です。ちょうど良い時期に行事がなければ、その地域ならではの食文化や言葉、習慣について考えてみてもいいですね。私たちの日常で地域性を意識する機会は少ないですが、この機会に地域の気候や地形、歴史的背景に注目してみてください。大学に入学すると、いろんな国や地域からきたひとたちと出会いますから、それもたのしみにしながら。
 

メディア表現学部

メディア表現学科

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『インフォグラフィック制作ガイド 「関係」を可視化する情報デザインの手引き』
(著:櫻田潤 / ビー・エヌ・エヌ / 2024)
データをグラフィックデザインにより、視覚的、感覚的に受けてに伝えるインフォグラフィックの基本が、順を追って丁寧に解説されています。デザインのみではなく、信頼性のある情報の調べ方、情報と情報の関係性の見つけ方といった、データ活用が必要とされる時代に、親しみやすく必要な知識をつけられる本です。
『モノからモノが生まれる』
(著:ブルーノ・ムナーリ、訳:萱野有美 / みすず書房 / 2007)
優れたプロダクト・デザイナーであり、絵本作家でもあり、デザイン教育のイノベーターでもあったブルーノ・ムナーリの著作です。アイデアを生むためには、その「やり方」を知ることだ、ということが明快に語られています。
『スペキュラティヴ・デザイン〜問題解決から、問題提起へ』
(著:A・ダン&F・レイビー、監修:久保田晃弘、訳:千葉敏生 / ビー・エヌ・エヌ新社 / 2015)
「スペキュラティブ」とは「思索的」という意味。サブタイトルにある通り、「答え」としてのデザインではなく「問いかけ」としてのデザインについての本です。とびきり自由な発想のデザインに勇気づけられたりも。
『ホンマタカシの換骨奪胎—やってみてわかった!最新映像リテラシー入門—』
(著:ホンマタカシ / 新潮社 / 2018)
世の中の名作と呼ばれるものが、どのような技法や制作過程で作られてきたのか考えたことはあるでしょうか? この本では、写真家ホンマタカシが、歴史をふまえながらその表現の基底部=メディアを仔細に読み解き、様々な技法を実験することで、自ら作品を生み出していく試行と思考の過程を垣間見ることができます。メディアに対する視線を養うことができるでしょう。
『音律と音階の科学 新装版〜ドレミ…はどのようにして生まれたか』
(著:小方 厚 / 講談社ブルーバックス / 2018)
1オクターブ上って、なにが上なの? ドと1オクターブ上のドの間はなぜドレミファソラシドと8つに区切られているの? どうしてドとミを一緒に鳴らすと落ち着いて、ミとファだと落ち着かないの? 数学や物理学を通して音と仲良くなる最初の一歩がここにあります。
『エンジニアのためのデザイン思考入門』
(著:東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト ほか / 翔泳社 / 2017)
エンジニア自身が、ユーザーについてリサーチをしていく方法や、非エンジニアとチームを組んでアイデア出しやものづくりをしていくために必要な知識、実践方法をデザイン思考に基づいてまとめています。技術大好き!けれども、なんだかコミュニケーションがうまくいかないとモヤモヤしているエンジニア気質の人におすすめです。
『増補改訂版スマホ時代の哲学』
(著:谷川嘉浩 / ディスカバー21 / 2025)
常にお互いが繋がり合い、情報のありすぎる社会で、スマホと上手に付き合っていく方法を哲学的に探求した本です。
『サーキュラーエコノミー実践: オランダに探るビジネスモデル』
(著:安居昭博 / 学芸出版社 / 2021)
できるだけゴミを出さないで生活を回す。国を上げてそんな取り組みを行うオランダの先進事例を中心に、日本とヨーロッパの循環経済・ビジネスの事例を読みやすく紹介した本です。
『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』
(著:山下賢二 / 夏葉社 / 2021)
京都の本屋ホホホ座の店長・山下賢二さんが、京都を拠点にする松本隆さん(はっぴいえんどの元ドラマー、松田聖子や薬師丸ひろ子等のヒット曲の作詞…)に聞いた話をまとめた本です。
『庭の話』
(著:宇野常寛 / 講談社 / 2025)
安っぽい承認欲求を満たす道具と化したSNSの外側で人々が出会うには自分で「庭」を作るしかない。新しい地域やコミュニティ、ケアのネットワークのあり方を模索する本です。
『知らない人と出会う』
(著:キオ・スターク / 朝日出版社 / 2017)
エレベーターに乗ったとき、カフェの注文の列に並ぶとき…。他人ばかりの空間では静かにするのが礼儀。その礼儀を吹き飛ばしたときに立ち現れる世界の素晴らしさについての本です。
『物語化批判の哲学』
(著:難波優輝 / 講談社現代新書 / 2025)
マーケティング、商品開発、心理療法などで多用されるようになった「物語」という概念。人の生を型にはめてしまう「物語」の安売りに抗い、型にはまらない感性の大切さを擁護する本です。


おすすめのWEBサイト

● メディア表現学部おすすめプレイリスト(YouTube)
音や音響、聴覚や視覚に関係する、入学前に観ておいてほしい動画を集めました(いくつかは映画の予告編です。ぜひ本編のほうも観てみてください)
 

芸術学部

造形学科

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『いとをかしき20世紀美術』
(著:筧 菜奈子 / 亜紀書房 / 2022)
京都が舞台のポップなマンガで、近~現代美術を紹介している愉快で深いアート入門本です。
『世界をゆるがしたアート —クールベからバンクシーまで、タブーを打ち破った挑戦者たち』
(著:スージー・ホッジ / 青幻舎 / 2022)
常識を超えて、世の中に驚きや衝撃を与えた50作品を丁寧に解説。近~現代美術の入門書としても最適です。
『若い読者のための美術史』
(著:シャーロット・マリンズ / すばる舎 / 2024)
 
『アーティストのためのハンドブック—制作につきまとう不安との付き合い方』
(著:デイヴィッド・ベイルズ+テッド・オーランド / フィルムアート社 / 2021)
 
『めくるめく現代アート』
(著:筧 菜奈子 / フィルムアート社 / 2016)
イラスト満載なので、誰もが楽しく夢中になれる現代アートガイド。
『現代アートの巨匠 先駆者たちの〈作品・ことば・人生〉(BT BOOKS)』
(編:美術手帖編集部 / 美術出版社 / 2013)
誰もが知っておくべき現代アートの77作家の軌跡や作品が、たくさん詰まっています。
『現代アートの本当の学び方 (Next Creator Book)』
(著:会田誠 ほか / フィルムアート社 / 2014)
現代アートをめぐるいろんな疑問に、作家や識者が誠実に・詳しく・わかりやすく答えている良書です。
『感性は感動しない—美術の見方、批評の作法』
(著:椹木野衣 / 世界思想社 / 2018)
美術批評の第一人者、椹木野衣氏によるエッセイ集。「絵の見方」から「批評とは」について、やさしく書かれた書籍。頭を柔らかくしてくれます。
『奇想の系譜』
(著:辻 惟雄 / 筑摩書房 / 2019)
日本美術・江戸期の大胆奇抜な絵画作品を再評価した名著。もはやスタンダードにもなっている6人の絵師を紹介しています。


おすすめの場所

・作品は実物を見るのが何より大事!美術館やギャラリーへ出かけてみましょう。美術作品を鑑賞し、特に気に入った作品や感動した作品をディスカバリー・ダイアリーにイラストを交えて紹介してください。感想だけでもOKです。
● 京都市京セラ美術館
● 京都国立近代美術館
● 京都国立博物館
● 京都芸術センター 
● 国立国際美術館(大阪)
● 大阪中之島美術館
● 万博公園 太陽の塔(大阪)
● 国立民族学博物館(大阪)

・下記Webサイトでは、アートのいろんな情報や、美術館・ギャラリーの展覧会スケジュールなどを調べられます。
● 京都アートワーズ
 京都のギャラリー情報
● Kansai Gallery Map
 関西のギャラリー情報

・作品の中で泊まれるアート・ホテルも。泊まらなくても観れるギャラリーやカフェもあります。
● BnA Alter Museum(京都)
● ホテル アンテルーム 京都
 
・仏像を観にお寺に行くのもいいですね。日本が誇るキャラクター文化の源流かも?
● 広隆寺 半跏思惟像(京都)
● 六波羅蜜寺 空也上人立像(京都)
● 興福寺 阿修羅像(奈良)
● 法隆寺 百済観音像(奈良)
● 東大寺ミュージアム(奈良)
● 奈良国立博物館
 
 

おすすめのお店

・アート関係の本も充実の、個性的な本屋さん。ぜひ足を運んでみてください!
● 恵文社一乗寺店(京都)
● 誠光社(京都)
● ホホホ座(京都)
● 京都 蔦屋書店(ギャラリーもあります)

・作品を作るには、画材や各種素材を扱うお店は、とても大事です。
● 画箋堂本店(京都 / 精華大でもおなじみ。河原町通にあります)
● バックス画材(京都 / 建築系模型材料と紙類が豊富な品揃え)
● ハンズ、各種ホームセンター(現代のアーティストにとっては、素材の宝庫です)
 

デザイン学部

ビジュアルデザイン学科グラフィックデザインコース、デジタルクリエイションコース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『書と文字は面白い』
(著:石川九楊 / 新潮文庫 / 1996)
書道家である石川九楊が、文字に関する様々なことを「書」を原点として書いている本です。ワープロなどが普及して、自分で字を書くことが少なくなり、文字について考えることがなくなったような気がします。こんな時代だからこそ読んで面白い本かもしれません。
『センスは知識からはじまる』
(著:水野 学 / 朝日新聞出版 / 2014)
「くまモン」アートディレクションなどで話題の、日本を代表するデザイナー発「センスの教科書」。センスは生まれついたものではなく、あらゆる分野の知識を蓄積することで向上することを説く。顧客の嗜好が多様化する時代、スキルよりもセンスを磨くことで、仕事を成功させるノウハウを紹介しています。
『百年の孤独』
(著:G・マルケス / 新潮社 / 2006)
蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。言葉から読み解くイメージ展開力を養えます。
『風と光と二十の私と』
(著:坂口安吾、坂口三千代 ほか / 講談社文芸文庫 / 1988)
“余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる”雪の国新潟の教室の机に彫って上京し、あえて、孤独な自己鍛練の世界に彷徨する、“精神の巨人”坂口安吾の繊細にして豪放、聖にして俗の、ダイナミックな自伝世界。青春時代に必ず読んでおいてほしい一冊。
『田中一光とデザインの前後左右』
(著:Design Sight I 、小池一子 /フォイル / 2012)
日本を代表するグラフィックデザイナー田中一光の軌跡と功績。今年で没後10年、これまでの彼の偉業を、グラフィックデザイン作品を中心とした豊富の図版と、豪華執筆陣を交えたふんだんなテキストで10章立てで展開します。デザインの普遍的で変わらない役割や先見眼について知ることができます。
『ていねいな文章大全 日本語の「伝わらない」を解決する108のヒント』
(著:石黒 圭 / ダイヤモンド社 / 2023)
文章が伝わらない最大の理由はなんでしょうか?ヘタだからではありません。「雑」だからです。本書では、国立国語研究所の教授が、「雑な文章」を「ていねいな文章」へ書き換える方法を108課目、すべてbefore→after形式で徹底解説します。書き言葉を自分だけの言葉だけで作るのではなく、先人の言い回しを拝借しながら豊かな文章表現力を育てましょう。
『自由訳 般若心経』
(著:新井 満 / 朝日新聞社刊 / 2005)
『千の風になって』『青春とは』につづく感動の自由訳、第三弾!日本で最も親しまれている経文に込められたメッセージとは?私たちの日常生活の中で「色即是空 空即是色」は、いかなる意味として了解すればよいのか?死んでなお、私たちに救いはあるのか?1,200年にわたって明かされなかった「般若心経」を、いまを生きる人々の実感から捉えた、「在るがまま」を肯定する救済と再生の書。アジアに生きるデザインの思想が詰まっているかも。


おすすめのWEBサイト

 Colossal(英語サイト) 
 海外のアート、デザイン、写真など最新情報が紹介されている
 NEWREEL
 今注目すべき映像作品を紹介
● Pinterest
 自分の好きな画像を世界中からブックマークするツール
 
 

おすすめの体験

「小さい遠足」をおすすめします。ご近所、隣の町、ひと駅となりの街など、見知らぬ場所、見落としている場所を未知のデザインと触れる姿勢で訪れてみてほしいです。細やかな観察力が自身のセンスを拡げてくれます。
 
 

アドバイス

今までは、コンテンツに対して消費者的な受け身な面が大きかったと思いますが、今後はつくり手としての視点を持つことが必要になってきます。自分がそのコンテンツに対して心惹かれる理由、大勢の人が熱狂する理由を常に考えることを心がけてください。
それと同時に社会情勢やトレンド、最新の技術にも常にアンテナを張っていて欲しいと思います。
 

イラスト学科

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『日本イラストレーション史』
(編:美術手帖編集部 / 美術出版社 / 2010)
日本イラストレーションの歴史を1950年代から現代まで網羅。イラストレーションを通して、日本のポップ・カルチャーの歴史が感じられる1冊。
『ぼくの美術帖』
(著:原田 治 / みすず書房 / 1982)
オサムグッズで知られるイラストレーター原田治が、時代もジャンルも超越した美術作家たちを、豊富な知識と揺るぎない美意識で、わかりやすく紹介した「OSAMU版・日本美術史」。アートへの愛が溢れる美術エッセイ。
『ぼくの絵本じゃあにぃ』
(著:荒井良二 / NHK出版新書 / 2014)
大人の常識にしばられず、子どものように自由に考え、描くにはどうすればいいか。絵を描くのに大切な感覚が学べます。
『絵本作家になるには』
(著:小野 明、柴田こずえ / ぺりかん社 / 2013)
絵本の現場の紹介に始まり、その歴史から絵本作家として活動するまで、心構えなどを詳しく学べます。500冊以上の絵本・児童書を送り出してきた本学イラスト学科教員の著書。


おすすめの映画

● 『ある画家の数奇な運命』(監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)
現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにした映画。ナチス政権下から激動期のドイツを舞台に芸術の自由と自分だけの表現手法を追い求める芸術家の姿を見つめる。
● 『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(監督:佐々木芽生)
ニューヨークのアパートで暮らす元郵便局員ハーブと元司書ドロシー。お気に入りの現代アートを約30年間コツコツと買い集めたアート収集家夫婦のドキュメンタリー。
● 『バスキア』(監督:ジュリアン・シュナーベル)
80年代ニューヨークで活躍した画家ジャン=ミシェル・バスキアの生涯を描いた作品。ニューヨークのアートシーンを背景に、バスキアの制作やアンディ・ウォーホルとの交流を描く。
● 『ブリューゲルの動く絵』(監督:レフ・マイェフスキ)
16世紀フランドル絵画の巨匠ピーテル・ブリューゲルの作品の中に入り込み、絵画の世界を旅するような感覚を味わえる体感型アートムービー。
 
 

おすすめの場所

・美術館、博物館
● 
京都市京セラ美術館
● 
京都国立近代美術館
● 京都国立博物館
● 国立民族学博物館(大阪)
 
・書店
● 恵文社一乗寺店(京都)
● 
誠光社(京都)
● 子どもの本専門店メリーゴーランド京都


おすすめのWEBサイト

● TOKYO ILLUSTRATORS SOCIETY
一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(略称:TIS)の公式サイト。第一線で活躍するTIS会員イラストレーターの仕事や展覧会情報を知ることができます。
雑誌『イラストレーション』(玄光社)が運営するイラストレーター検索サイト。約900名のイラストレーターの作品を直感的な操作で検索することができます。
 
 

アドバイス

落描きでも良いので、毎日手を動かして絵を描くことをしてください。
美術館やギャラリーで作品を観たり、本を手にとって読んでみたり、映画や音楽、ファッションなど、想像力を広げるために様々なものごとから、面白いと感じるものを吸収してください。
 

プロダクトデザイン学科

おすすめの本

タイトル 編著者 出版社/年
「もの」はどのようにつくられているのか? —プロダクトデザインのプロセス事典 Chris Lefteri オライリージャパン
2014
誰のためのデザイン?(増補・改訂版)—認知科学者のデザイン原論 D.A. ノーマン 新曜社
2015
エモーショナルデザイン—微笑を誘うモノたちのために D.A. ノーマン 新曜社
2004
RE DESIGN—日常の21世紀 原 研哉、日本デザインセンター原デザイン研究所 朝日新聞出版
2000
新幹線をデザインする仕事 「スケッチ」で語る仕事の流儀 福田哲夫 SBクリエイティブ
2015
感性ポテンシャル思考法 村田智明 生産性出版
2017
おしょりん 藤岡陽子 ポプラ社
2016


おすすめの場所

 京都市京セラ美術館 
 京都国立近代美術館 
 京都国立博物館
 河井寛次郎記念館(京都)
 国立民族学博物館(大阪)
 
 

アドバイス

暮らしや社会の中で取り扱われる様々なモノやコトを生み出すデザイナーとして、その意味や意義をしっかりと考える必要があります。売れそうな所に向けて物を沢山作って販売するだけの前世紀的な時代ではありません。世の中の出来事、経済などの動向にもしっかりと意識を向けなければデザインの真の力や価値を発揮する事は出来ないと言っても過言ではないと思います。10年後、20年後の我々のためにしっかりと考え抜いてデザインする。デザインビジネスの基本だと思いますので、身の回りの些細な事もしっかりと知っておくように心がけてください。
 

建築学科

おすすめの本

タイトル 編著者 出版社
建築家の学校 京都精華大学建築分野著 住まいの図書館出版局
教養としての建築入門 坂牛 卓 中央公論新社
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか 山口 周 光文社
新・建築入門 隈 研吾 筑摩書房
人類と建築の歴史 藤森照信 筑摩書房
14歳からのケンチク学 五十嵐太郎ほか 彰国社
建築学の教科書 安藤忠雄ほか 彰国社
建築学のすすめ traverse編集委員会 昭和堂
建築を知る 建築学教育研究会 鹿島出版会
都市彷徨 安藤忠雄 マガジンハウス
陰翳礼讃 谷崎潤一郎 出版会社多数(中央公論社、新潮社、KADOKAWA等)
コミュニティデザイン—人がつながるしくみをつくる 山崎 亮 学芸出版社
京都の町家を再生する 齋藤由紀ほか 関西学院大学出版会
人口減少社会のデザイン 広井良典 東洋経済新報社
人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究 仙田 満 講談社


おすすめの場所

・地元の美術館、博物館、図書館、寺社仏閣。外観と内部空間を観察しましょう
 桂離宮庭園(京都市西京区)
 平等院鳳凰堂(京都府宇治市)
 清水寺(京都市東山区)
 竜安寺石庭(京都市右京区)
 銀閣寺東求堂同仁斎(京都市左京区)
 河井寛次郎記念館(京都市東山区)
 北村美術館・四君子苑(京都市上京区)
 聴竹居(設計:藤井厚二、京都府乙訓郡大山崎町)
 とらや京都一条店(設計:内藤 廣、京都市上京区)
 京都国立博物館/平成知新館(設計:片山東熊、谷口吉生、京都市東山区)
 京都市京セラ美術館(改修設計:青木 淳、西澤徹夫、京都市左京区)
 の他 人が集まるところや公園、古くなっている家などの再生例
 
 

おすすめの映画

 『ブレードランナー』(監督:リドリー・スコット、美術:シド・ミード)
 『マイ アーキテクト ルイス・カーンを探して』(監督:ナサニエル・カーン)
 『スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー』(監督:シドニー・ポラック)
 『ノスタルジア』(監督:アンドレイ・タルコフスキー)
 
 

アドバイス

自分の周りには何があるの?普段意識しない、モノ、ヒト、コトを少しでも意識して見てください。そこには複数の学びがあり、複数の課題もあるはずです。この日常の観察を記述することで、人間、つまり自分を取り巻く環境への気づきが生まれます。新たな発見があるかもしれないと思いながら、外に出て散歩をしてみましょう。日頃とは違う何かに気づくかもしれません。
 

マンガ学部

マンガ学科ストーリーマンガコース、新世代マンガコース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『Dr.マシリト最強漫画術』
(著:鳥嶋和彦 / 集英社 / 2023)
鳥山明、桂正和など「少年ジャンプ」の大ヒット作家を世に送り出した編集者・鳥嶋和彦氏。その鳥嶋氏が綴る大ヒットの秘訣「鳥嶋メソッド」はマンガ家志望者にとって必読の内容。デビューに必要なこと、連載に必要なことが詰まっているマンガ家のためのバイブル。
『もいもい』
(著:市原 淳 / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2017)
「あかちゃん」が選んだあかちゃんのための本。表現の原点を“あかちゃんの視点” から考えてみるきっかけにしてみてください。楽しみながら、自分で問いをたてながら、自分の好奇心を育てましょう。
『あなたの知らない脳』
(著:デイヴィッド・イーグルマン / ハヤカワ・ノンフィクション文庫 / 早川書房 / 2016)
これから経験する新しい大学生活。「“経験する自分” っていったい何だろう?」表現と心理学に興味のある人には特にオススメの本です。
『モルフォ人体デッサン』
(著:ミシェル・ローリセラ / グラフィック社 / 2016)
格好良いポーズを描きたい時、そのために知りたいちょっとした筋肉の付き方をわかりやすく描いている実用書。人体の捻じれなど、直立している絵からでは想像し難い構図を多数載せてくれています。
『マンガ脚本概論 漫画家を志すすべての人へ』
(著:さそうあきら / 双葉社 / 2021)
元本学マンガ学部教員(在任は2020年まで)による、マンガ創作を志す学生のための、ストーリーの発想法について、マンガ形式で解説した実践的な入門書。
『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』
(編:少年ジャンプ編集部 / 集英社 / 2021)
ジャンプの大ヒット漫画家たちの描きおろしネームやアンケートを収録。漫画を描くときに必ず出てくる疑問から練習法、描けない時の壁の超え方など興味深く解説する入門書です。
『驚くほどうまくなる! マンガ背景技法』
(著:常野 啓 / 美術出版社 / 2013)
背景など空間を描く技法はマンガやアニメを描く上で避けては通れません。しかしながら、その技法は多分に「数学的」な知識を必要とします。それを簡単に理解できるように解説しているのが本書です。パース技法の基本が勉強できます。
『<面白さ>の研究』
(著:都留泰作 / 角川新書 KADOKAWA / 2015)
「面白さ」とは何か?「 エンタメの論理」をマンガやマンガを取り巻く映画・アニメ作品を題材に、文化人類学的な考え方も用いながら考察する。


おすすめのWEBサイト

 新世代マンガ・テク youtube(@新世代マンガテク)
新世代マンガコースの授業をダイジェストで紹介したYoutubeチャンネル。TV番組のようなエンタメ寄りの内容でマンガの演出方法や構造、画面構成などを理解しやすく解説している。
小学館の「週刊少年サンデー」「ゲッサン」「サンデーGX」3誌が運営する、デジタル上の新漫画サービス。各誌の人気作品はもちろん、ここでしか読めない作品が多数掲載されている。
『SPY×FAMILY』『ダンダダン』『チェンソーマン』などジャンプ+ならではのオリジナル連載を初回全話無料で読めるサイト。常に話題作を発信する人気サイトでマンガリテラシーを上げるには最適。
小学館の漫画が読める総合webコミックサイト「モブサイコ」「ケンガンアシュラ」などマンガワンオリジナル作品を多数掲載。Webならではの個性的なマンガを読むことで日々変わりゆくマンガのトレンドを身につけることができる。
画像検索サイト。外国の人も多く使っており、Pixiv に比べると全体的に絵のクオリティが大変良い。デザインや装飾なども見つけやすい。絵の描き方を説明しているものが多く出てくるが、どれも大変参考になる。これだけでも、十分なテキストになる。
 
 

おすすめの映像

 映画館で上映されている作品
できるだけ色々な映画を、映画館で観てみましょう。パソコンでながらで観るのではなく、集中して観ないと学べないものがあります。
 
 

おすすめの場所

 「京都精華大学展 —卒業・修了発表展—」(京都精華大学)
 京都国際マンガミュージアム
 おもちゃ映画ミュージアム (京都市)
 
 

アドバイス

マンガにおいて勉強になるものは本や映画だけではありません。身の回りにあるものや人、出来事全てがマンガのための材料になります。それを記録するためにスケッチブックやネタ帳を常に持ち歩く癖をつけましょう。興味を持ったものは何でもその場で記録しておくことが大事です。スケッチしたり、言葉でメモを取ったりしておきましょう。ディスカバリーダイアリーはいい練習になります。
 

キャラクターデザイン学科キャラクターデザインコース

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『キャラクター大国ニッポン』
(著:中山淳雄 / 中央公論新社 / 2025)
ポケモン、マイクラ、初音ミク、Cygamesがなぜ成功したのかわかりやすく解説。IP(知的財産)ビジネスをちょっとかじっておくとキャラクターデザインの見え方も変わって楽しいです。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム マスターワークス』
(著:ニンテンドードリーム編集部 / 徳間書店 / 2024)
アート、資料、物語の3つの視点で作品世界を掘り下げ、ラフスケッチやアイデアノートからビジュアルの背景にある丁寧な世界づくりが読めるバイブル。
月刊『建築知識』各月発売号
(エクスナレッジ)
建築専門誌。背景資料というよりも、下地、知識を蓄えて次の資料選びに繋げる入門誌。イラストレーション・小説家界隈でもおすすめされることが多いです。
『デジタルスケッチ入門 —光と色で生活を描く—』
(著:ゴキンジョ、長砂ヒロ / 技術評論社 / 2024)
コンセプトアーティスト&本学テキスタイル出身の長砂ヒロさんご著作。デジタルイラストでの彩色コントロール練習にとってもおすすめの本。
雑誌『デザインのひきだし』
(グラフィック社)
デザイナー向けの専門誌。印刷、製本、紙、デザインなどに興味のある人はぜひ現物を手に取ってほしいシリーズ。
月刊『MdN』2017年4月号(特集:作品のスタッフ・クレジットから読み解けるもの)
(MdN編集部)
何気なく見過ごしてしまうスタッフロールに注目することで、幅広い職種を知り、本当に自身の興味のある分野を知ってほしい。今は廃刊になった雑誌ですが、電子書籍か中古で購入可能。映画、アニメ、音楽、雑誌など普段目にするすべての物に携わる職種やクリエイターに着目した特集でとても面白いです。
『キャラクターメーカー —6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり⽅」』
(著:大塚英志 / 星海社 / 2014)
 
『イラストのこと、キャラクターデザインのこと』
(著:坂崎千春 / ビー・エヌ・エヌ新社 / 2011)
 
『美少⼥の美術史 —浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる“少⼥”のかたち』
(著:「美少⼥の美術史」展実⾏委員会)
 
『⽇本のアニメ全史 —世界を制した⽇本アニメの奇跡』
(編:⼭⼝康男 / テン・ブックス / 2004)
 
『漫画の歴史』
(著:清⽔ 勲 / 岩波書店 / 1991)
 
『キャラクターとは何か』
(著:⼩⽥切 博 / 筑摩書房 / 2010)
 
『戦闘美少女の精神分析』
(著:斎藤 環 / ちくま文庫 / 2006)
 
『キャラがリアルになるとき —2次元、2・5次元、そのさきのキャラクター論—』
(著:岩下朋世 / 青土社 / 2020)
 
『キャラ化する/される子どもたち —排除型社会における新たな人間像』
(著:土井隆義 / 岩波書店 / 2009)
 
『「言葉にできる」は武器になる。』
(著:梅田悟司 / 日本経済新聞出版 / 2016)
おしゃべりが苦手でも、自分だけの言葉を持つことができれば、いずれ心からの思いが伝わる人が現れる。そのために上部の言葉に頼らない考え方を教えてくれる一冊。クリエイターとしての思考を深められてコミュニケーションにも活用でき、言葉に対して敏感になることもできる、おすすめの名著です。
『indie_anime2023』 アニメーターのこむぎこ2000氏とはなぶし氏が企画するリアルイベント「インディーアニメクロス!」イベントで販売された、インディーアニメカルチャーを台頭する総勢100名のクリエイターが参加した図録。アニメ作家のこむぎこ2000氏が個人アニメ作家のコミュニティ活性化のために2020年に発足した「#indie_anime」というハッシュタグから派生するムーブメントからリアルイベントの開催まで発展している。昨今イラストレーターがMVやアニメーションを制作する流れが進んでいるその最先端をみることができる一冊。
『上田文人の世界 —言葉のないゲームはどのように生まれたのか?』
(著:「上田文人の世界」制作委員会 / KADOKAWA / 2023)
「ICO」や「ワンダと巨像」を作った上田文人のゲームづくりへの考え方や作品への思い、開発秘話などが数百点のコンセプトアートとともに紐解かれています。
『クリティカル・ワード ゲームスタディーズ 遊びから文化と社会を考える』
(フィルムアート社 / 2025)
ゲーミフィケーションという言葉が出てきましたが、「ゲーム」とはなんなのか?私達の生活の中にゲームを発生させる時にどんな説明をしたら良いかを始めて言語化してくれた名著です。ちょっと難易度高めです。
『鳥山明のヘタッピマンガ研究所 あなたも漫画家になれる!かもしれないの巻』
(著:鳥山 明、さくまあきら / 集英社 / 1985)
古い本ですが、物語作りやキャラ作りがマンガで学べて入りやすいです。
『ゲームデザイナー 小島秀夫論  世界のゲーム市場を熱狂させた革新性 — MSX2版『メタルギア』から『DEATH STRANDING』まで』
(著:ハーツハイム・ブライアン・ヒカリ 、訳:武藤陽生 / DU BOOKS / 2025)
 
『マスターショット100 低予算映画を大作に変える撮影術』
(著:クリストファー・ケンワーシー、訳:吉田俊太郎 / フィルムアート社 / 2011)
画面は単に演技をさせれば良いわけではありません。カメラアングルや対象までの距離感以外に、カメラや対象、そして照明の動きも全て設計します。映画のレイアウトをカットごとの演出目的ごとで一つ一つ解説してくれている名著です。映画監督やアニメーターなら必ず持っている名著。
『カメラとレンズのしくみがわかる光学入門』
(著:安藤幸司 / インプレス / 2019)
カメラの雑誌に連載されていた、光とそれを捉えるための光学技術をわかりやすく解説した本。RGBなどの「色空間」の解説もあり、デジタル作画で日々使っている色が、一体どういうものなのかがなんとなくわかります。とりあえず通して読んでおいて欲しい一冊です。
『コンセプトの教科書 あたらしい価値のつくりかた』
(著:細田高広 / ダイヤモンド社 / 2023)
もの作りの最初に考える企画を言語化する方法をわかりやすく解説してくれる教科書。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
(著:フィリップ・K・ディック、訳:浅倉久志 / 早川書房 / 1997)
映画「ブレードランナー」の原作。レプリカント(アンドロイド)を通して、人間は何をもって人間なのかを描写してくれます。フィリップ・K・ディックの作品は海外の古典SFとして何度も映画化されているものが多いです。読めば世界観を解像度高く拡げるのに役立つはず。
『指輪物語』
(著:J・R・R・トールキン)
すべてのファンタジーの原著といってもいい作品。大変長いですが、これを読まずしてファンタジーは語れません。
『ねぼけ人生〈新装版〉』
(著:水木しげる / ちくま文庫 / 1999)
水木しげるが自らの幼少期、戦争体験、紙芝居、貸本漫画、妖怪マンガの画業について語った自伝。これは、生きる勇気が湧いてくる哲学書。
『花森安治の仕事』
(著:酒井 寛、装画:安野光雅 / 暮らしの手帖社 / 2011)
雑誌「暮らしの手帖」初代編集長・花森安治の生涯を描いた評伝。庶民の暮らしの中の「美」を追求した花森の考え方、デザインの発想について学べる。
『日本・現代・美術』
(著:椹木野衣 / 新潮社 / 1998)
マンガやアニメやゲームも、芸術の歴史の延長上にあるものですが、この本は日本の美術歴史の近代以降の特性を解説した一冊です。美術の歴史に関心が無いと取っつきにくいと思いますが、自分たちが「日本」で取り組んでいる表現が、どういう歴史の後に位置しているの考えるきっかけになります。
『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』
(著:東 浩紀 / 講談社現代新書 / 2001)
中国語訳:『新功能介紹』(出版社:大藝出版)
韓国語訳:『동물화하는 포스트모던 오타쿠를 통해 본 일본 사회』 아즈마 히로키 저 / 이은미 역 / 선정우 감수 | 문학동네
『テヅカ・イズ・デッド —ひらかれたマンガ表現論へ』
(著:伊藤 剛 / NTT出版 / 2005)
 


おすすめの場所、ショップ

「卒業・修了制作展」(京都精華大学)
卒業・修了に向けて一生懸命制作した作品が一堂に並びます。刺激になること間違いなし。他校の卒展もオススメ。
● 京都国際マンガミュージアム
海外からの来場者多数。世界に広がる日本のコンテンツが体現できる場所。
● きんだあらんど
みやこメッセの近くにある絵本専門店。ギャラリー展示もあります。
● メリーゴーランド京都
こちらは絵本以外にこどもの本も多数。こちらもおすすめです。
● ヴォーリズ建築
京都の色々な場所にウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けたモダン建築物が現存しています。「これってそうだったんだ!」と思うこともしばしば。大阪や滋賀でも多く見ることができます。資料集めにぜひ。特におすすめなのは京都大丸の高倉通側地階段。
● キディランド(大阪梅田)
キャラクター産業のリアルを味わう事ができ、現在のトレンドがわかります。
● ニンテンドーミュージアム(京都府宇治市)
日本を代表するゲーム会社ゲームの歴史、一般の人々を魅了する世界観やキャラクターを知ることができます。
● 大阪市立自然史博物館
日本で2番目にできた歴史ある自然史博物館です。大阪の南なので京都から少し遠いですが、アクセスも良いです。
● 福井県立恐竜博物館
かなり遠いですが、ドラゴンなどの空想生物を描きたい人は、実際に地球上にいた様々な生物を観察しておくことが重要です。
● 京都国立博物館
日本の美術史を知るには必見の場所です。
● 国立民族学博物館(大阪)
世界中から集められた様々な文明のコレクションに圧倒されます。人類の多様性を知る良い場となります。
● 丸善BAL Kyoto and Annex
京都市内で最も専門書が揃う書店だと思います。
● 京都蔦屋書店
美術書、デザイン書が豊富にあり、複数のギャラリーも併設しています。
 
  

おすすめの映画

 『wolfwalkers/ウルフウォーカー』(監督:トム・ムーア、ロス・スチュアート / 2020)
アイルランドのアニメーションスタジオ“カートゥーン・サルーン”が制作したケルト3部作の3作目。絵本がそのまま動いているような映像、音楽やストーリーも素晴らしく海外アニメーションをおすすめするならこれが一番に浮かぶ作品
 『Blade Runner』(監督:リドリー・スコット / 1982)
サイバーパンクな世界観を最初に作った作品の一つ。小説と一緒にこちらもぜひ。
 『The Lord of Rings(ロード・オブ・ザ・リング)』(監督:ピーター・ジャクソン)
『指輪物語』の映画版です。ただで長いのが更に長くなりますが、エクステンドエディションで観るのがおすすめです。
 『千年女優』(監督:今敏 / 2002)
 『スパイダーマン:スパイダーバース』(監督:ピーター・ラムジー、 ロドニー・ロスマン、 ボブ・ペルシケッティ / 2019)
 『羅小黒戦記』(監督:MTJJ / 2019)
 

おすすめのアニメーション制作会社、スタジオ

 Laika, LLC.
 CARTOON SALOON
 トンコハウス

 

おすすめのWEBサイト

美少女イメージのひとつの原型をつくったデザイナー兼イラストレーター。「少女の友」「ソレイユ」「ひまわり」を発刊。展示会や出版物の情報がチェックできる。
その名の通り、グッドなポートフォリオが見れるサイトをまとめた集約サイト。様々なクリエイターのポートフォリオサイトを見ることができます。
  Game Maker's Toolkit youtube(@GMTK)
日本では「桜井政博のゲーム作るには」が最も有名なゲーム解説のYoutubeチャンネルですが、このチャンネルは海外で最も有名なゲーム研究チャンネルです。海外チャンネルなので字幕で見る必要がありますが、ゲーム設計を楽しく知れてゲームの視野も広がります。
 
 

その他、制作スキルアップにおすすめの方法

  好きな作家さん1人のSNS投稿画像から5枚絞って、大きな画面(PCやタブレット・テレビなど)でじっくり鑑賞する
1枚1枚、なぜこの色なのか、キャラのポーズなのか、視線なのか、構図なのか、背景の処理は?装飾やエフェクトは?などメモを取ったり模写しながら、じっくり1つずつ作品と向き合ってみてください。鑑賞の解像度を上げるとスキルの上達も早くなります。
  スマホ片手にロケハン散歩
身近な歩ける範囲をフラフラしてみて。15分やるだけでも結構おもしろい。歩いてみると、キレイな雲、道端の花、電信柱の影、鳥のさえずり、犬・猫などなどイラストのアイデアになる景色に出会え、歩きスマホや自転車の移動スピードでは気付けない発見があるはず。スマホのカメラを地面につけるくらいしゃがんでみたり、背伸びしてみたり、同じモチーフでも視点が変わると見え方が全然変わります。画角を決めるのも楽しい練習。
 

アニメーション学科アニメーションコース

おすすめの本

タイトル/編著者/出版社/年 教員からのコメント
『モルフォ人体デッサン』
(著:ミシェル・ローリセラ / グラフィック社 / 2016)
格好良いポーズを描きたい時、そのために知りたいちょっとした筋肉の付き方をわかりやすく描いている実用書。人体の捻じれなど、直立している絵からでは想像し難い構図を多数載せてくれています。
『あなたの知らない脳』
(著:デイヴィッド・イーグルマン / ハヤカワ・ノンフィクション文庫/ 早川書房 / 2016)
これから経験する新しい大学生活。「“経験する自分” っていったい何だろう?」表現と心理学に興味のある人には特にオススメの本です。
『アニメーターズ・サバイバルキット』
(著:リチャード・ウィリアムズ / グラフィック社 / 2011)
アニメーション制作に必要な物の考え方と、そのプロセスの名著。
『驚くほどうまくなる! マンガ背景技法』
(著:常野 啓、監修:菅野博之 / 美術出版社 / 2013)
背景など空間を描く技法はマンガやアニメを描く上で避けては通れません。しかしながら、その技法は多分に「数学的」な知識を必要とします。それを簡単に理解できるように解説しているのが本書です。パース技法の基本が勉強できます。
『ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法 — The Illusion of Life —』
(著:フランク・トーマス、オーリー・ジョンストン、編:高畑 勲 / 徳間書店 / 2002)
ディズニーやアニメーターたちが残した、アニメーションの原則と表現方法について語り継がれる良書。
『もぐらのスタジオ —もりやすじ画集』
(著:もり やすじ / アニドウ・フィルム / 2013)
日本のアニメーション創成期に活躍したアニメーター・もりやすじ。たくさんの魅力的なキャラクタから感じる表現。絵を通して“もりやすじ”という人物が浮かび上がる画集です。


おすすめのWEBサイト

人体を描くための基本が楽しく簡単に学べるサイトです。ノートと鉛筆(またはタブレット)を持って、毎日1 ページずつ描いてみるのも良いでしょう。
画像検索サイト。外国の人も多く使っており、Pixiv に比べると全体的に絵のクオリティが大変良い。デザインや装飾なども見つけやすい。絵の描き方を説明しているものが多く出てくるが、どれも大変参考になる。これだけでも、十分なテキストになる。
 
 

おすすめの映像

 ようこそ映画音響の世界へ』(監督:ミッジ・コスティン)
出演者:ウォルター・マーチ/ベン・バート/ゲイリー・ライドストローム/ジョージ・ルーカス/スティーヴン・スピルバーグ/デヴィッド・リンチ/アン・リー/ライアン・クーグラー/ソフィア・コッポラ
音楽、声、効果音など、映画を彩る様々な音はどのように作られ、どういった効果を生んでいるのか。映画に命を吹き込む映画音響の世界とその歴史を紐解くドキュメンタリー映画。映画音響とは、観客を作品世界に引き込んでいく未知なる音作り。それに挑み続ける音響技術者たちの飽くなき挑戦と奥深き仕事の秘密を探る。ドキュメンタリー映画です。
アニメーション学科学生の過去作品などが集まるセイカアニメの学生作品YouTube ページです。自分たちが目指し、超えなければならない作品群を鑑賞し、目的や目標を立てましょう。
 映画館で上映されている作品
できるだけ色々な映画を、映画館で観てみましょう。パソコンでながらで観るのではなく、集中して観ないと学べないものがあります。
 いろいろな国のいろいろな時代のいろいろな実写映画作品
例:黒澤明『七人の侍』『用心棒』『乱』、小津安二郎『東京物語』、ウイリアム・ワイラー『ローマの休日』、S・S・ラージャマウリ『バーフバリ』2作、イ・サングン『EXIT』、リチャード・リンクレイター『スクール・オブ・ロック』、ジョン・M・チュウ『Crazy Rich Asians』(日本版タイトル『クレイジーリッチ!』)など
 
 

おすすめの場所

 京都精華大学展 —卒業・修了発表展—」(京都精華大学)
 京都国際マンガミュージアム
 おもちゃ映画ミュージアム (京都市)
 三鷹の森ジブリ美術館 (東京都)
 
 

アドバイス

大学での本格的な学習が始まるまでに自分へのインプットを増やしておいてください。
おすすめにあげた本やWEBサイト、様々な映画(アニメだけでなく実写作品も!)を見たり、美術館や博物館を訪れたり、あるいは普段は通り過ぎてしまうような駅で降りて、その街を少し散歩してみるというのもよいでしょう。自分の中のインプットが増えればアウトプット(作品の制作など)できる量や幅も自然に増えていくでしょう。
 

入学前教育に関する問い合わせ先

京都精華大学 教務チーム
Tel:075-702-5119