在学生・卒業生

版画専攻非常勤講師で現代美術家の栗棟美里による個展「What are we really looking at?」が開催

芸術学部版画専攻非常勤講師で現代美術家の栗棟美里による個展「What are we really looking at?」が、大阪市西区のTEZUKAYAMA GALLERYにて開催されます。
 
栗棟は、2013年に京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画領域を修了。現在、本学の非常勤講師として指導にあたる一方で、現代美術家として精力的に活動しています。自ら撮影した写真を支持体とし、その上に描画を施すミクストメディアの手法で制作されており、美や存在、時間、生命の本質を問い続けています。近年では、情報過多社会における「見る」という行為の本質をコンセプトに、インターネットを介した現代社会を反映した作品を制作しています。
 
本展では、《Images》シリーズと、新シリーズ《Display》の応答関係を意識しながら、展示空間が構成されます。ぜひご覧ください。


 

アーティスト・ステートメント

実像と虚像、存在の不確かさ、そしてデータや写真の信憑性への問い。 2020 年に始動したシリーズ《Images》は、これらのテーマを起点として制作を重ねてきました。
 
近年、AI 技術の急速な発展により、私の関心は「目の前の存在」を捉えることから、「構造的操作によって形成される人物像」へと移行していま す。 ここでいう「構造」とは、アルゴリズムやデータベースなどの技術的枠組みと、価値基準や社会制度といった社会的枠組みの双方を意味します。 この二つは互いに影響を及ぼし合いながら、私たちが何を見るか・何を見せられるかを形作っています。 この相互作用への関心から、《Images》というタイトルが持っていた「知覚される存在」という響きは、「構造によって構築された視覚記号」へとシフトしつつあります。
 
また、そういった推移の過程から、新シリーズ《Display》が生まれました。 AI 生成画像に描かれた水滴を立体的に印刷・再現することで、二次元データが三次元の存在感を凌駕するかのような感覚を提示します。 ここでの関心は、視覚がどのように「実体験」にアクセスし、あるいはそこから乖離していくのかという、視覚と現実の関係そのものにあります。
 
私の作品の背景には二つの層の「リアリティ」があります。 一つは、構造的に操作された視覚記号を受け取り、それをもとに脳が構築するリアリティ。 もう一つは、東洋思想、とりわけ唯識の考え方に基づく「すべての存在は心のはたらきによって現れる」という視点です。 つまり、私たちは「何を見たいか」「何を現実として捉えたいか」という内的欲望や信念によって、世界の現れ方そのものを形作っているのです。
 
この二つのリアリティは、カメラで記録された写真にも、AI 生成画像にも、そして日常の膨大な視覚情報にも複雑に絡み合って作用し、 実体と虚像、事実と解釈の境界を限りなく曖昧にします。
 
《Images》は、存在の不確かさと相互規定としての「構造」を問うシリーズであり、
《Display》は、AI 生成画像と立体的再現によって、二次元と三次元の間に生じる感覚の揺らぎを可視化します。
 
本展では、この二つのアプローチを対置することで、鑑賞者が自身の知覚や価値、そしてリアリティがどのように形づくられているのか、 その背後に潜む構造と欲望の成立過程に意識的にアクセスし、問い直す場を創出します。
 
栗棟美里


 
 

  • 日程

    2026年1月24日(土)~2月21日(土)
    休廊日 日、月、祝

  • 時間

    11:00~19:00

  • 会場

    TEZUKAYAMA GALLERY
    〒550-0015 大阪市西区南堀江1-19-27山崎ビル2F
  • 出演・出展者

    栗棟美里(芸術研究科博士前期課程版画領域 修了 / 芸術学部版画専攻 非常勤講師)

  • 予約

    不要

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京都精華大学 広報グループ

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Fax:075-702-5352
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