2024年3月20日(水)、「2023年度卒業式・学位授与式」を挙行しました。
今年度の卒業・修了生は、学部卒業生が799名、大学院修了生が55名です。
卒業・修了生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
今年度の卒業・修了生は、学部卒業生が799名、大学院修了生が55名です。
卒業・修了生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
澤田昌人学長は「ご卒業・ご修了おめでとうございます。今年の4年生が入学した2020年4月からの4年間は、誰もが経験したことのない未曾有の年月でした。しかし卒業・修了展の作品の充実ぶりは、この学年の皆さんが自分ではどうしようもない状況に負けることなく、学び続けてきたことを証明していると思います。皆さんのこれからの人生が学びと成長に満ちたものになることを祈っています。」と、卒業生への賞賛、激励の言葉を述べました。
※澤田昌人学長の学長挨拶全文は、本ページ末でご覧いただけます。
※澤田昌人学長の学長挨拶全文は、本ページ末でご覧いただけます。
また、同窓会「木野会」会長の永井 利之さんより祝辞、卒業生代表で芸術学部立体造形専攻 武田 虹羽さん、デザイン研究科 テイ ウキンさんより「卒業生の言葉」が述べられました。
また、今年度退職される教員に同窓会「木野会」より花束が贈呈されました。
今年度退職される先生方は、芸術学部の佐川 晃司先生、生駒 泰充先生、池垣 タダヒコ先生、マンガ学部のおがわ さとし先生、都留 泰作先生です。先生方、長いあいだのご指導、ありがとうございました。
今年度退職される先生方は、芸術学部の佐川 晃司先生、生駒 泰充先生、池垣 タダヒコ先生、マンガ学部のおがわ さとし先生、都留 泰作先生です。先生方、長いあいだのご指導、ありがとうございました。
あわせて開催された「京都精華大学展2024表彰式」では、卒業・修了作品、論文の学長賞、理事長賞、学長奨励賞、木野会賞受賞者の表彰が行われました。
学長賞受賞者は、芸術学部 ツビンデン ティム 健人さん、マンガ学部 窪田 怜美さん、人文学部 安原 千乃さん、理事長賞にデザイン学部 リュウ イティンさん、ポピュラーカルチャー学部 谷川くるみさん、芸術研究科 セン カイテイさんが選出。また、学長奨励賞に芸術研究科 コウ シンケンさんが選出されました。
木野会賞には、芸術学部 國吉 真咲さん、デザイン学部 金谷 侑奈さん、マンガ学部 睦月一さん、ポピュラーカルチャー学部 猫木 蒼さん、人文学部 高橋 希明さんがそれぞれ選出され、表彰されました。
式典後は各学科・コースに分かれ、一人ひとりへの学位記の授与と、謝恩会が行われました。
4年間を過ごした教室で、教員や同級生と思い出を語り合う姿が見られました。
卒業生のみなさん、受賞者のみなさん、改めて本日はおめでとうございます。
これからのみなさんのご健勝とご多幸を、教職員一同心よりお祈りしております。
4年間を過ごした教室で、教員や同級生と思い出を語り合う姿が見られました。
卒業生のみなさん、受賞者のみなさん、改めて本日はおめでとうございます。
これからのみなさんのご健勝とご多幸を、教職員一同心よりお祈りしております。
「2023年度卒業式・学位授与式」 澤田 昌人学長式辞 全文
皆さん、ご卒業・ご修了おめでとうございます。ご家族の皆様におかれましても、お子様のご卒業・ご修了を心よりお喜び申し上げます。
とうとうこの日がやってきました。卒業生、修了生の皆さんを送り出し、お別れすることは、毎年のこととはいえ寂しい気持ちになります。
しかしとりわけ今年の4年生が入学した2020年4月からの4年間は、誰もが経験したことのない未曾有の年月でした。2020年1月にWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しましたが、2003年のSARSのパニックを経験していた私でもこれほど長い間の対応が必要になるとは夢にも思いませんでした。2020年3月になって危機はいよいよ深まり、授業開始を遅らせただけでなく、その後全面的なリモート授業に移行しました。皆さんの多くは、入学早々、登校できず、同級生と出合うこともできなくなりました。日本に入ることさえできない新入生もいました。2020年度の新入生はキャンパスに集うことなく、このキャンパスは人の住まない廃墟のようになりました。私は毎日大学に来て、リモートの授業を準備したり、カリキュラムの整備をしたりしていましたが、大学から帰るときに、人気のない建物を出て、人のいない広場を横切りそこを照らす夕日をみた時の寂しさを今でも覚えています。試行錯誤の前期を終える頃、当時の学長の英断もあって、後期からは重要な科目は対面で行うことになりました。
とうとうこの日がやってきました。卒業生、修了生の皆さんを送り出し、お別れすることは、毎年のこととはいえ寂しい気持ちになります。
しかしとりわけ今年の4年生が入学した2020年4月からの4年間は、誰もが経験したことのない未曾有の年月でした。2020年1月にWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しましたが、2003年のSARSのパニックを経験していた私でもこれほど長い間の対応が必要になるとは夢にも思いませんでした。2020年3月になって危機はいよいよ深まり、授業開始を遅らせただけでなく、その後全面的なリモート授業に移行しました。皆さんの多くは、入学早々、登校できず、同級生と出合うこともできなくなりました。日本に入ることさえできない新入生もいました。2020年度の新入生はキャンパスに集うことなく、このキャンパスは人の住まない廃墟のようになりました。私は毎日大学に来て、リモートの授業を準備したり、カリキュラムの整備をしたりしていましたが、大学から帰るときに、人気のない建物を出て、人のいない広場を横切りそこを照らす夕日をみた時の寂しさを今でも覚えています。試行錯誤の前期を終える頃、当時の学長の英断もあって、後期からは重要な科目は対面で行うことになりました。
それからの3年半も、いろいろなことがありました。昨年になってようやく対面を基本とした学園祭が開かれ、先だっての卒業・修了展は久しぶりに予約なしで行うことができ、本学始まって以来の大変な盛況となりました。学生の皆さんはもちろんのこと、教職員も、思うようにならない状況に耐え、歯を食いしばって乗り切ってきたと感じています。本当に長いトンネルでした。
しかし卒業・修了展の作品や論文の充実ぶりは、この学年の皆さんが自分ではどうしようもない状況に負けることなく、学び続けてきたことを証明していると思います。卒業・修了展を訪れてくださった多くの方々は、皆さんの努力を証明してくださる証人です。皆さんは自らの経験を大いに誇る資格があると思います。長いトンネルを抜けてみることのできた景色が、ここに集う卒業生・修了生の仲間たちです。これから皆さんは人生の新たな段階へと入っていきます。本学から、社会へ、あるいは進学へと進んでいくわけですが、人生の段階が変わるとき、その境目で行われる儀礼、儀式のことを私が専門とする人類学では「通過儀礼」と呼びます。この卒業式や成人式は「通過儀礼」の一種と言えます。なぜ「通過儀礼」を行うか、というと、人生の段階が変わるということはその人にとって慣れ親しんだ生活から離れ、未体験の世界に入っていくという、ある意味で危機的な状況だからです。その危機的な変化を乗り越えるための勇気や知恵を人類は「通過儀礼」で得ようとしてきたのです。そのような儀礼ではしばしば体を傷つけたり、命を危険に晒すことまで行われました。有名な例として南太平洋のある島で行われていた「成人つまり大人」になるための「通過儀礼」です。植物のつるで両足首を縛り、高い木の上から頭からジャンプして地面に僅かにぶつかるが大怪我はしない、というギリギリの経験を与えるものです。皆さんご存知のバンジージャンプは、この島の「成人儀礼」を真似したものです。
この卒業式で、そんな危険なバンジージャンプはもちろんしません。私が思うに皆さんはすでに「通過儀礼」を終えています。それは卒業制作・卒業論文・修了制作です。そのために費やされた時間と、努力と、エネルギーは、皆さんの人生の次のステージの準備となります。それは、皆さんが卒展・修了展で示したこれまでに経験したことのない高いエネルギーのレベルが、今後の皆さんの人生において出発点となり、さらに高いレベルに向上するための土台となるはずだからです。最初の話に戻りますが、コロナ禍とそこからの脱出の4年間は、経験したことのない危機とそれを乗り越えるための試行錯誤の4年間でした。それは、皆さんにとって長期にわたる壮大な「通過儀礼」だったと考えることもできます。未経験の状況に対応する中で勇気と知恵が鍛えられてきたはずです。この「通過儀礼」を乗り越えてきた皆さんには、人生の新しい段階に向けて、胸を張って堂々と歩み始める十分な資格があると私は信じています。皆さんの人生がさらなる学びと成長に満ちたものになることを心より願ってお祝いの言葉を終えたいと思います。