持続可能な都市や社会環境、暮らしを創造する
2021年度に新設した「人間環境デザインプログラム」では、これからの人間の生きる環境のあり方を、世界中のあらゆる文化や社会から学んでいきます。建築と国際文化の分野を中心に、幅広い領域を横断して学修。キャンパスを飛び出して国内外の各地を訪問し、現場での対話から課題を発見し、それを克服するためのアイデアを生み出します。
学士(芸術)
取得できる資格
一級建築士受験資格、二級建築士受験資格、木造建築士受験資格
学びのキーワード
建築、持続可能な社会、都市、社会、文化、課題発見、文化人類学、観光、語学(英語)、語学(英語以外外国語)、海外留学、多文化共生、異文化理解、民俗学、フィールドワーク
科目PICK UP
-
建築実習
環境デザインの核となる建築設計について、手描きやコンピュータによるデザイン表現のスキルを体得する。また、課題に対しての自身の考えをかたちにし、他者に伝えたり、他者と協働したりして作業を行うことで、建築実務を経験する。
-
社会学
人間や環境に関する社会問題を分析するための、社会学的視点の基礎を講義形式で身につける。具体的な研究事例を通じて、社会学の基礎や思想的背景を体系的に理解し、自分自身が注目する社会現象を考察できるようになることが目的。
みずから課題を発見し、提案できる人になろう。
よりよい提案を行うためには、たくさんの要素が必要になります。たとえば、多様な人びとから情報を得るためのコミュニケーション。それから、特定の地域の文化や社会の問題についての知識。さらに、より現実に即した解決策を生み出すことにつながる、人びとの生活をよく観察する力……。でも、こうした要素は、誰もがはじめから持っているわけではありません。授業の中で得た知識や、自分の足で各地をたずね、いろんな背景を持つ人びとと話をする経験を重ねることで、着実に身についていきます。いちばん重要なのは、積極的に行動できること。好奇心が旺盛で、身の回りで気になることがあったり、人と話すことが好きな人は特に歓迎します。興味がある人は、ぜひ恐れずに飛び込んできてください。
専門分野 : コミュニティ論/建築計画
-
学部横断型
全5学部の授業から幅広く学ぶ
人間環境デザインプログラムは、従来の学問分野にとらわれず、複数の異なる領域を学際的に学ぶことが最大の特長です。建築と国際文化の学びを中心に、メディア表現、芸術、デザイン、マンガの学びを横断的に学修します。
※人間環境デザインプログラムはデザイン学部建築学科のなかに配置しています -
少人数制
対話を通して学ぶ
1学年の定員は16名。他学部の1専攻が20~96名であることと比較すると、非常に少人数。ゼミ形式の学びを中心に、それぞれの考えを積極的に発表する機会を多く設け、対話を通して学ぶことを重視しています。
4年間の学び
-
1年次
FIRST
文化にまつわる幅広い知識、 技術を領域横断的に学ぶ
1年次は領域を横断して幅広い知識を得ます。建築・都市研究の土台となる、人文・歴史・社会・国際問題をはじめ、人間の多様な生き方について理解を深めていきます。また、設計や製図などの建築の基礎となる技術も学びはじめます。
授業例: 建築基礎実習、クリエイティブ・ワークショップ、コミュニケーションスキル、国際文化概論、国際文化史、自然環境演習、建築計画、日本建築史 など -
2年次
SECOND
ゼミ活動を開始し 実践的に理解を深める
少人数制を生かし、それぞれが関心に沿ったテーマを個別に研究しはじめます。積極的に学外で調査・研究を行い、実社会の問題に目を向け、自らの課題を発見し考察する。日本文化やグローバル化についても理解を深めていきます。
授業例: 海外ショートプログラム、建築基礎実習、建築応用実習、デッサン、日本文化概論、グローバル化と社会、Business English、コンテンツビジネス など -
3年次
THIRD
国内外の現地に足を運び、テーマを追究する
国内はもちろん、ベトナムやタイ、香港などの東南アジアや、セネガル、ガーナ、マリなどのアフリカ、そしてブラジルといった海外のフィールドに足を運び、現地で研究します。キャンパスに戻ってからは、ゼミでの発表や教員からの指導を通して調査研究の検証を重ねます。
授業例: 地球環境学概論、建築応用実習、建築社会実践実習、建築応用実習、サステナビリティと社会、観光学総論、アカデミックスキル、アートマネジメント論 など -
4年次
FOURTH
卒業研究に取り組み 新しい提案を行う
調査研究で深めた現状への理解と、これまでの経験から得た知見をもとに、人々の暮らしやコミュニティのあり方、街づくりなどについて、卒業研究を行い、卒業論文や卒業設計を通して新しい提案を行います。
授業例: 産学連携PBLプログラム、卒業研究実習、卒業論文・卒業制作、卒業展示、建築力学、建築法規演習、施工演習、西洋建築史 など
4年間で身につく能力
- 文化や地域への理解をもとにした課題発見力
- 柔軟な思考で企画を出せる提案力
- 建築や都市を計画・建造できる専門的な力
学びのポイント
文化や地域や環境、そのあり方を学ぶ
現地での体験を通し実践的に学ぶ
建築家でもある教員から学ぶ
現地調査を重視した実践的な学び
テーマ・フィールド例
-
環境保全・コミュニティ再生
研究場所:国内外NPOや各種コミュニティ
世界にはさまざまな規模と次元で多様な環境問題やコミュニティの課題が存在する。それぞれの課題に対応する方法論を身につけ、環境と暮らしのより良い関係を実践的に学ぶ。 -
国際芸術祭と地域再生
研究場所:瀬戸内国際芸術祭(多度津)・大地の芸術祭(新潟枯木又)
アートの視点から、他分野と協働して地域のさまざまな空間の再生や活用を企画・実行する。地域の歴史を学び、暮らしと課題を把握し、人間と環境の新しい関係を提案する。 -
建築設計
国内外の建築設計事務所
建築設計事務所で、実際のクライアントや建物の利用者、施工者と共に建築設計に取り組む。企画設計や打ち合わせをリアルに体験し、実務に関するスキルや経験を得る。
研究テーマ例
- 山間地域の過疎化と地域再生の研究
- 町家の再生とコミュニティの変容
- 少子化と高齢化を意識したまちづくり
- 世界文化遺産の修復・保存計画の理論と神話
- ベトナムにおける都市の拡大と既存コミュニティの変容
卒業後の進路
建築士、公務員、地域コンサルタント、NPO・NGO 職員 など
主な就職先
取得できる資格
● 二級建築士
● 木造建築士
(いずれも受験資格)
VOICE
-
幅広さに惹かれて入学。 建築の授業が楽しい。
高校の先生から「こんな大学があるよ」と教えてもらって、京都精華大学のことを知りました。もともと国際系の学びに興味があったのですが、将来の職業など具体的な夢があるわけではなかったので、国際文化に触れながら幅広く学べるという「人間環境デザインプログラム」が自分に合っていると思って受験しました。1年次は建築の授業をベースに、興味のある科目を選択して受講しています。1学年の定員が16名と少人数制なので、同級生や先輩、先生との距離感がとても近いのが良いところ。困ったときはすぐに相談できるし、優しくて頼りになる人たちばかりです。最近はボストンからきた留学生と仲良くなり、課題を手伝ったりもしています。いま一番おもしろいのは、やはり建築関連の授業。実は大学に入学してから初めて建築に興味を持ったのですが、様々なことを考えながら設計を進めていくのがとても楽しい。製図の授業でも自分の頑張りがそのまま評価にも表れるので、どんどんやる気が湧いてきています。将来は、建築に関連した仕事につきたいと思うようになりました。建築士の受験資格を取れるように授業を履修していますが、これからも新しいことに出会えそうなので、興味を持ったものを積極的に学び、技術や知識を身につけていきたいと思っています。 -
地域コミュニティのあり方を研究テーマに活動中。
以前から興味があった京都精華大学に、新しいプログラムができると知って興味を持ち、1期生として入学しました。「その建物だけではなく、周辺の環境や歴史を踏まえたうえでの建築デザイン」という切り口で学ぶのがおもしろく、地域の暮らしを尊重しながら、人々の新しい生活環境を建築の技術で提案しています。2年間でいちばん楽しかったのは夏に行った京丹後での一泊二日の合宿。緑いっぱいの大学のキャンパスも好きですが、さらに自然豊かな海の家のような場所で過ごし、現地の方にインタビューしたり研究発表をしたり、また、食事を作ったり花火をしたり、夜通しお喋りをしたり、貴重な体験ばかりで最高の夏の思い出ができました。私の研究テーマは地域コミュニティです。京都で生活する地域住民の人々に質的調査としてインタビューを行い、観光都市の生活環境のあり方について考えています。また、3年次にはフィールドワークでカナダへ留学します。そこでは以前からの興味があった、女性の働き方・暮らし方について調べる予定です。卒業後の具体的な方向性はまだ決めていません。ただ、どんな仕事を選んでも、いま学んでいることが役に立つという確信があります。この大学生活のなかで、心から夢中になって取り組めることを見つけたいと思います。 -
環境マネジメントとしての建築設計
建築家として日々建築設計に取り組んでいると、異なる立場の人の利害を調整する機会が日常的に数多くあります。あるとき、その調整そのものが環境問題を解決する作業だと気づき、「環境マネジメントとしての建築設計」に興味を持ちました。私のゼミで取り組むのは、世界中の都市で活用できる普遍的な建築設計や都市開発のモデル。京都と他の都市を比較しながら観察・分析を行い、身近な視点から、地球規模の大きなスケールで、自分のアイデアを形にしてほしいと思います。建築設計にはさまざまな制約や問題が発生しますが、それぞれの解決方法を各場面で粘り強く探っていると、全体を解決する答えがポンッと現れる瞬間があります。その瞬間こそが建築設計を行う醍醐味なんですよ。 -
人間と自然の関わりから生活環境改善を提案
ブラジル、日本など多様な地域で、人間の生活と環境変化の関連性に注目してきました。遠く離れた地域のまちづくりを比べると、必ず共通点と相違点が発見できます。それは、人間の普遍的な特性と地域の特殊性が組み合わさった結果。都市設計を通じて現代社会の多様性と複雑性に気づくことで、よりよい世界を創造するための条件を知ることができるはずです。私のゼミでは、人間(文化)と自然(水、気候、植物、動物、微生物等)がどう関わりあうかを調査し、生活環境を改善する提案を行います。それぞれを観察し、マッピングし、時間による変化や距離のある地域とのつながりや差異を明らかにしていきます。自分の周辺と遠く離れた地域、過去と未来を結びつけることに興味がある人ならだれでも歓迎します。一緒に学んでいきましょう。