社会をより幸せにするためのファッションデザインを学ぶ

いま、ファッション業界では、大量生産・大量消費の構造を見直し、持続可能でより幸福度の高い生産・消費スタイルへと移行することが求められています。ファッションコースの目標は、「着る人」のためのデザインを追求し、ファッションの力で社会をより良く変えていくこと。服づくりの技術に加えて、ニーズを調査・分析するための知識、雑誌やWebサイトでプロモーションを行う方法などを学びながら、誰かの課題を解決するファッションのあり方を研究します。ファッションビジネスの現場や業界の現状についても理解を深め、求められた仕事を完璧に成し遂げる力だけでなく、自分で新しい仕事を生み出し、それを継続させる力を身につけることをめざします。

科目PICK UP

  • 優れたデザインとは何だろう?かばん制作を通して考える。

    [基礎実習4/1年]
    デザインには、美的な側面と機能的な側面があります。この授業でつくるのは、作業机の道具入れとして使うかばん。機能的に優れたデザインをめざして制作し、実際に活用してみることを通して、ファッションデザインの考え方とつくり方を学びます。

  • 雑誌の編集作業を体験し、「伝える力」を身につける。

    [制作実習/2年]
    パターン、雑誌編集、ファッションデザイン、イベントの4テーマで実習を行います。「雑誌編集」では、雑誌づくりを通してデザインの基本を学びます。目的やターゲットを設定し、それにあわせて内容を決め、雑誌を制作。伝える力や届ける力も養います。

4年間の学び

  1. 1年次

    FIRST

    服づくりの基礎を学ぶ

    実践的な課題を通じて、縫製・パターンの基礎知識や技術をはじめ、服の素材・機能・目的について学びます。また、身近なところから、デザインによる課題解決の思考を習得します。
    授業例:デザイン史、ファッションデザイン基礎、リサーチの方法論、縫製、パターンメイキング など

  2. 2年次

    SECOND

    表現を支える知識と技術を身につける

    プロのデザイナーの指導のもと、繰り返し服を制作し、改善点の検証を重ね、服づくりの正しい知識と確かな技術を身につけます。
    授業例:ファッション史、商品企画、エディトリアル基礎、イメージ分析と制作、ファッションビジネス、染織 など

  3. 3年次

    THIRD

    社会へ発信し、魅力を伝える

    制作を通して自分の興味や適性を見極めます。また、コレクション設計、ブランド設計などのプロジェクトに参加して、表現力を高めていきます。
    授業例:コレクション制作、サステナブル・ファッション、日本服飾史、ニット、PR、ライティング、写真 など

  4. 4年次

    FOURTH

    ファッションを社会へ届ける

    卒業制作に取り組みます。ブランドを立ち上げてコレクションを制作したり、ファッション雑誌を創刊するなど、自分のテーマを最適な形で具現化し、人に届けます。

4年間で身につく能力

  • 情報から課題を発見し分析する力
  • アイデアやテーマを形にする技術と表現力
  • デザインを他者を共有するコミュニケーション力

作品

施設

フロアには用途別にそろえた17種類の特殊ミシンを完備。いつでも、自由に制作できる環境が整っています。

PICK UP!

  • 着る人のさまざまな特性に合わせた服がつくれるように、異なる体型のトルソーが多数用意されています。

  • 自然光のもとで素材本来の色を見ながら制作ができるように、実習室の壁にはガラスが多く使われ、明るく開放的な空間が広がります。

  • 学生一人ひとりに用意された個人の制作スペースは、1~4年生まで空間を隔てることなく配置され、学年を越えた交流が生まれる設計になっています。

教員

非常勤講師

  • 池見 純子 / アパレルデザイナー・ブランドプロデューサー(担当:プロダクトデザイン応用演習28B(ファッションビジネス1)・31B(ファッションビジネス2)、制作演習5(ファッションビジネス))
  • 井上 典子 / テキスタイル・アパレル・DTP・WEBデザイナー(担当:アパレル素材論1・2)
  • 高村 美緒 / Ring of Colour編集長・ファッションエディター(担当:プロダクトデザイン応用演習38 B(ライティング))
  • 松原 史 / 北野天満宮 北野文化研究所 室長・美術工芸史家(担当:日本服飾史1・2)
  • 本岡 博惠(担当:プロダクトデザイン基礎演習6B(パターン1)・7B(パターン2)・8B(パターン3)・10B(パターン4)、基礎演習6(パターン1)・7(パターン2))

卒業後の進路

最先端のファッションデザインを生み出す力、ファッションを発信・流通させる力、ファッション文化を担う批評力。専門的なスキルと独自の価値観を身につけた卒業生たちは、変化の激しいファッション業界でも流されることなく、それぞれの立場から新しいファッションを提案することができます。

 めざせる職業
ファッションデザイナー、スタイリスト、ファッション誌編集者、パタンナー、バイヤー、ショップ経営、ショップ店員 など

 主な就職先
アパレルメーカー、バッグメーカー、雑貨メーカー、テキスタイルメーカー、デザイン会社、出版社、広告代理店 など

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。

 図書館司書
 博物館学芸員

VOICE

  • 竹中 太将さん在学生

    めざすのは「自分らしく美しくなれる」服。

    入学後、最初に気づかされたのは「ファッションデザインは自分のエゴを打ち出すものではない」ということ。服は人が着て成り立つもの。見た目だけでなく、着心地や着やすさを重視し「着る人のため」にデザインする大切さを教わりました。先生と話しながら、つくって、考えて、またつくり直して……何度も繰り返すうちに、ていねいに服を制作するようになり洗練されていったように感じています。また、このコースの良いところは技術以外のことも多く学べるところ。ファッション理論やビジネスに関する知識から、語学や文章構成まで、卒業後もファッションを仕事にして生きていくために必要になることをさまざまな角度から身につけられます。在学中から幅広く挑戦し、考え方や知識を積極的に吸収して実践に役立てていきたいと思っています。昨年は、ユニットを組んでオリジナルブランド『ito』を立ち上げ、アジア各国機構が連携を行うコンテスト「Asia Fashion Collection 7th」に参加しました。日本代表として入賞し、今年はNYでランウェイデビューを果たします。この春からは、さらに深く広くブランド展開を行う予定です。僕たちの服を着た人が、自分らしく美しくなるような、そういうブランドにしていきたいです。
  • 柳田 剛教員

    4年間で、つくる力と考える力を育む。

    デザインの現場に入って30年余り。今でもレディスウェアの商品デザインをしています。ファッションデザインには、その人が考える正しさや美しさを、世の中に反映させる力があります。だから、デザイナーに必要なものは構成力や造形力だけではありません。そもそも、正しさや美しさとは何か。人が生きるうえで必要なことは何なのか。それを常に考える姿勢が重要です。授業では、制作技術を身につける時間はもちろん、そのようなことを考える機会をたくさん設けるように心がけています。多彩な学部がある京都精華大学は、異なる世界に触れる機会が多い刺激的な環境といえるかもしれません。専門家の多くは、異業種の作品から優れたアイデアを発見するものです。しかし、あえて私は皆さんにお願いします。在学中は、自分の学びを深く掘り下げることに、何より集中してください。学生生活を有意義なものにするためには、あなた自身のレベルアップが不可欠です。自分が上昇していく実感こそが、もっとも刺激的で、自分を成長させる原動力になるのだと思います。「この4年間で自分の未来を変える」という気概をもって、できるだけ早い時期に目標を定め、必要なことを学び、夢を叶えてください。