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竹宮惠子学長に突撃インタビュー!

みなさんこんにちは!音楽コースのニシです!
 
 
今回はなんと、我らが学長、竹宮惠子先生にインタビューをさせていただきました!
 
学長のお仕事でとてもお忙しいなか、「学生の希望には出来るだけ応えたい!」と快く取材をOKしてくださったのです!
 
来年度から始まる新プログラムについてや、僕が普段から気になっていたことを聞いてきましたよ〜!
 
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竹宮 惠子(たけみや けいこ)

 
1950年 徳島県生まれ。幼少期から多くの漫画作品に触れる。
 
1968年 徳島大学在学中に集英社「週刊マーガレット」に『リンゴの罪』でデビュー。

1970年 小学館「週刊少女コミック」に『森の子トール』連載開始。
 
1970年 上京し、本格的に漫画家活動に入る。代表作に『地球(テラ)へ…』『風と木の詩』『イズァローン伝説』『天馬の血族』などがある。
 
2000年 京都精華大学マンガ学科の教員に就任。
 
2008年 京都精華大学マンガ学部の学部長に就任。
 
2014年 京都精華大学 学長に就任(任期4年)。
 
2014年 紫綬褒章受章。
 
約45年間、漫画家として活動を続け、現在は後進の育成に当たっている。
ではさっそく、学長にインタビューした様子をご覧ください!
 
—学長になられたのはどうしてですか。
 
竹宮惠子先生(以下竹宮):
京都精華大学の学長は、なりたい人が立候補するんではなく、教職員の中から自由投票で選ばれるんです。「まさか自分は選ばれないだろう」と思っていたんですが、選ばれたんですね。しかも、鎌倉から九州への引越しを決めた後に選ばれたので、いろいろなことをキャンセルするのが大変でした(笑)。
 
—学長に選ばれた時、どう思いましたか?
 
竹宮:
実は、私自身はもう大学教員を辞めようかなと思っていたんです。でも、私への期待が多かったのはうれしかったですし、マンガが大学の学問として定着するかどうか考えながら12年くらい勤めさせていただいて、定着することができたなと実感していましたので、そのことへの感謝の気持ちも込めて、「私に大学を助けられることがあるなら」と思ってやることに決めたんです。
 
—ちなみに、マンガ家としてご活躍されていたときと、大学で教鞭をとられているときでは、どちらが大変だと感じますか。
 
竹宮:
”大変さ”や”忙しさ”の質がまた違うので、両方比べるのは難しいですね(笑)。うーん……マンガを描くときは時間を忘れて描いてしまうので、次に何をすればいいのかを全部忘れてしまうんですね。でも、大学で働くということは時間を守って、何か会議があれば参加しなければいけない。就任当初は、今までとの生活習慣とのギャップで苦労することがよくありました。
 
—来年度から新しい全学プログラム「SEEK」が始まりますよね。なぜ今、こういった形で新しい教育プログラムを行おうと思われたのでしょうか。
 
※「SEEK」とは、今までの専門分野の教育に加え、11の教養教育と8の副専攻を選択する全学プログラム。専門分野以外のカテゴリーを学ぶことによって芸術と文化への理解がより深まることをねらった、京都精華大学のオリジナル教育プログラム。2017年度から本格的にスタートする。
竹宮:
私が大学生だったころのカリキュラムは、一般教養を勉強してから専門分野に入っていく、というかたちだったんですが、それがいったん無くなってしまったんですよね。その状況がずいぶん長く続いていて、今も「専門教育をやるのが大学の仕事だ」と言われています。私が京都精華大学に来たとき、まず「えっ、一般教養は無いの?」って驚いたんです。一般教養を学ぶ授業がなかったら、学生たちは一体どこで一般教養を身につけ、社会に適応できる人になれるんでしょう。
 
例えば、マンガを描くためには、本当にいろんなことを知っていないといけないんです。物語を考えるだけではなく、その物語の舞台として設定した場所や時代はどういったもので、どんな問題があったかまで知っている必要がある。学生に「情報館に行って資料を探してきなさい」と言っても、探し方そのものが分からないという学生もいます。教員方の間でも、その点を指摘する声は上がっており、ついに来年度からこういった形で、しっかりと教養の基礎を固めるプログラムが導入されることになりました。

—このプログラムでは、学部を超えて学生が交流できるようですね。その仕組みを作ったのはどうしてですか?
 
竹宮:
現在の京都精華大学にはコース間の交流ができる授業が少なく、自分のコースのことしか知らない学生が多い。それはもったいないでしょ?4年間のなかで他の学部の学生と知り合って、「うちではこうだ、でもあっちではこうだ」ということを聞くだけで視野が広がると思うんです。もちろん、現在の在学生のために学年を超えて交流できる仕組みも考えているところです。

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—京都精華大学の「自由自治」という理念について、竹宮先生はどう捉えていらっしゃいますか?
 
竹宮:
私が初めて「自由」の意味を考えたきっかけは、石ノ森章太郎先生の短編なんです。「自由を欲しがる鯉のぼりが、繋がれている糸を切って世界を飛び回るけど、最後は雷に打たれて海に沈んでしまう」というお話。自由の素晴らしさとリスクの両方が描かれているこの作品を、大学生のときに読み、自由を得るためにはリスクも考えて行動しなければならないと気づきました。
 
「自治」というのは、自分の行動に客観性を持つことだと思います。社会と自分を対峙させ、自分の立ち位置を把握したうえで行動するということではないかなと。
 
つまり、私にとって「自由自治」というのは、ただ好き勝手生きることではなく、リスクや自分の立ち位置も含めて考え、自らの求めることに対して行動することではないかと思っています。
 
—昨年、大学の校舎内に「安全のため、防犯カメラを設置する」という話が上がり、「自由自治」について考えさせられました。最終的には別の方法で管理することになりましたが、機材などの安全な管理という点では、学生や教員の力だけでは補えず、別の力を借りなければいけません。
 
竹宮:
防犯カメラ設置の話は、私も聞いていました。でも、カメラをつけて「はい、解決!」ではないと思うんです。問題の解決法はそこではなく、もっと別のところにある。そのことについて学部内で話し合う場を設けてほしかったんです。
 
私は、大学が学生を助けすぎるのは良くないと思うんですね。もちろん、一人だけではどうすることもできず、本当に困っていることは助けていくべきだと考えていますし、実際にそうしています。でも、あれもこれも助けの手を差し伸べるというのは違う。それは、学生の考える力を奪ってしまうと思うんです。
 
問題に直面したとき、どのように考え、どうやって解決するか。数ある解決方法から、はっきりとした意思をもって「選択」する。それも「自由自治」の一つだと私は考えますし、その機会や気持ち、育むための力を大学が奪うべきではないんです。
 
話す場を作りたいけど人が集まらない、そこで私の力を貸してほしいということであれば、喜んで協力します。でも、そういった過程を踏まず、目先の問題だけをクリアにするために手っ取り早い解決法を選択するというのは違いますよね。問題の根本を放ったらかしにせず、まずはそこを考えてほしいんです。

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—京都精華大学の学生にはどんな特徴があると思いますか?
 
竹宮:
この大学の学生といえば、昔はすごく変わり者が多かったですね。毎年学生の姿を見ていると、少しずつ事なかれ主義になっているのかなぁと思います。だから今年の木野祭(学園祭)で、私がライブペインティングをしたイベントでは、「精華の学生に元気がないのは、竹宮惠子が精気を吸っているからだ」というテーマで描いたんです(笑)。
 
学生たちは「若い」。若いからまだ何も知らないって言われたりしているかもしれないけど、私からすれば「若い」ということほど無敵なことはないですね。だからこそ、もっと行動を起こしてほしい。失敗もしてほしいです。失敗しても挽回のチャンスはあるんです。だから無敵なんですよ。それに、失敗するということは、経験するということ。それは自分を育む糧になるんです。
 
—最後に、このブログを読んでいる高校生にメッセージをお願いします。
 
竹宮:
精華大は「SEEK」を始めて、新しい大学のカタチを作っていこうとしているので、ぜひ期待してほしいです。また、新しい大学のカタチを作る一員になりにきてほしいと思います。

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竹宮先生、お忙しいところありがとうございました!
 
インタビュー中、竹宮先生の学生想いの優しい人柄や、教育に対する揺るぎのない考えに触れ、「なるべくして学長になった人」なんだと感じました!

 
大学の理念である「自由自治」について、竹宮学長から直接話していただけたので、僕自身にとっても貴重なインタビューでした!
 
「SEEK」は本当に面白いプログラムだと思うので、ぜひみなさんチェックしてみてくださいね!

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