2023年3月21日(火)、「2022年度卒業式・学位授与式」を挙行しました。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、卒業生と教職員のみで式典を執り行い、式典の模様をオンラインで配信しました。ご家族のみなさまは、大学内に用意した2会場で中継をご覧いただきました。
今年度の卒業・修了生は、学部卒業生が748名、大学院修了生が54名です。
卒業・修了生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、卒業生と教職員のみで式典を執り行い、式典の模様をオンラインで配信しました。ご家族のみなさまは、大学内に用意した2会場で中継をご覧いただきました。
今年度の卒業・修了生は、学部卒業生が748名、大学院修了生が54名です。
卒業・修了生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
澤田昌人学長は「ご卒業・ご修了おめでとうございます。将来を見通しにくい現代であるからこそ、どんな状況においても、努力、研究、工夫、そして目に映るものの背後にあるものへの探究が、私たちの成長とより良い世界をもたらしてくれるはず。みなさんにはいつでもどんな時でも、美しいもの、綺麗なものを見つけることができて、それに感動することができる人生を歩んでいってほしいと願っています」と、卒業生への賞賛、激励の言葉を述べました。
※澤田昌人学長の学長挨拶全文は、本ページ末でご覧いただけます。
※澤田昌人学長の学長挨拶全文は、本ページ末でご覧いただけます。
また、同窓会「木野会」会長の永井 利之さんより祝辞、卒業生代表でポピュラーカルチャー学部ファッションコースのパク チャンさん、芸術研究科博士前期課程の鐵羅 佑さんより「卒業生の言葉」が述べられました。
また、今年度退職される教員に同窓会「木野会」より花束が贈呈されました。
今年度退職される先生方は、芸術学部の佐藤光儀先生、デザイン学部の西村正幸先生、マンガ学部の佐川 俊彦先生、人文学部の小椋 純一先生です。先生方、長いあいだのご指導、ありがとうございました。
今年度退職される先生方は、芸術学部の佐藤光儀先生、デザイン学部の西村正幸先生、マンガ学部の佐川 俊彦先生、人文学部の小椋 純一先生です。先生方、長いあいだのご指導、ありがとうございました。
あわせて開催された「京都精華大学展2023表彰式」では、卒業・修了制作の学長賞、理事長賞、学長奨励賞、木野会賞受賞者の表彰が行われました。
学長賞受賞者は、芸術学部 的野哲子さん、マンガ学部 キンヒメレイさん、人文学部 笠井 菜那さん、理事長賞にデザイン学部 郡司亜実さん、ポピュラーカルチャー学部 梶原梨乃さん、デザイン研究科 黄亮智さんが選出。また、学長奨励賞にデザイン学部 リピンさんさんが選出されました。
木野会賞には、芸術学部 泉本紗也さん、デザイン学部 大西はなさん、マンガ学部 大串有朋さん、ポピュラーカルチャー学部 檜垣星冴さん、人文学部 本坊友莉亜さんがそれぞれ選出され、表彰されました。
卒業生のみなさん、受賞者のみなさん、改めて本日はおめでとうございます。
これからのみなさんのご健勝とご多幸を、教職員一同心よりお祈りしております。
これからのみなさんのご健勝とご多幸を、教職員一同心よりお祈りしております。
「2022年度卒業式・学位授与式」 澤田 昌人学長式辞 全文
卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族の皆様におかれましてもお子様たちのご卒業、心よりお喜び申し上げます。
皆さんの多くはコロナ禍の中で大学生活を送らなければならなかったために、それ以前の学生たちが想像もできなかった困難と変化を経験されてきました。そのために心身の調子を崩してしまった人も少なくないのではないかと思います。本当に苦しい時期でした。それでもこうして困難と向き合い、今日この日まで耐え抜いた皆さんに敬意を表したいと思います。
コロナによる影響が少なくなってきた今日この頃ですが、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって世界の状況が急速に大きく変化し始めました。国連憲章において定められている、国際の平和と安全を保障するはずの安全保障理事会常任理事国の一つロシアが、国際の平和と安全を乱す行為を行い、それを正当化するという深刻な事態が起こりました。この破壊と殺戮を開始した指導者は必ず責任を問われなければならない、と信じております。残念ながら世界の将来が俄かに不透明になってしまいました。このように大きく変化する時代を生き抜く力を、皆さんには持っていてほしいと思いますが、そのような成長のきっかけを本学で得ることができている、と私は信じております。
1ヶ月ほど前の卒業・修了展をみなさんは覚えておられるでしょう。ご家族の中にもご覧になった方がおられると思います。会場を巡り、多くの卒業生による努力の結晶、研究と工夫の成果、そしてさまざまな表現に写し込まれた世界への眼差しを知り、若い人々の努力、才能、悩みの数々に触れて、私は深く感動しました。あの素晴らしいエネルギーの全てが、今この大学から社会に放たれて、この世界を前に進めようとしているのだと感じました。卒業生の皆さんも、同世代の仲間のそれぞれの歩み、そしてその成果をご覧になって、勇気を、励ましを得たのではないでしょうか。あるいは自らの才能や努力を遥かに超える水準の作品を知って、打ちのめされる思いを抱いたり、あるいは負けないぞ、と闘志を燃やしたかもしれません。
将来を見通しにくい現代であるからこそ、どんな状況においても、努力、研究、工夫、そして目に映るものの背後にあるものへの探究が、私たちの成長とより良い世界をもたらしてくれると信じております。それが京都精華大学が掲げる「表現で世界を変える」と言う言葉の意味だと思います。
さて私は今、「どんな状況においても」と言いました。「どんな状況においても」とはどんな状況なのか、最後に一つの例を紹介したいと思います。
正岡子規という明治時代の作家がいます。彼は今から120年ほど前のち明治35年、すなわち1902年に34歳の若さで亡くなりますが、俳句、短歌、評論、随筆など多方面の創作活動を行い、日本近代文学に大きな影響を及ぼした人です。彼は20歳前後から結核を患っておりました。現在の結核はほぼ治る病気ですが、当時は医学的に治す方法はなく、ゆっくりと死に向かう病気として恐れられておりました。ワクチンも抗生物質もなかった時代です。結核菌という細菌が彼の体の各所に入り込み、骨や皮膚や内臓の組織を破壊していきました。彼は亡くなるまでの数年間、ほとんど寝たきりの生活をしながら、文学活動を続けていきます。その様子は、彼自身によるいくつかの本に記されております。
そういう本を読んでおりますと、正岡子規の最期が近づくにつれ「痛くて号泣する」とか「泣く」とか、耐え難い痛みに苦しんでいる様子が頻繁に記されるようになってきます。体のあちこちに穴が開いて、そこが痛み寝返りをすることもできず、その穴から膿が流れ出すのだと記しております。そのような悲惨な毎日の記録の中でも彼は庭の植物や昆虫を観察して、俳句を読んだり、文章にしたり、絵を描いたりしていました。その記録の一節に、このような文があります。「ガラス玉に金魚を十ばかり入れて机の上に置いてある。余は痛みをこらへながら病床からつくづくと見て居る。痛い事も痛いが綺麗な事も綺麗じゃ。」彼は耐え難い痛みのさなかでも、美しいものを見出し感動していたのです。
皆さんは、大学生活を通じて苦しいときや辛い時も、美しいもの、綺麗なものと出会うことがあったと思います。いつでもどんな時でも、美しいもの、綺麗なものを見つけることができて、それに感動することができる人生を歩んでいかれますよう、そう祈りつつ私のお祝いの言葉を終えたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
ご清聴ありがとうございました。