芸術研究科博士前期課程の教育課程は、「芸術理論特講」「表現領域特講」からなる専門特講科目があり、ここで芸術・美術の歴史や批評を学びます。
専門研究科目には「芸術研究」が用意されており、修士制作・論文の完成に向けて、プランニングから制作指導、ディスカッションなど、実践的なカリキュラムで構成されています。
専門特講科目
芸術理論特講
芸術家の言葉をひもとく
近代美術に関する基本的なレクチャーを受けた後、各回の発表者を決定し、自身の作品を影響を受けた作家に関連づけたプレゼンテーションを行う。
表現領域特講1
日本の美学
日本的な美意識とされている概念やそれを表すキーワードとともに、文学、美術、音楽、芸道、そして日常生活に渡る様々な例をとりあげながら、今は忘れられた古い考え方から、知らないうちに現代の私たちも引き継いでいる美意識に至るまで、哲学的・美学的に考察する。
表現領域特講2
西洋美術とその外部文化交渉のなかの表現
19世紀以降の西欧の造形美術と非西洋世界との交渉に着目し、両者の理念の違いから、いかなる葛藤が生まれ、どのような結果にたどり着いたのかを批判的に検証する。過去から学ぶことで、グローバル化が謳われる21世紀の可能性・方向性を探り、各自が現代を切り拓いていく視点を養う。
表現領域特講3
芸術・文化の社会的「専門性」—法・政策から実践まで—
芸術・文化の社会的「専門性」法・政策から実践まで、大学や美術業界の「一歩外側」の知識やイメージを大学院生のうちに身につけ、失敗を含めたチャレンジをしていくことはとても重要である。創作活動を継続するための支援者やリソースを得ていくための・プロの作家(主に絵画・彫刻・立体デザイン)、ギャラリーからアーティストランスペースや各国の美術館まで、造形美術に関連する営利・非営利のビジネスモデルをイメージし、情報や手がかりを人に教えてもらうのではなく、自ら動き、調べ、どういう人脈をつないで手に入れていくかを考える。
表現領域特講4
民衆の芸術|民藝運動とその周縁・現代美術
黎明期の民藝運動の目的を明らかにし、他方で、民藝運動の周縁的な動向にまつわる人物、物品、出版社などのネットワークに注目し、民藝運動とのつながりを浮かび上がらせる。さらに、民藝運動が戦後の現代美術にどのような影響を与えていたのかを考察する。
専門研究科目
芸術研究1
年間制作計画と作品研究、参考文献講読
さまざまな専門分野における基礎を学ぶ。たとえば映像分野の授業では、ビデオアート研究、メディアアート研究を通し、映像・インスタレーションの歴史や海外アーティストの作品に触れていく。授業は日本語で行われるが、テキスト類はすべて英語で表記。海外の文献を読み解く力も身につく。
芸術研究2
作品制作の深化・小論文の制作発表
さらなる作品制作やコンセプトの追求のため、個別指導、個人制作を中心に進行する。テキスト講読や討論、プレゼンやレポートも課され、問題を共有し互いに高めあうなかでよりよい制作をめざす。
芸術研究3
修士制作における具体的なプランニング
各自の研究テーマ、制作の参考になる事例研究や理論研究の参考文献の講読を行う。修了研究、制作のスケジュールを確定し各自で進めつつ、討論、プレゼン等でアドバイスと刺激を与えあう。
芸術研究4
修士制作作品・論文の完成・発表
修了研究、制作の構想をより明確化し、完成度を高めることを目指す。個と作品の関係、作品の成立と社会との関係を考えるための文献講読も併行し、専門領域の見識も高める。
芸術研究科 博士後期課程 科目構成
表現研究計画演習
「博士論文に向けて」
博士論文執筆に向けた基礎段階として、論文の書き方、資料調査の仕方を理解する。
表現総合研究1
学生の研究領域のテーマに応じ、主指導教員と副指導教員が分担または合同で指導を行う。
表現総合研究2
「表現総合研究1」における研究成果を踏まえ、さらに高度な総合的芸術表現を追究するための研究を行う。
表現総合研究3
主指導教員、副指導教員とともに、「表現総合研究1」および「表現総合研究2」における研究成果を踏まえ、制作・研究の集大成を行う。