このたび多角的な視点で社会課題を議論するシンポジウム「Things - 工芸から覗く未来」(参加無料/オンライン)を開催します。
本イベントは、KYOTO KOUGEI WEEKの一環として自然環境やプロダクトデザイン、教育、職人文化など工芸をめぐる有形無形の事柄について議論します。
2月19日(金)~21日(日)の3日間にわたり、計6回の分科会をオンラインで配信。工芸の世界でさまざまな取り組みをおこなう方々とともに伝統的な手仕事を起点として未来の社会像について考えます。
※京都精華大学は、2018年度に文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」の採択を受け、「持続可能な社会に向けた伝統文化の『表現』研究」をテーマに活動を展開しています。
京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター主催オンラインシンポジウム
Things - 工芸から覗く未来
日時:2021年2月19日(金)、20日(土)、 21日(日)参加無料・オンライン開催(要事前申込)
時間:各日15:00-17:00/17:30-19:30の2部構成
主催:京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター
共催:「KYOTO KOUGEI WEEK」実行委員会
協力:文化庁、京都府、京都市、京都商工会議所
技術サポート:マテリアル京都
お問い合わせ:dento@kyoto-seika.ac.jp
ご予約はこちら
2月19日(金) | 15:00-17:00 | アウト・オブ・民藝「世界の民芸玩具と玩具趣味のネットワーク」 Out of Mingei : Folk Toys of the World and the Network of Toy Enthusiasts (使用言語:日本語) |
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17:30-19:30 | ものづくりと生態系 Object-Making and the Ecosystem (使用言語:日本語) |
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2月20日(土) | 15:00-17:00 | 工芸とデザイン・流通 Design and Distribution in Craft (使用言語:日本語) |
17:30-19:30 | 地域を活かす工芸 Regional Revitalization through Craft (使用言語:日本語) |
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2月21日(日) | 15:00-17:00 | 伝統文化を教育に活かすTraditional Culture and Pedagogy (使用言語:英語、日本語への通訳あり) |
17:30-19:30 | 手仕事にみる「職人性」Artisanship in Handcrafts (使用言語:日本語 ) |
内容詳細・登壇者プロフィール
2月19日(金) 15:00-17:00 アウト・オブ・民藝「世界の民芸玩具と玩具趣味のネットワーク」
「なぜこれは民藝じゃないの?」
民藝運動にまつわる出来事や人物、時代、こぼれ落ちたものやことを縦横無尽に考察する「アウト・オブ・民藝」(軸原ヨウスケ/中村裕太)が、「玩具」をテーマに語ります。『世界の民芸玩具—日本玩具博物館コレクション』の著者、尾崎織女氏を迎えて、各地の文化に色濃く影響を受けた玩具の世界を覗きます。
中村裕太(京都精華大学芸術学部教員/伝統産業イノベーションセンター員)|Yuta Nakamura
美術家。1983年東京生まれ、京都在住。2011年京都精華大学博士後期課程修了。博士(芸術)。京都精華大学芸術学部特任講師。〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と作品制作を行なう。近年の展示に「第20回シドニー・ビエンナーレ」(キャレッジワークス、2016年)、「あいちトリエンナーレ」(愛知県美術館、2016年)、「MAMリサーチ007:走泥社—現代陶芸のはじまりに」(森美術館、2019年)、「表現の生態系:世界との関係をつくりかえる」(アーツ前橋、2019)、「ツボ_ノ_ナカ_ハ_ナンダロナ?」(京都国立近代美術館、2021)。著書に『アウト・オブ・民藝』(共著、誠光社、2019年)。
http://nakamurayuta.jp/
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軸原ヨウスケ(デザイナー)| Yosuke Jikuhara
1978年岡山生まれ、岡山在住。「遊びのデザイン」をテーマにしたデザインユニット「COCHAE(コチャエ)」のメンバー。「へのへの図案社」代表。グラフィックデザインにとどまらず、紙雑貨やパッケージのデザン、出版企画や商品開発など幅広く活動中。著書に『kokeshi book伝統こけしのデザイン』(青幻社、2010)、『武井武雄のこけし』(Pieinternational、2012)、『カワイイヲリガミ細工』(誠文堂新光社、2016)など。新型こけしのプロジェクト「ドンタク玩具社」でも活動している。著書に『アウト・オブ・民藝』(共著、誠光社、2019年)。
https://cochae.com/
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尾崎織女(日本玩具博物館学芸員) |Ayame Osaki
1962年兵庫県生まれ、姫路市在住。神戸大学卒業後、海外子女教育振興財団勤務を経て1990年より日本玩具博物館学芸員。30年にわたり、世界各地の民芸玩具の調査や収集ネットワークづくりを担当。「世界のクリスマス展」や「雛人形展」をはじめ、館内外での展覧会と講座企画に従事する。専門分野は桃の節句や七夕の人形と玩具。著書に『伝承の裁縫お細工物~江戸・明治のちりめん細工』(雄鶏社、2009)、『ままごと』(文溪堂、2014)、『日本と世界おもしろ玩具図鑑』(共著、神戸新聞出版センター、2017)、『世界の民芸玩具—日本玩具博物館コレクション』(大福書林、2020)。
https://japan-toy-museum.org
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2月19日(金)17:30-19:30 ものづくりと生態系 Object-Making and the Ecosystem
伝統的なものづくりの素材や道具のほとんどは自然材。持続可能なものづくりについて考えるとき、自然環境の維持や地域の人的ネットワークとともに考える必要があります。そうした環境をめぐる人・物・事の繋がりを「生態系」と位置付け、現在各地でおこなわれている取り組みについて共有します。
王 智弘(総合地球環境学研究所 研究推進員)|Tomohiro Oh
1973年台湾生まれ。屋久島をフィールドに森と海と人のかかわりの研究、雨の日にコミュニティの未来を想う風土づくりに取り組んでいる。2017年からは高島市まちづくり推進会議のコーディネーターを務め、最近は持続可能な開発を遊びながら学ぶアナログ・ゲームの製作にも取り組んでいる。おもな著書に『臨床環境学』(共編著、名古屋大学出版会)など。NPO法人屋久島エコ・フェスタ理事、龍谷大学非常勤講師。
堤 卓也(堤淺吉漆店 専務取締役/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員) |Takuya Tsutsumi
明治期から続く漆の精製業者の四代目。文化財修復や伝統工芸など、用途に合わせた漆を提供。「漆掻き職人」と「塗師」の中間に立つ立場から、漆の流通量の減少に危機感を感じ、漆のある暮らしを次世代の子ども達につなぐ取り組みとして「うるしのいっぽ」を始める。「サーフボード×漆」「BMX×漆」「スケボー×漆」など、新しい取り合わせを通じて、漆との出会いを提案。1万年前から日本の風土で使われてきたサステナブルな天然素材「漆」を、次の時代に継承するべく、2019年6月、パースペクティブを設立。
松山幸子(一般社団法人パースペクティブ共同代表/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)|Sachiko Matsuyama
根底にあるのは、人と自然のサステナブルな関わり方や、自己よりもっと大きなもののいとなみの象徴でもある、「工藝」へのまなざし。工藝は日本の社会、価値観、意識を映し出す「鏡」であると位置づけ、教育プログラムやツアーを企画してきた。大量生産で生まれた均質な工業製品の溢れる社会的背景の中で、モノづくりへの親近感や、自然との関係性の中に身を置くことのできる感性が失われてきていることに危機感を感じ、2019年6月、パースペクティブを設立。自然とつながるモノづくりのあり方を事業として表現。
https://forest-of-craft.jp/
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永原 礫(inBeetweenBlues 代表/阿波藍プロデューサー/国際環境NGOサーフライダーファウンデーションジャパン ディレクター)|Leki Nagahara
1982年徳島県海部郡海陽町生まれ。城西国際大学在学中、全日本学生サーフィン選手権大会で学生日本一達成。卒業後は国内外のサーフタウンを渡り歩きサーフィンと音楽と芸術、環境活動を学ぶ。2010年、故郷にUターン。地元肌着メーカー「トータス」を通して藍染文化に出会い、同社の藍事業(藍葉の栽培や染色、衣料品の販売、新商品の企画など)に従事。2017年独立。藍染スケートボードと共に四国88カ所霊場1200kmの遍路道巡礼を達成後、地元海陽町の海辺に藍スタジオ『inBetweenBlues』を設立。現在はiBBを拠点にサーフ、藍、空海をテーマとしたモノづくりやワークショップ、イベントプロデュース等を通して、人と自然に優しいライフスタイルや故郷の自然、伝統文化の魅力発信に努めている。
https://inbetweenblues.jp
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辻 徳人(株式会社デカンショ林業)| Naruto Tsuji
Uターンを期に丹波篠山市で林業に従事。経済性と環境性とのバランスを考え近自然型の林業にシフトする。山や木がもっと身近なものであり、それに関わる人口が増える事で地域や山林が抱える課題の解決の糸口になるという考えを元に多様な人材が集まれる拠点 mocca(木加) を2020年10月にオープンさせた。
西 禎恒(道具の作り手・木工指導者)| Yoshitsune Nishi
兵庫県内の県立木工体験施設で嘱託木工指導員として勤務する傍ら、木工・木造建築に利用される手道具の特殊な誂えに取り組む。主に鉋の木製部分「鉋台」の製作を行なっている。木を削る事に使用する鉋を始めとする鍛造刃物について金物産地である兵庫県三木市を主に各地の職人と新しい利器工匠具の開発を行い、各地の工房や公共機関のプロダクトや調査活動などに協力。
米原有二(京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター長)| Yuji Yonehara
1977年京都府生まれ。京都を拠点に工芸を対象とした取材・執筆活動をおこなう。2018年に京都精華大学伝統産業イノベーションセンター長に着任。工芸を起点とした社会研究・教育に取り組む。おもな著書に『京都職人 -匠のてのひら-』、『京都老舗 -暖簾のこころ-』(ともに共著・水曜社)、『京職人ブルース』(京阪神エルマガジン社)、『近世の即位礼-東山天皇即位式模型でみる京職人の技術』(共著・青幻舎)など。
http://dento.kyoto-seika.ac.jp/
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2月20日(土) 15:00-17:00 工芸とデザイン・流通 Design and Distribution in Craft
いかにすぐれた技術から生まれた物であっても、デザインや流通、販売といった視点がなければ、それを求める人の手にちゃんと届きません。本セッションでは各地で工芸のデザインや流通に関わる方々から、いま現場で起きていること、これからの課題についてお話しいただきます。
金谷 勉(有限会社セメントプロデュースデザイン 代表取締役社長・クリエイティブディレクター/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究)|Tsutomu Kanaya
1999年にデザイン会社「セメントプロデュースデザイン」を設立。大阪、京都、東京を拠点に企業のグラフィックデザインやプロモーション、商品開発のプロデュースに携わる。
2011年から、全国各地での商品開発プロジェクト「みんなの地域産業協業活動」を始め、500を超える工場や職人との情報連携を進める。職人達の技術を学び、伝える場「コトモノミチ」を東京墨田区と大阪本社ビル1階にて展開。京都精華大学、金沢美術工芸大学講師を務める。自著に『小さな企業が生き残る』(日経BP社)
http://www.cementdesign.com/
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淡田明美(京都精華大学デザイン学部教員/伝統産業イノベーションセンター員) |Akemi Awada
京都精華大学美術学部 デザイン学科 ビジュアル・コミュニケーションデザイン専門分野卒業。自動車会社にて「CUBE」「MARCH」「TIIDA」などの内装カラー&マテリアルデザイン開発に携わる。退職後、フリーランスとして携帯電話や住宅の塗料開発に従事しながら、ルリュール(製本工芸)を学ぶ。現在、針畑生活資料研究会にてデザインの観点から、生活道具・食について調査・記録 している。
白水高広(株式会社うなぎの寝床代表取締役)| Takahiro Shiramizu
1985年佐賀県小城市生まれ、大分大学工学部福祉環境工学科建築コース卒業。2009年8月厚生労働省の雇用創出事業「九州ちくご元気計画」に関わり2年半プロジェクトの主任推進員として動く。同事業は2011年グッドデザイン賞商工会議所会頭賞を受賞。その後2012年7月にアンテナショップうなぎの寝床を立ち上げるとともに、現在まで地域文化商社として活動を続ける。地域文脈のリサーチから、メーカーとしての商品開発、問屋業・小売業を横断して連動させながら、地域の方々がやれなさそうな領域を事業化していく。
https://unagino-nedoko.net/
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小林新也(合同会社シーラカンス食堂・MUJUN 代表社員・クリエイティブディレクター・デザイナー/株式会社OneGreen 取締役・チーフデザインオフィサー) |Shinya Kobayashi
1987年、兵庫県小野市、表具店に生まれる。2010年、大阪芸術大学デザイン学科卒業。2011年「合同会社シーラカンス食堂」を設立。播州刃物や播州そろばん、石州和紙、石州瓦、京都の伝統工芸品などの商品や技術、販路や伝え方、意識のイノベーションに取り組み生産者が抱える問題解決に取り組む。2016年、オリジナル商品ブランド「MUJUN」をオランダアムステルダムで立ち上げる。2018年7月「 MUJUN WORKSHOP 」を立ち上げ、刃物職人の持続可能な新しい後継者育成の仕組みを構築している。2020年4月、島根県温泉津(ゆのつ)に「誰もが職人なれる村」をつくりはじめ、地場産業・伝統工芸の未来をデザインしつつ、世界中に販路を持って活動を継続中。
www.c-syoku.com
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2月20日(土) 17:30-19:30 地域を活かす工芸 Regional Revitalization through Craft
近年、オープンファクトリーなどを中心に「職人技」や「伝統文化」が地域振興と結びつく事例が増えています。工芸を広い視点で捉え直し、あらためて地域の文化資産であることを考える機会も増えました。本セッションでは、各地の生活・文化に根ざした工芸の新たな展開に関わる6名がそれぞれの事例を紹介し、今後の展望を語ります。
山﨑伸吾(ディレクター・音楽家/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)| Shingo Yamasaki
1978年倉敷市水島生まれ。京都精華大学特別研究員。京都伝統産業ミュージアムチーフディレクター。
京都を拠点に、音楽・美術・工芸・デザインの分野で様々な人たちと協働しプロジェクトを行っている。
地域に根ざしたものづくりに強い関心を持ち、主に伝統工芸の分野で作り手に寄り添った企画を行う。
新山直広(合同会社TSUGI代表取締役/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員) |Naohiro Niiyama
1985年大阪生まれ。京都精華大学デザイン学科建築分野卒業。2009年福井県鯖江市に移住し、鯖江市役所を経て2015年TSUGI llc.を設立。地域に特化したインタウンデザイナーとして地場産業のブランディングを行っている。また通常のデザインワークだけではなく、眼鏡素材を転用したアクセサリーブランド「Sur」、福井のものづくりとデザインを体感できる小さな複合施設「TOURISTORE」、産業観光プロジェクト「RENEW」の運営など、領域を横断しながら創造的な産地づくりを行っている。グッドデザイン賞等受賞多数。
https://tsugilab.com/
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永田宙郷(合同会社ててて協働組合 共同代表・プランニングディレクター /京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員) |Okisato Nagata
1978年福岡生まれ。金沢美術工芸大学芸術学専攻卒。大学在学中の2001年に仏・エルメス社と刀剣を制作し、第6回イスタンブールビエンナーレはじめ、現代アートの展覧会に出展。その後、金沢21世紀美術館(非常勤)、デザインプロデュース会社等を経て現職。『ものづくりをつくる』をコンセプトに数多くの事業戦略策定と商品開発に従事。伝統工芸から最先技術まで時代に合わせた再構築や、視点を変えたプランニングを多く手掛ける。2012年より『ててて見本市』を開催。京都精華大学伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員。
北林 功(COS KYOTO株式会社 代表取締役コーディネーター/一般社団法人Design Week Kyoto実行委員会 代表理事)| Isao Kitabayashi
1979年奈良県生まれ。大阪ガス株式会社京滋エネルギー事業部での法人営業、株式会社グロービスでの人材育成コンサルタントを経て、同志社大学大学院ビジネス研究科にて「文化ビジネス」について研究。2013年COS KYOTOを設立し、持続的な社会構築のために地域の自然・風土に根付くモノ・コトをグローバルに伝えていくことを目的に、販路開拓や各種ビジネスコーディネート、国内外との文化交流イベントの企画・運営等を手掛けている。2012年〜2014年にはTEDxKyotoのディレクターを務めた。2016年より「DESIGN WEEK KYOTO」をスタート。
岩井 巽(株式会社金入/東北スタンダード ディレクター)|Tatsumi Iwa
東北芸術工科大学卒、(株)良品計画を経て現職。仙台パルコ2に実店舗を構える「東北スタンダードマーケット」の運営をメインに、東北6県の作り手との商品企画・バイイングを担当。2020年4月に、新型コロナウイルスにより販売機会を損失した東北の地場産品を取り扱う通販サイト「#tohokuru(トホクル)」を発足。150社が出品し、全国の生活者との接点を作ることに努めている。
高須賀活良(ハタオリマチのハタ印 総合ディレクター)| Katsura Takasuka
1986 年東京に生まれる。東京造形大学でテキスタイルデザインを学ぶ。在学時は日本各地を旅し、その土地にある素材にインスピレーションを受け作品を制作。大学院では、モノづくりの始まりは「土」からであるというコンセプトのもと、原始布の研究を行う。現在はアーティストとして国内外で作品の発表の他、織物産地でのテキスタイルデザイン、ファクトリーブランドの立ち上げ、アートディレクターとして幅広い分野で活動中。2016
年からは 1,000 年以上続く織物産地、山梨県富士吉田・西桂の織物産地プロジェクト「ハタオリマチのハタ印」総合ディレクターに任命。東京造形大学助教。
2月21日(日) 15:00-17:00 伝統文化を教育に活かす Traditional Culture and Pedagogy
京都は伝統の街。学生たちにとって伝統文化は「活きた教科書」です。本セッションでは、イギリス、台湾、アメリカ、日本の各大学の事例をもとに高等教育における伝統文化の位置付けや課題点などについて共有します。
江明親(国立台北芸術大学大学院建築文化財研究所 専任助教/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員) |Min-Chin Kay Chiang
台湾文化部文化資産局諮問委員(2016-)、新北市黄金博物館ディレクター代理などを経て現職。2015年、現代社会における伝統工芸の役割について次世代と共に模索するための研究所「国立台北芸術大学伝統美術センターFuturePast Lab」の設立に携わる。専門分野は工芸、無形文化財、コロニアリズムと伝統文化。
井上葉子(ベニントン大学視覚芸術学科・パブリックアクションセンター 兼任教員/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)| Yoko Inoue
1989年ニューヨーク市立大学ハンターカレッジ校卒業後、国立民族博物館職員、ニューヨーク日本協会職員などを経て、1999年同学大学院修士課程修了。アイデンティティや異文化同化の過程などをテーマに彫刻、インスタレーション、パフォーマンスなど、多様なメディアを用いて作品を制作。世界各国で展示や滞在制作を行う。人類学的な研究やフィールドワークを通して、グローバル経済の中で文化価値が商品化される現象やグローバル化が伝統文化にもたらす影響などを取り上げている。近年では、伝統知識、工芸、食にまつわる諸問題に着目し、リサーチを中心としたプロジェクトに取り組む。2004年よりベニントン大学客員教員、2011年より非常勤講師、2014年より現職。ニューヨーク在住。
https://www.bennington.edu/academics/faculty/yoko-inoue
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清水貴夫(京都精華大学人文学部教員/総合地球環境学研究所客員准教授)|Takao Shimizu
1974年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科比較人文学講座満期退学。ブルキナファソを中心に、西アフリカ数か国で子どもや宗教教育を通し、近代システムを相対化する研究に取り組んでいる。子ども研究の傍ら、2012年より所属した総合地球環境学研究所で砂漠化対処に関わるローカルナレッジ、西アフリカの食文化、また、伝統家屋の保全の研究をはじめ、2017年からはブルキナファソ、カメルーンにおけるサニテーション(主にし尿の農業利用)の研究に携わる。主たる業績に、『ブルキナファソを喰う アフリカ人類学者の西アフリカ「食」のガイド・ブック』あいり出版(2019年、単著)、『現代アフリカ文化の今 15の視点から、その現在地を探る』青幻社(2020年、ウスビ・サコとの共編)、『子どもたちの生きるアフリカ 伝統と開発がせめぎあう大地で』昭和堂(2017年、亀井伸孝との共編)など。
グラハム・エラード(ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校ファインアート教授)|Graham Ellard
アーティスト。1993年よりスティーブン・ジョンストンと共同制作を開始。映像と建築の関係性を扱う二人の大型ビデオインスタレーションや16ミリフィルムの作品は、国内外の美術館やギャラリーで展示されている。エラードはCSMにて、アン・タレンタイアと共にリサーチプロジェクト「Double agents」を主催。アーティスト・スタジオのあり方について国内外のコンファレンスで講演を行うほか、CSM卒業生のためのアソシエイト・スタジオ・プログアムを創立、ディレクターを務める。著書に『Studios for Artists: Concepts andConcrete. A Collaboration Between Acme Studios and Central Saint Martins』(Black Dog, London, 2015)他。
https://www.arts.ac.uk/colleges/central-saint-martins/about-csm/our-programmes/art-programme
http://www.doubleagents.org.uk/
http://www.ellardjohnstone.com/
https://www.arts.ac.uk/colleges/central-saint-martins/about-csm/our-programmes/art-programme
http://www.doubleagents.org.uk/
http://www.ellardjohnstone.com/
米原有二(京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター長)| Yuji Yonehara
1977年京都府生まれ。京都を拠点に工芸を対象とした取材・執筆活動をおこなう。2018年に京都精華大学伝統産業イノベーションセンター長に着任。工芸を起点とした社会研究・教育に取り組む。おもな著書に『京都職人 -匠のてのひら-』、『京都老舗 -暖簾のこころ-』(ともに共著・水曜社)、『京職人ブルース』(京阪神エルマガジン社)、『近世の即位礼-東山天皇即位式模型でみる京職人の技術』(共著・青幻舎)など。
http://dento.kyoto-seika.ac.jp/
http://dento.kyoto-seika.ac.jp/
2月21日(日) 17:30-19:30 手仕事にみる「職人性」Artisanship in Handcrafts
伝統的なものづくりを担う職人が先人から受け継ぐ無形の「職人性」について考えます。「代を継ぐということ」「地域に根ざす意味」「美術と工芸について」「作家と職人の境界は」、さまざまなテーマから現代の職人の「職人性」について考えます。
鞍田 崇(哲学者/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)|Takashi Kurata
哲学者。1970年兵庫県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。
https://takashikurata.com/
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八木隆裕(茶筒老舗 開化堂六代目/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)| Takahiro Yagi
1974年京都市生まれ。大学卒業後、京都ハンディクラフトセンター(アミタ株式会社)での勤務を経て開化堂の六代目を継ぐ。修業の後、イギリス・ロンドンでのプロモーションに単身で挑み海外販路の拡大に挑戦。また海外デザイナーとのコラボレーションによる新しいプロダクトラインの開発も手掛ける。伝統工芸の若手後継者がこれまでにない新しいものを生み出していくプロジェクトユニット「GO ON(ゴオン)」のメンバーとしても活動。過去の概念にとらわれない、新しい工芸の有り方を模索している。
中川周士(中川木工芸比良工房 主宰/京都精華大学 伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員)| Shuji Nakagawa
1968年京都市生まれ。1992年、京都精華大学美術学部立体造形卒業。大学卒業と同時に父清司(重要無形文化財保持者)に師事、木工職人として桶、指物、刳物、ろくろなどの技術を学ぶ。木工職人として10年間働きながら、鉄による現代美術作品も制作発表。2003年滋賀県志賀町(現在は合併により大津市)に独立工房「中川木工芸比良工房」をひらく。伝統的な桶制作の技術を用いて、新しく洗練されたデザインのシャンパンクーラーなどの作品を手がけている。京都精華大学伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員。
https://nakagawa.works
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谷口 弦(名尾手すき和紙七代目)|Gen Taniguchi
1990年生まれ。佐賀県で300年の歴史をもつ、名尾和紙を漉きつづける最後の工房「名尾手すき和紙」の七代目。原料である梶の木の栽培から手すきで和紙を漉くまでを一貫して名尾地区でおこなう製造スタイルで日本各地の祭りの提灯紙や寺社仏閣の修復を手掛ける。近年ではアパレルブランドとのコラボや、壁紙やアートワークとして商業施設、旅館などの空間構成にも取り組んでいる。また作家としてアートコレクティブ「KMNR™(カミナリ)」を主宰。江戸時代以前に存在した「還魂紙」をコンセプトに作品制作をおこなっている。2021年は長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」での展示や、自身初の個展も開催する。
https://naowashi.com/
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桐本泰一(輪島キリモト七代目)|Taiichi Kirimoto
1962年輪島市生まれ。85年筑波大学芸術専門学群生産デザインコース卒業。コクヨ株式会社意匠設計部でオフィスプランニングに携わった後帰郷、87年家業の桐本木工所入社。木地業の弟子修行を4年半行い、木地業からの造形提案、デザイン提案、漆器監修などを始める。産地内外の創り手たちと交流、都市部で暮らしを愉しむデザイナーとも創作に取り組み、生活の中で木や漆が当たり前に使ってもらえるようにと、さまざまな可能性に挑戦している。企画展の他、漆関係のトークショー、セミナーも開催。大学、中高校などでは、モノを創作する立場からの街育て講義なども行う。2015年前代表から家督を引き継ぎ、商号を「輪島キリモト」として代表に就任。2018年第二回三井ゴールデン匠賞グランプリ受賞。
http://www.kirimoto.net
http://www.kirimoto.net
KYOTO KOUGEI WEEK 公式メディア > KYOTO CRAFTS MAGAZINE では、鞍田崇 × 中村裕太 × 米原有二による事前座談会の記事が公開中!
KYOTO KOUGEI WEEK の公式メディアである「KYOTO CRAFTS MAGAZINE」では、シンポジウムの登壇者でもある鞍田崇氏(哲学者)、 中村裕太氏(京都精華大学芸術学部教員)、米原有二氏(京都精華大学伝統 産業イノベーションセンター長)の 3 名による事前座談会の様子が公開 されています。 前回の内容を振り返りながら、今回の注目すべきキーワートドやポイントについてそれぞれの立場から触れられています。
京都精華大学 伝統産業イノベーションセンターについて
伝統産業イノベーションセンターは、これまで京都精華大学が培ってきた伝統産業の知見を集約し、より活発な教育・研究活動に還元するために2017年に設立しました。〔研究〕〔教育〕〔社会連携活動〕を大きな軸として、世界有数の工芸産地・京都を拠点にさまざまな国や地域の手仕事との連携をめざしています。
2019年9月には「 We - 工芸から覗く未来」と題したシンポジウムを国際マンガミュージアムで開催。工芸の世界でさまざまな取り組みをおこなう方々とともにエシカル消費やエコロジー、労働環境といった社会課題について、伝統的な手仕事を起点に議論を行いました。本講演会はその第2弾にあたります。
お問い合わせ先 CONTACT
京都精華大学 広報グループ
〒606-8588 京都市左京区岩倉木野町137
Tel:075-702-5197
Fax:075-702-5352
E-mail:kouhou@kyoto-seika.ac.jp
※取材いただく際は、事前に広報グループまでご連絡ください。