現在、京都精華大学ギャラリーフロールでは、「京都精華大学50周年記念展石黒宗麿と八瀬陶窯—五〇年目の窯出し—」を開催中です。12月14日(金)には、オープニングトークとレセプションが行われました。トークは二部構成で行われ、第一部では展覧会実行委員会の木村盛伸氏、清水保孝氏、馬場弘吉氏、森口邦彦氏の四名、第二部では、同じく実行委員の小野公久氏が、本展企画者である八瀬陶窯研究会の本学教員米原有二、奥村博美と、石黒宗麿の来歴やその作品について語り合いました。
1893年に生まれた石黒宗麿は、43歳で若手陶芸家育成の拠点として八瀬陶窯を開きました。62歳で人間国宝に認定され、74歳で逝去するまで、八瀬陶窯で数多くの作品を生み出しました。
京都精華大学では、八瀬陶窯とそこに残された陶片の検証を起点とした調査・研究活動を2018年から行っています。本展覧会では、陶片に触れられる展示スペースを設け、石黒の作品を触れて感じることができるように展開しています。オープニングトークでは、陶片がもともとどのような作品だったと考えられるか、スライドを用いて紹介されました。
また、本研究の一環として実施した登り窯測量調査において、2018年6月、窯内から石黒作とおもわれる「木葉天目茶碗」が発見されました。木葉天目茶碗は、登り窯で焼成するのは難しく高い技術を要しますが、石黒は独自の技法で制作していたことがわかっています。なかでも今回発見された茶碗は、あまり例がない形をしているとのことでした。今後の研究が進むことが期待されます。
オープニングトークの後は、レセプションが開催されました。
はじめにウスビ・サコ学長からあいさつがあり、皿や器は世界中どこでも使われているものであり、国境を超えて世界中で人を感動させることができるものだとお話しがありました。そして今回新たに発見された「木葉天目茶碗」をどのように展開していくか、大学として大きな課題を与えられたと意気込みを述べました。
レセプションで使用された様々な器は、本学陶芸専攻の学生が作った作品です。また、料理は陶芸コース卒業生が運営している「nano食堂」さんが提供してくださいました。参加していた芸術学部1年生の学生は、「大学前から石黒宗麿のファンだった。今回の発見に驚いている」と目を輝かせて話していました。
本展覧会は2019年1月12日(土)まで開催を予定しています。普段は触れることができない貴重な陶片に、ぜひ触れることで石黒宗麿の世界を感じてください。
京都精華大学50周年記念展「石黒宗麿と八瀬陶窯 —五〇年目の窯出し—」
会期:2018年12月14日(金)~2019年1月12日(土)
休館日:日曜日、12月24日(月・祝)、12月29日(土)〜1月6日(日)
開館時間:11:00~18:00 ※ただし、12月14日(金)は16:00開場
入館料:無料
会場:京都精華大学ギャラリーフロール
問い合わせ先:075-702-5263(京都精華大学ギャラリーフロール)