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2022年度 秋季卒業式を挙行しました

2022年9月16日(金)、「2022年度 京都精華大学・大学院 秋季卒業式」を挙行しました。
今年度は、芸術学部1名、デザイン学部3名、マンガ学部4名、人文学部2名、人文学研究科1名の計11名が本学を卒業しました。
卒業生の数が少ないこともあり、終始和やかな雰囲気のなか、ときおり笑い声もあがるなど、秋季卒業式ならではの温かな式典となりました。
澤田学長は式辞で、世界に大きな影響をもたらした3名、ネルソン・マンデラ、スティーブ・ジョブズ、マハトマ・ガンジーの言葉を紹介し、その共通点として「学びつづけることの大切さ」に言及しました。
そして、「順調に行っている時には学ぶことの大切さに気づかないかもしれませんが、苦難の時にこそ、学ぶことで乗り越えられるのだと思います。」と激励の言葉を送りました。
その後は各学部の学部長より卒業のお祝いと激励の言葉が送られ、卒業生からも一人ずつ学生生活の思い出や今後の抱負などが語られました。

マンガ学部の姜学部長は、10年近く読み解けなかった研究書を夏期休暇期間中にようやく理解することができた、と自身のエピソードを紹介し、「挫折の経験があるからこそ、目的地にたどり着いた時の喜びも大きくなる」とエールを送りました。
また、卒業生からは、「この学生生活でたくさんの人と出会い、社会に対して抱いていた不信感を拭い去ることができた。」「授業を通じて様々なことに興味を持ち、自分自身の得意や苦手なことに気が付いた。この先もまだまだ学ぶべきことがたくさんあると感じている。」等、卒業に際するそれぞれの思いが真摯な言葉で述べられ、会場からは温かな拍手が送られました。

式典後は、卒業生が学生時代の思い出を教職員と歓談する姿が見られました
ご卒業おめでとうございます。11名のみなさんの卒業後のご活躍を、心より期待しています。

「2022年度 京都精華大学・大学院 秋季卒業式」学長挨拶全文

皆さん、ご卒業おめでとうございます。ご家族ならびに学費支弁者の皆様へも、併せてお祝い申し上げます。
今年は学部、大学院合わせて、11名がこの秋季に卒業することになり、私たち教職員も嬉しい気持ちです。皆さんは本学で「学問と教育と深い友情を発見」することができたでしょうか? そうあって欲しいと願います。

さて、皆さんはこれからキャンパスを離れて、それぞれの道を歩んでいかれます。10人いれば、10人の道があるはずです。したがって、たった一つの人生しか経験していない私が自分の経験をお話しして、皆さんのこれからの人生に何か意味があるとはとても思えません。人生の先輩と言っても、皆さんよりもたった40年ほど長く生きているだけなのです。
皆さんの年齢から私は40年生きているわけですが、自分の人格やものの考え方には微々たる成長しか実感できていないのが本当のところです。しかし生きていてよかったなと思うことの一つは、自分よりも優れた人格や能力を持っている人々にいろいろなかたちで出会い、その人たちから学ぶことができたことです。それらの人々とは直接の面識はない場合の方が多いです。文字や映像の上だけで、私が一方的に知っているだけの出会いです。ここで私は自分の人生で出会った優れた人たちの一部、3名の言葉の紹介をしたいと思います。彼らのアドバイスによって私の人生が優れたものになったという自信はないのですが、少なくともこれ以上悪くなることを防いだような気がします。もしかしたらいつか皆さんのお役に立つこともあるかもしれません。

最初は、27年間投獄され、解放後南アフリカの大統領となり、ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラの言葉です。
”I never lose. I win or I learn.”「私は負けたことがない。私は勝つ、そうでなければ私は学ぶのだ」。マンデラが失敗したり挫折したりしたことがない、という意味ではないでしょう。彼は挫折したり失敗したりしたなかで、それに終わらずに貴重なものを学んできたのだ、という意味だと思います。失敗の中でも価値あるものを学び取る、この姿勢でいれば負けが負けとしてあとを引くわけがありませんね。すごい気力です。
皆さんがこれからの人生において苦難に面したとき、それは負けではありません。あなたの人生に意味がなかったということではありません。苦難が大きければ大きいほど、学ぶことも大きいのだという意味だと私は理解しています。苦難を乗り越えて学び取ることのできたものはプライスレス、何ものにも代えがたいということでしょう。

次に紹介するのは、皆さんもよくご存知のスティーブ・ジョブズの言葉です。彼は現在、Macと呼ばれているパーソナルコンピュータ「Macintosh(マッキントッシュ)」を生み出し、またiPhone、iPad、AppleWatch等を生み出した会社、Appleの創業者の一人であることはご存知ですよね。彼は2011年に癌で亡くなりますが、癌が見つかった2年後の2005年にスタンフォード大学の卒業式で「自分がいずれ死ぬのだと考えることは、自分が人生において大きな選択をするときに助けてくれる最も大切なツールです。」と述べています。
卒業直後から自分の進むべき道を、本当に見つけることができる人は、それほど多くないと思います。どう生きていったら良いのか、何をすべきなのか、若いということは多くの迷いと無力感に満ちた日々を送る、ということなのかもしれません。いろいろな可能性がありながらそれを徐々に諦めていく過程は、人間が「成熟」するということなのでしょう。何を選び、何を諦めるかという選択の際に、「いずれ死ぬ自分」がそのときに後悔することがより少ない選択をできるように、そういうことをジョブズは言いたかったのではないでしょうか。

最後に紹介するのは、1947年にインドがイギリスから独立するにあたって、大きな役割を果たしたマハトマ・ガンジーの有名な言葉です。あまりにも有名なので、すでにご存知の方も多いでしょう。
「明日死ぬかのように生活しなさい。永遠に生きるかのように学びなさい」。 やるべきこと、できることをやり切って、後悔のないように日々の暮らしを送る。それだけでも十分立派な人生だと思います。ジョブズも同じようなことを言っていました。そのような人生を送るためにも、いつでも、自分を向上させる努力を、何歳になっても、続けなさい、とガンジーは言っているのだと思います。

学ぶ姿勢、その意義を皆さんは本学で過ごした時間の間に少しでも身につけてくださったと信じています。学ぶことの大切さは、単位をとって卒業するためというつまらない目的のためのものではないはずです。
順調に行っている時には学ぶことの大切さに気づかないかもしれませんが、苦難の時に学ぶことができてこそ、皆さんは苦難を乗り越えることができるのだと思います。皆さんの卒業をお祝いするにあたって、学び続けることの大切さをお伝えしておきたいと思います。
ご卒業、おめでとうございます。

2022年9月16日
澤田 昌人

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