読み物

小林りん氏とウスビ・サコ学長(当時)の対談講演会、岡本清一記念講座「多様性の中で人を育てる」が開催されました。

岡本清一記念講座は、京都精華大学の初代学長である岡本清一の掲げた建学の理念を受け継ぎ、広く普及することを目的に開設した講座です。教育理念「新しい人類史の展開に対して責任を負い、日本と世界に尽くそうとする人間の形成」を検証し、力強く継承することを目的として開催しています。
 
2022年1月21日(金)に、ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事の小林りん氏を招き、第13回目の岡本清一記念講座を開催しました。アフリカにルーツを持ち、表現・リベラルアーツ・グローバルを教育の中心に掲げ、「表現で世界を変える人」を育てる京都精華大学の学長ウスビ・サコ(当時)と、自ら成長し続け、新たなフロンティアに挑み、共に時代を創っていく「チェンジメーカー」の育成をめざすユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事の小林りん氏が、多様な人々が暮らす社会のより良い姿について語り合いました。

アーカイブ動画(期間限定公開)

半年間の期間限定で、当日の対談の模様を録画した動画を公開することとなりました。教育のあり方について、またチェンジメーカー、ソーシャルイノベーターの育成について、多くの示唆に富んだ対談となっています。
ぜひご覧ください。


本講座は無料で社会に開放され、その運営はみなさまのご寄付によって支えられております。本講座の継続的な開催のため、ぜひ温かいご支援をご検討いただけますと幸いです。

講座レポート

前回(第12回目 2020年12月19日開催)に引き続き、オンラインでの開催となった今回は、国内外在住の約300名の方々から視聴のお申込みがありました。
 
講演では、まず「日本の教育」について考察したのちに、それぞれが現在の教育で取り組んでいること、教育で大切と考えている点について意見が交わされました。
小林氏は、どんな小さなことでも、身の回りのことでもよいので、変化・変革を起こせる「チェンジメーカー」の育成に取り組まれています。そうしたチェンジメーカーに必要な能力として「多様性を生かす力」、「問いを立てる力」、「困難に挑む力」を重視し、そうした力を様々な実践の中で身につけていけるように活動されています。
それに対し、サコは、本学で「ソーシャルイノベーター」を育てることに取り組んでおり、そこで重視しているのが、自分で問いをたて、その問いに真摯に時間を掛けて向き合うことであると述べます。ふたりは「問いを立てる」という点に、互いの共通点を見いだしています。
小林氏とサコは、つづけて、一定の枠にはまった教育から脱却し、教育の多様性を実現していくことの重要性について論じます。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で急速に進む「デジタル化」が、教育の提供のあり方も変えつつあることが示唆されます。
また、この多様性をキーワードに、人々が持つ「考え方の枠」についても意見を交わします。小林氏の、「「多様性」とは、自分が持っている「当たり前」と違う「当たり前」を持った人が、目の前にいた時に、その相手の気持ちに立てるかどうかであり、どうして向こうからは違う風景が見えているのだろうというように思いをはせることができることではないか」という問いに対し、サコは同意しながら、様々な「違い」を認め、尊重することの大切さを述べました。
講演の最後に、小林氏とサコは、何らかの変化を起こしていく際の「楽観力」の大切さについて確認しています。現在の社会環境・経済環境・置かれた立場について悲観し嘆くだけでなく、それを変えるためのアクションを起こし、みずからの意思で自分の未来を創造していくことが大切であり、そうした変化の積み重ねこそがより良い社会の実現に繋がっていくのではないかということで、対談は終わりました。
 
小林りんさん、貴重なお話しをありがとうございました。

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京都精華大学 広報グループ

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