このたび、京都精華大学伝統産業イノベーションセンターによるシンポジウム「ROOT(S)|八瀬陶窯から芋づる」を開催します。
「八瀬陶窯」とは、陶芸家・石黒宗麿氏が1936年に京都市左京区八瀬の地に築窯し、晩年まで制作の拠点にしていた陶窯です。石黒氏は、1955年に鉄釉陶器の技法による重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されるなど、中国や朝鮮の古陶磁に迫りながら、独自のエスプリを持った個人作家として知られています。1956年には、自身の工房が後進の陶芸家の研究の場となるべく「財団法人 八瀬陶窯」を設立。石黒氏の没後(1968年)、八瀬陶窯は関係者の管理を経て、2003年から本学が施設管理を行なっています。
本シンポジウムでは、はじめに、これまで伝統産業イノベーションセンターが行なってきた八瀬陶窯の陶片を用いた研究や展覧会などの活動、五条坂を中心とした京焼の陶工たちと石黒氏の交流・影響関係を探ることで、八瀬陶窯という場の意味合いを見出します。また、伝統工芸を新たな視点から継承している先行事例として、福島県昭和村における「からむし織」の体験生と村人との協働や、郷土玩具の木地師や福祉施設との協働による実験的な玩具制作のアプローチを紹介。そして、座談会では石黒氏の陶器が生み出された八瀬陶窯のまだ見ぬ「root(s)=根、地下茎」を芋づる式に掘り起こしていくことで、八瀬陶窯という場がどのような活用の可能性を持っているかを探ります。
関連イベントとして、同日に「八瀬陶窯の見学会」が実施されます。今回のシンポジウムのテーマとなっている陶窯を、間近でご覧いただくことができます。詳細は公式サイトでご確認のうえ、ぜひご参加ください。
シンポジウム「ROOT(S)|八瀬陶窯から芋づる」
関連イベント「八瀬陶窯の見学会」
会期:2023年8月26日(土)
時間:10:00~12:00
開催地:八瀬陶窯
※京都市営地下鉄「国際会館」駅から、専用バスにて出発します。集合場所などの詳細は、後日参加が決まった方にメールにてお知らせいたします。
参加費:無料
申込:事前のお申し込みが必要です。詳細はお申し込みページよりご確認ください。
定員:30名(先着順)
登壇者プロフィール
鞍田 崇(哲学者/伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)
1970年兵庫県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。
著作に『民藝のインティマシー「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)、『からむしを績む』(著書、渡し舟、2021)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。
軸原 ヨウスケ(デザイナー / 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)
1978年岡山県生まれ、岡山在住。「遊びのデザイン」をテーマにしたデザインユニット「COCHAE(コチャエ)」のメンバー。グラフィックデザインにとどまらず、紙雑貨やパッケージのデザイン、出版企画や商品開発など幅広く活動中。
著書に『kokeshi book 伝統こけしのデザイン』(青幻社、2010)、『カワイイヲリガミ細工』(誠文堂新光社、2016)、『アウト・オブ・民藝』(著書、誠光社、2019)など。
清水 愛子(研究者 / 意匠学会会員)
京都工芸繊維大学大学院博士後期課程修了。現在、京都芸術大学、広島市立大学非常勤講師。京焼の近代化に関する研究と共に、これまでの革新的な京焼の歴史を受け継ぎ、「京焼今展」や「京都・五条やきもの市」など、今という時代にかなった新たな試みを支える活動を行なっている。共著に「京都 伝統工芸の近代」(思文閣出版、2012)、「京都 近代美術工芸のネットワーク」(思文閣出版、2017)など。
中村 裕太(京都精華大学 芸術学部共通教員 / 美術家 / 伝統産業イノベーションセンター員)
1983年東京都生まれ、京都在住。京都精華大学博士後期課程修了。博士(芸術)。京都精華大学芸術学部准教授。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの研究と制作を行なう。
展示に「ツボ_ノ_ナカ_ハ_ナンダロナ?」(京都国立近代美術館、2020)、「MAMリサーチ007:走泥社─現代陶芸のはじまりに」(森美術館、2019)など。著書に『アウト・オブ・民藝』(著書、誠光社、2019)。
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