CT006461(KKG)
2022 | lambda print | 620 × 880 mm | ©︎ Toshihiro Komatsu, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY
芸術学部洋画専攻の教員 小松敏宏による個展「空間概念:透視2022.9.3」が、東京都江東区のKANA KAWANISHI GALLERYで開催されます。
本展覧会では、建築空間のレイヤーを打ち消す透視写真シリーズ〈CT〉を、ギャラリー空間を活用したサイトスペシフィック・インスタレーションとして発表する意欲的な内容となります。2023年9月3日から始まる本展覧会に足を運んだ鑑賞者は、ギャラリー内の壁をとおし、1年前の2022年9月3日のギャラリー外の様子をみる鑑賞体験へと誘われます。また、同時に発表する〈CT(ペインティング)〉シリーズでは、絵画作品の向こう側をみせることで、二次元と三次元空間が越境する表現を展開します。
記憶、視覚、空間認知など、人間の知覚の根幹に揺さぶりをかける小松の作品をぜひご覧ください。
アーティストステートメント
「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」(えどをしょうしてとうきょうとなすのしょうしょ)によれば、1868年9月3日は江戸を東京と呼ぶことが決まった日である。それから154年後の2022年9月3日、私は東京の清澄白河でコロナ感染症が拡まって3年目の夏の日の光景を、ホワイトキューブを透視するように連続してシャッターを切った。そして更に1年後の2023年9月、1年前の此処ギャラリーの光景が透視インスタレーションとCT(KKG)によって呼び起こされる。果たして1年と言う時間の経過は、現実と写真を見比べることにより可視化されるのか。
「スラッシュ」(切り裂き)の絵画で有名なルチオ・フォンタナを、私は最近まで画家だと思い込んでいたのだが、実は彼が彫刻家だったと知って驚いた。フォンタナは「穴」と「スラッシュ」の絵画以前、彫刻を造っていたのだ。彼のリアルな「穴」と「スラッシュ」の絵画は彫刻に近いものであり、3次元的イリュージョンを排除した作品である。今回の透視インスタレーションとCT(KKG)は、フォンタナの空間概念シリーズをスタイル(様式)として強く意識したものである。CTシリーズは画面をバーチャルに分割する「ジップ」(線形)から始まり、「穴」をへて「スラッシュ」を思わせるバーチャルな切り裂きへと進化した。
「絵の向こうには壁があるだけだ」と言ったのはピカソである。フォンタナの「穴」のシリーズはキャンバスをくり抜いた穴から壁を実際に覗き見せ、絵の周囲の空間を絵の内部に召喚した。しかしフォンタナの「スラッシュ」シリーズの画布の裏には黒い紗が貼られていて、切り裂いた画布から向こうの壁を見ることができない。ピカソがトロンプ・ルイユを否定したのに対して、フォンタナの「スラッシュ」はそれを利用して黒い切り裂きを描いたようにも見える錯視を利用した作品である。新作であるCT(PAINTING)は、キャンバスに油彩というフォーマルなモノクロームペインティングをベースにしたCT作品である。絵の向こうにある壁やネジ(金具)を写真により透視して見せることで、絵の周囲の空間を絵の内部に召喚し、目に見える世界だけでなくその先にある奥を見通す。
小松敏宏
小松敏宏
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日程
2023年9月3日(日)~10月14日(土)
休廊日 日曜日、月曜日、火曜日、祝日
※初日 9/3(日)のみ 13:00~18:00 にてオープン
※臨時休廊 9/20(水)~23(土・祝)、10/4(水)~7(土) -
時間
13:00〜18:00(土曜日は13:00〜19:00)
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会場
〒135-0021 東京都江東区白河4-7-6 -
出演・出展者
小松敏宏(芸術学部洋画専攻 教員)
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予約
不要
関連イベント
トークイベント
日 時:2022年9月3日(日)17:00〜18:00
会 場:KANA KAWANISHI GALLERY
登壇者:小松敏宏(アーティスト)× 井波吉太郎(東京都現代美術館 学芸員)※予定
入場無料/予約不要
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